○北村委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 重徳和彦でございます。農林水産委員として初めて質問に立たせていただきます。
風前のともしびとなりつつあるとも言われているTPPでありますが、私自身は自由貿易圏を拡大するべきだという立場に立っております。ただし、農業振興策と食の安全、これに万全を期さない限り納得はいかない、こういうふうに考えております。
私は、愛知県三河地方の出身でございまして、物づくりのメッカでありますが、同時に、愛知県は農業の大変盛んな県でもございます。
それから、私は、前歴が総務省という役所の職員でありまして、その間に青森県、山形県、広島県に赴任をいたしまして、大変農業の盛んな地域でもありますし、農家の皆さんともさまざま語らい合いながら過ごしてきた日々を思い起こしながら、やはり農業地域、もう本当に地場産業中の地場産業でありますので、こうした日本の農業が衰退するようでは、地域密着、そして国を守るという使命をしょっております私ども保守政治家としての使命は全うできない、このように考えております。
そこで、まず、大臣の基本姿勢を問いたいんですけれども、大臣所信では、TPPの推進とともに輸出戦略の重要性を語っておられます。
ですが、地域では、やはりTPPといえば、農作物が大量に流入するということばかりでありまして、これからは輸出だということを国会の場で幾ら表明しても、現場にはなかなかこれは伝わりません。
やはり大臣には、ぜひ農家の皆さんの暮らし、人生を支える、あるいは、TPP推進ということに対して農家の皆さんが怒り、また苦しみ、悩んでおられる、そういった農家の皆さんの立場に立って農政を進めていただきたいと思っております。
その意味で、大臣の所信表明の中で、これからは輸出だという言葉は、地域にはまだまだむなしく聞こえていると思います。TPPに対する懸念が専らであります現場の皆さんに対しまして、そして、農家の皆さんは平均年齢が六十七歳であります、そういう皆さんに、果たして大臣の海外市場への進出が不可欠といった言葉が本当に届いているのか、届けることができるのか、そのあたりについて、大臣の所信を、決意をお聞きしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 日本の農林水産の生産額は世界十位でございます。輸出額は世界六十位でございます。こうしたアンバランスというものは、恐らく世界の人たちが日本の農林水産物について御存じないからではないかなという意識を持っております。もし海外の皆さんが日本の生産物を手元にとられ、そして食していただければ、私は、輸出が必ず可能になってくる時代が来る、そう思っております。
したがって、先ほどの御質問にありましたとおり、全農もイギリスの卸を買収するというような考え方に出ていただいているというように思っておりますので、さらに、輸出に関する相談窓口を各農政局ごとにつくっておりますけれども、一年間で一万件を超える農家の方々からの問い合わせがあるわけでございまして、徐々に輸出に関する理解というのが進んでいっているだろうというように考えております。
そしてまた、本年五月に農林水産業の輸出力強化戦略というのを策定いたしまして、輸出の意義、戦略の理解を深めていただいているわけでございまして、特に、全国、地方での説明会を既に開催しておりまして、また、情報誌、農林水産省の広報誌、農業ビジネスマガジン、民間誌、こうしたところの輸出に関する登録が一万人を超えました。
そういう周知がされつつございますので、私どもは、なおジェトロとさらに提携いたしまして、商談スキルセミナー、あるいは初心者向けのマーケティングの基礎講座、そういったものを手がけていきたいと思っております。
また、具体的には、愛知県豊明花き地方卸売市場で、中部国際空港や物流業者等から成る協議会を設立いただきまして、本年九月にセミナーの開催とか海外バイヤーの招聘を行うなど、愛知県の御地元でも輸出の取り組みを強化していただいていることに感謝をするものでございます。
○重徳委員 地元の農協の幹部の皆さんと話をするにつけても、やはり各地域ごとの取り組みに任されても、これからはチャンスです、チャンスですといったって、そんなものはどうやって進めていいかもわからない、情報もないというような状況であります。
今大臣がおっしゃった施策、これは全体の一端かもしれませんけれども、もちろん、それが広がっていくことを期待はいたしますけれども、私は、もっともっと、災害分野でもことしは熊本地震に対してプッシュ型の支援というものが行われたように、やはり農家の方々、担い手がそもそも六十七歳なんですから、そういう方々に対してもっときめ細かな情報提供を行うべきだと思っております。
