平成25年4月26日 厚生労働委員会
「消費税は総額表示か外税か?消費税は地方税化」
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
本日は、消費税の適正な転嫁について議論をさせていただきます。
稲田大臣、大変お忙しいところ、どうもありがとうございます。中小の商店街などの状況についてこの後議論してまいりたいと思いますので、できれば後ほど所感を少しお聞きできればと思っております。
先日、週末に、私の地元、愛知県の西尾市の商店街、中小企業を訪ねまして、消費税が来年にも増税される可能性があるということで、それが上がったらうまく転嫁できるかどうか、どうでしょうというようなお話を伺ってまいりました。
業界は、卸売業、飲食店、建築業、小売店などさまざまでありましたが、BツーB、いわゆるビジネスとビジネスの間の場合と、BツーC、コンシューマーとの間でもそれぞれあると思うんですけれども、きょうは、小売業に少し焦点を当てて議論をさせていただきたいと思います。
整理すると、中小の小売店の方々の今後の対応としては、大きく分けて現時点では三通りありました。大変迷っておられましたし、悩んでおられましたが、大きく分ければ三通り。
まず一つ目は、もう値段を変えるわけにはいかない、税込みの、総額としての値段を変えるわけにはいかない、かぶらざるを得ない。よく言えば、例えば食べ物のケーキだとかパンの場合は、お客様にとにかく安くておいしいものを提供したいんだ、そういうことをおっしゃる方もいらっしゃいました。それから、二つ目のパターンは、そうはいっても、お客さんに転嫁しないとやっていけないということで、きちんと転嫁するんだとおっしゃる方もいました。それから三つ目は、この際、値上げせざるを得ない。これは、今まで抑えていたんだ、便乗値上げと言われるおそれはあるけれども、今まで我慢してきたところを、この際、上げざるを得ないかなと。いずれにしても、大変苦しい経営状況の中で苦渋の決断をいずれ迫られる、そんな状況でございました。
この三つの対応、いずれも問題はあると思います。問題といっても法的な問題という意味じゃないんですけれども、まず一つ目は、値段を総額で変えないということは、消費税増税分だけ逆にお店がかぶる、あるいは量や質を下げざるを得ないということでありまして、お店がかぶるということは、お店の利益を下げる、人件費を切り下げるなど、あるいは仕入れ先にかぶせちゃうということだって当然、今回の法案で危惧されているような状況が生まれ得るということなんです。
今回の法案でいいますと、転嫁を適正化するということが目的なわけですから、仕入れ先にかぶせる、かぶってもらうということはだめだということですけれども、やはり、お店がかぶって、小売店が利益を下げざるを得ないとか、商品の量や質を下げざるを得ない、こういう声がありますが、こういう声をどのように受けとめておられますでしょうか。中小の小売業者に対しまして、御答弁をいただければと思います。
○竹内大臣政務官 お答えいたします。
今般の消費税率の引き上げが二段階にわたるものであることもあり、先生御指摘のように、多くの中小事業者の方々から、消費税の価格転嫁について不安の声が寄せられていることはよく承知をいたしております。
消費税の最終的な負担者である国民の皆様に今般の税率引き上げの趣旨をよく受け入れていただき、ひいては小売店における円滑な転嫁を確保していくためには、消費税率の引き上げによる増収分は全額社会保障財源化する、そして国民に還元するとしていること、そしてまた、消費税は転嫁を通じて最終的には消費者に御負担をお願いする、そういうことが予定された税であるということなどにつきまして、国民の皆様に丁寧に説明をしていくことが重要なことと考えておりまして、今後も、以上申し上げましたような点につきまして、しっかりと周知広報に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○重徳委員 もう本当に苦渋の決断で、それでもきちんと転嫁するという決断をされたお店に対して、お客さんが、便乗じゃないかとか、何でこんなことになるんだというようなことで、お店の方々をまた苦しめるようなことがないように、しっかりと広報に努めていただきたいと思います。
そして、きちんと転嫁するという二番目のケースは、まさに今回の法案の趣旨にも適合するわけでありますけれども、これが本来の姿だということなのかもしれません。これは、当然ながら駆け込み需要を喚起して、増税後には需要が冷え込むという、小売業者にとっては本当の意味で一番危惧される状況になるわけですが、この対策についてどのようにお考えか、御答弁をお願いします。
○赤羽副大臣 私も今回の総選挙の前は浪人をしておりまして、地元神戸の下町の商店街、数多くありますが、どこへ行っても、全国、議員の皆さんの各地域と同じように、小売商店街、大変な苦戦をしております。私も、先生と一緒だと思いますが、一軒一軒消費税のことを聞くと、消費税を上げたらもう商売できないという声が大半を占めておりました。
ですから、消費税を一応政府では上げるということになりますが、その前提となる日本経済全体の回復というのを、本当に今、安倍政権、自公政権挙げて最優先にやっていかなければいけないというのが大前提だと思います。
消費税の転嫁問題については、転嫁