要するに、その地域では何をつくっているのか、自分がつくっているものがどこの国に売れるのか、TPPが仮に、これはわかりませんけれども、発効されたら、その関税はどうなるのか、こういったことはまさにTPPに直結することでありますし、それから、私の地元で西尾市というところがあるんですが、お茶の生産、抹茶の生産が非常に多いところでありますけれども、海外に輸出しようとしたら、海外では日本で使っている農薬が使用が認められていないとか、こういういろいろな課題があるわけなんですね。そして、それを、そういう問題を抱えているけれども、誰に言ったらどう解決してくれるのかも、現場で一生懸命やっておられるわけですから、簡単にわかるはずもないというのが今の状況であります。
補正予算、この国会ももう大分期間がたったのでちょっと忘れてしまうぐらいですけれども、補正予算がこの国会の冒頭にありましたけれども、その中には、輸出に関連するものとしては、輸出施設の整備とか、グローバルGAP、HACCPの取得、インストアショップの活用などなど、用意はしましたよ、メニューはあるからやる気のある人はいつでも来てください、こういうような姿勢が見られます。
先ほど言いましたように、もっともっとプッシュ型で、これは主体はどこになるんでしょうか、県なのか農政局なのか、そういうところを、農協でもいいです、それから農業の現場でもいいです、そういうところにもっと具体的にきめ細やかに政策を進めていくということに取り組まなければ、とてもじゃないけれども進まないと思います。いかがお考えでしょうか。
○山本(有)国務大臣 輸出につきましては、先ほども申し上げましたとおり、全中、全農もかなり積極的に取り組んでいただくように決意をお伺いいたしておりますし、また、各都道府県の知事さん方からも、地域横断的に、例えば東北地方、あるいは四国地方、近畿、中国地方というようなレベルで連携しながら、オール・ジャパンで売り込みをかけていきたいというような考え方も御披露いただいているところでございます。
そういう中で、地域における取り組み支援を行うために、ジェトロと農林水産省に相談窓口を設置いたしました。相互に連携して、農林漁業者などからの相談に対応しておるところでございます。
さらに、ジェトロが、新輸出大国コンソーシアムという名目で、輸出や海外展開に取り組む農林水産物、食品事業者へのアドバイス、支援というものを既に行っていただいております。
輸出サポートのさらなる強化のために、海外の消費者や飲食店、小売店のニーズを詳細に把握した上で、その情報を産地に伝達して、輸出向け商品づくりなどのアドバイスを行っていただいて、生産者と商社、物流業者のマッチングを支援することもメニューの中に入れさせていただいております。
また、日本食のレストランが世界にほぼ九万軒ございまして、その人たちの連携やあるいは協力もいただこうというように考えておるところでございます。
○重徳委員 いろいろとおっしゃっておりますので、私も地元では懸命に頑張っていきたいと思っておりますが、ぜひ今の意気込みあるいはさまざまなメニューを積極的に地域に展開していっていただきたいと思います。これはこれからの話も含めてですので、ぜひここはバックアップをお願いしたいと思います。
次に、今回のTPPの特別委員会でもさんざん話題になりました。また、実は私、ことしの通常国会、二月二十九日の予算委員会でも取り上げたテーマですが、成長促進ホルモン剤、そしてラクトパミンの問題であります。
委員の皆さんも御承知と思いますが、牛肉、豚肉が、米国やオーストラリア、カナダといった国においては、成長促進ホルモン剤とかラクトパミンという飼料配合剤が使われている。そして、TPP、どうなるかわかりませんが、これが発効すれば、牛肉に関して言えば三八・五%の関税が最終的に九%になるということでありますから、これは大量に輸入がふえるでありましょうし、それでなくても、九〇年代から日本では牛肉、豚肉の輸入が大変拡大しているわけであります。
このホルモン剤やラクトパミンは人体の健康に影響があると言われておりまして、今言いました九〇年代、日本に輸入が拡大した時分から、消費量も当然数倍になっていますから、ある研究によりますと、ホルモン依存性がん、子宮がん、乳がん、前立腺がんですけれども、こういったものがふえているという状況、これについて安全性はどうなんだということを塩崎厚労大臣にお尋ねいたしましたところ、その予算委員会におきましては、国際的な委員会でございますコーデックス委員会が科学的なリスク評価の結果に基づいて設定した国際食品規格というのがある、それを踏まえて日本の薬事・食品衛生審議会などで審議をした上で、食品中の残留基準を設定しているので、この残留基準の範囲内であれば、牛に使用されたとしても食品の安全性は確保されているという位置づけでございますということで、語尾をやや濁しているんですよね。
一方で、きょう資料でもお配りしておりますけれども、これもさんざん皆さん御承知と思いますが、日本では輸入が認められているこのホルモン剤やラクトパミンでありますが、EUでは国内使用も輸入も認められていないわけです。そして、輸出を行っている米、豪、カナダは、もちろん国内での使用も認めているわけです。マルかバツかどっちかならわかるんですが、日本は国内では未承認または未指定でありまして、だけれども、輸入だけはオーケー、こういうダブルスタンダードになっているわけであります。
そこで、ここからは厚労省や消費者庁の皆さんへのお問いでありますが、ぜひ山本大臣にもしっかりとお聞きいただきたいので、よろしくお願いします。
塩崎大臣が、コーデックス委員会が科学的なリスク評価の結果に基づいて設定した国際食品規格があるんだというふうにおっしゃっているわけですが、この科学的なリスク評価に基づく規格基準、この決め方に大変私は疑問を持っております。なぜならば、これは異例の採決によって決めたという経緯があるからなんです。
このコーデックス委員会での採決の経過、その背景について御答弁願います。
○北島政府参考人 お答えいたします。
御指摘の肥育ホルモンやラクトパミンの基準設定の経緯につきましては、当時、WHOとFAOが合同で設置をしております専門家から構成される国際的なリスク評価機関が、科学的根拠に基づきリスク評価を行い、その上で基準案を作成し、コーデックス委員会に提出しております。
コーデックス委員会では、この案の提示を受け、コーデックス基準としての採択について議論いたしましたが、その際、EU等は、直ちにコーデックス基準として採択するのではなく、決定を延期しようとしたため、意見の集約に至らず、投票によって決めることとなったものでございます。
この投票につきましては、肥育ホルモン及びラクトパミンの残留基準設定の採択につきましては、肥育ホルモンは一九九五年に投票が行われ、日本は残留基準値の設定に賛成をいたしました。また、コーデックス委員会が公表している会議の報告書によれば、投票における他国の立場は記録が残されておらず、確認できませんでした。
一方、ラクトパミンにつきましては、二〇一二年に投票が行われ、日本は残留基準設定賛成に投票しました。また、コーデックス委員会が公表している会議の報告書によれば、中国、ノルウェー、EU、ケニア、エジプト、トルコ、クロアチア、イラン、スイス、ロシア及びジンバブエが、ラクトパミンの残留基準値を設定するという決定について留保、つまり反対の立場を表明しております。
○重徳委員 採択に当たっての、採決の何対何というのも出ているはずなんですけれども、これは私も予算委員会で一回お尋ねして、塩崎大臣もそのとおりだというふうに答弁した経緯があると思うんですけれども、それをもう一度お願いします。
○北島政府参考人 お答えいたします。
肥育ホルモンの残留基準値の賛成は三十三、反対が二十九、棄権七で基準値を採択。ラクトパミンの残留基準値につきましては、賛成六十九、反対六十七、棄権七で採択となっております。
○重徳委員 今部長がおっしゃったとおりなんですね。まさに国際政治の中で、採択するかどうか、ホルモン剤は三十三対二十九、ラクトパミンは六十九対六十七であります。言ってみれば、日本は賛成しているわけですから、反対に回ればこれはイーブンになったというぐらいのぎりぎりの採決だったわけであります。
北島部長にもう一回お尋ねしますが、日本は賛成したということですが、なぜ賛成したんでしょうか。お答え、できたらお願いします。
○北島政府参考人 詳しい経緯については承知しておりませんが、コーデックス委員会では、国際的なリスク評価機関が科学的なリスク評価に基づき作成した基準を採択するかどうかという投票でございましたので、科学的な基準を設定するということで賛成したと承知しております。
○重徳委員 詳しくは承知されていないということですが、しかし、こうやって決まった基準なんです。これに従って、外国からはホルモン剤、ラクトパミンを使った肉が入ってくるということであります。
大臣にちょっとお尋ねしますが、大臣、これは本当に科学的なリスク評価の結果であり、客観的に安全であることは国際的にも認められているということを農家の皆さんに対しても胸を張って言えますか、大臣。
○山本(有)国務大臣 まず、肥育ホルモン及びラクトパミンにつきまして、先ほど厚労省の部長さんがおっしゃられたとおり、食品中の残留基準を設定されているわけでございます。輸入食品がこの基準に適合するかどうかの監視、検疫でありますが、指導を農林省としては行わさせていただいております。
その意味において、今後とも食品の安全の確保に万全を尽くしていく所存でございますけれども、根っこの部分についての知見、あるいは科学的なやりとりについては、私の方としては少し不案内でございます。
○重徳委員 そういうことなんですよ。つまり、今部長も詳しい理由は承知していない、それから、食の、農作物の担当大臣であります山本大臣もそこについては不案内という状況ですから、堂々と胸を張って、農家の皆さんに、畜産農家の皆さんに、これからTPPが発効すれば、最終的には関税が物すごく下がって、九%になってたくさん入ってくるけれども、だけれども、そこはフェアな競争なんだから理解してくれなんということをとても言えない状況だと私は思いますよ。
これはどうすればいいと思いますか、大臣。
○山本(有)国務大臣 すぐれて、コーデックス基準であり、また我が国における食品の安全性でございます。また、表示の方法等によりましても、消費者への周知徹底も行われるわけでございますし、そうした総合的な取り組みの中から、国民が安全、安心ができる食品が輸入されるということを確保するということでございます。
○重徳委員 もう完全にしどろもどろなんですよ。こういう状況を農家の皆さん、畜産農家の皆さんに見せたら、どう思われると思いますか。
そして、食品表示について、現行の食品表示の仕組みでは不十分だという議論がさんざん委員会でも取り上げられたにもかかわらず、過剰規制だ何だかんだと、科学的根拠があるんだとか安全なんだということをもって、これまでの答弁を乗り切ってきている。私は乗り切っていないと思いますけれども、そういう答弁に終始されるわけですが、今申し上げましたように、科学的根拠、客観的な根拠だという割にはぎりぎりの僅差ですよ。日本が、どこかの国が一つ二つひっくり返れば、完全にこれは採択されなくなる、こういう決め方でありますし、まして表示の仕方もいろいろと工夫ができると思うんです。
海外では、ホルモンフリーの表示というものがあると聞いておりますが、消費者庁の方から御答弁願います。
○吉井政府参考人 お答えいたします。
肥育ホルモン剤などの使用が認められている米国、カナダ及びオーストラリアにおきましては、肥育ホルモン剤などを使用している、あるいは使用していない旨の表示につきまして、義務化はされていないものと承知をしております。
一方、肥育ホルモン剤などの使用が禁止をされておりますEUにおきましては、域内に流通をしている牛肉は全て肥育ホルモン剤などが使われていない牛肉であります。したがいまして、消費者のためにあえて肥育ホルモン剤などを使用していないという表示を行うことの必要性は乏しいというふうに考えられることから、EUにおきましてもそのような表示は義務化されていないというふうに承知をしているところでございます。
○重徳委員 EUのことを言われても、EUはそもそも国内にもあるいは輸入にも全部ホルモンフリーなんですから、もう議論する必要もないんですよ。
だから、アメリカ、オーストラリア、カナダにおいて、今の御答弁では、義務化はされていないということをおっしゃいましたが、義務づけていないというところまではわかりましたが、現にホルモンフリーという表示をしている、任意かもしれませんが、している事実というものはあるんじゃないですか。その点を披瀝願いたいと思います。
○吉井政府参考人 お答えをいたします。
私どもの方で把握している限りにおきましては、オーストラリアで、スーパー等が任意で表示を行っているという状況は把握をしてございます。
○重徳委員 もともとオーストラリアは、国内でも輸入でも、いずれにしても認められているわけですから、全部認めているわけですから、そういう中で任意の表示をしているスーパーがあるということなんでしょうね。
だけれども、日本の場合は、繰り返しになりますが、日本だけダブルスタンダードなんですから、この状況下において、消費者の知る権利という立場からも、そして国内の畜産農家の立場を守るという観点からも、当然これは何らかの規制をするべきではないかと思うし、ホルモンフリーという表示そのものは世の中にあるわけですから、やりようがないということはないと思うんですね。これを日本でも表示することは、表示しようと思えばできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○吉井政府参考人 お答えをいたします。
肥育ホルモンを使用いたしました輸入牛肉を避けたいという消費者ニーズを踏まえまして、肥育ホルモンを使用していないという表示を行うことは、現行の仕組みにおきましても、企業の任意で取り組めるというものでございます。したがいまして、肥育ホルモンの使用の有無につきまして、企業が情報を得ていれば積極的に表示がなされるものというふうに考えております。
○重徳委員 今は何のルールもないわけですから、企業の任意であり、また情報を持っていれば表示ができる、これは当然のことだと思います。これを一歩進めて、国としてそれを何かしらルール化する際の課題は何でしょうか。
○吉井政府参考人 お答えをいたします。
肥育ホルモンの使用につきまして、それが含まれていないということも含めて表示を義務化するに当たりましては、食品表示基準違反、これは罰則の対象になるということでございます。したがいまして、使用している、あるいはしていないということを科学的に検証できることが前提になるというふうに考えているところでございます。
肥育ホルモンは、投与の後、十分な時間が経過をすれば排せつされ、検出ができなくなるということでございまして、仮に肥育ホルモンを投与した牛肉に肥育ホルモン不使用という表示をしたとしても、投与したかどうか科学的に検証できないということでございまして、表示制度の実効性を確保できないことから、義務表示の対象とはなかなかできないということでございます。
○重徳委員 これは何度もお聞きしている答弁ですね。ホルモンを使っても、売るときには、その肉の中にはもう既に入っていないかもしれないということですが、私がお聞きしているのは、ホルモン剤を使っていない、つまりホルモンフリーだということを、違反かどうかがわからないじゃないかということを今おっしゃっているんですが、そもそもその表示をするに当たって、確かにホルモンを使っていないということを検証、検証というか義務づけは、海外とのやりとりの間で、これは検疫条件の話だと思いますが、検疫条件において、そういったホルモンを使っていない形で育てた牛であることを相手国においてきちんと確認させた上で、それを何かしらの形できちんと示した、証明した上で、そのものについてはホルモンフリーという表示をすることはできるんじゃないか。それをやろうとするに当たってどんなハードルがあるんですか。私はそういう交渉をするべきじゃないかということを申し上げたいんですが、いかがでしょうか。
○吉井政府参考人 お答えをいたします。
先生御承知のとおり、我が国においては肥育ホルモンは使用されていないという実態がございます。したがいまして、生産過程で肥育ホルモンを使用したことについて仮に表示をする際に必要な情報というものは、我が国のものではなくて、生産過程である諸外国、アメリカだとかカナダ、そういったところの情報になるということでございまして、そういう意味で、表示を実効あらしめるための実行可能性という面から、現実的に表示を行うことというのは困難ではないかというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 今、困難とおっしゃいましたが、あり得ないんでしょうか、やりようがないんでしょうか。国民のために、消費者のために、畜産農家のために、それは困難だということを含めておっしゃっているんでしょうか。
これは大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣、最後にちょっと、これはもう恐らく事務方の、現時点でお答えする職責を超えていると思いますので、大臣に政治家として御答弁願いたいと思います。
○吉井政府参考人 お答えをいたします。
明確に一〇〇%だめだというのはなかなか言えないかと思いますけれども、現実問題、非常に大きなハードルがあるというのは事実だと思っております。
○今城政府参考人 ホルモンフリーのお話でございます。
まずちょっと、いわゆる、それはきっちりとトレーサビリティーがないと、それが本当に肥育の状態でアメリカでどういう状態だった個体かというのがわからないということになります。現在、当然アメリカにはそういうトレーサビリティーはありません。我が国のように耳標をつけているわけでもなく、群れの中で生活して、生まれてきて、誕生日もわからないというのがほとんどの牛でございます。
そういう中で、トレーサビリティーを相手に義務づけるということが結局要求されるということになりますので、それはコーデックスの規定上も、相手に、自国がやっているからといって、そのトレーサビリティーの義務づけを要求することはできないというふうに決められております。
したがいまして、それを相手に要求すればできる、それはそうかもしれませんけれども、そういうことが国際上のルール上も、そういうことをトレーサビリティーではやってはいけない、こういうルールになっているということでございます。
○山本(有)国務大臣 先ほど今城さんがおっしゃられたとおり、諸外国にトレサの情報伝達義務を課すということにおける現実性というものを判断した場合にかなり困難な面があるということはわかります。そして、残留農薬基準を設定しておき、なおかつ、また肥育ホルモンが残留していないという証明を我が国だけでできるかどうかという、そういう判断もあります。
そうした中で、食の安全のための表示というもののあり方というのは、お互いこれから考えなければならない課題であるということだけは、私も委員と認識を共通するところでございます。
○北村委員長 既に時間が来ております。
○重徳委員 時間が来ておりますが、こういうことに突き当たるということぐらいわかった上で、コーデックス委員会で採択、採決のときに賛成するか反対するかは決めなきゃいけないと思うんですよ。何か理由もわからず、それで農水大臣も何かよく知らないけれども賛成しちゃいました、そういう過去があります、こういうことだから困るんですよ。日本の外交姿勢、国益を守る、私はトランプさんに学ぶべきところはあると思いますよ。
そういうことを最後に申し上げまして、ちょっとこの問題は引き続きやっていきたいと思います。重要な問題だと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。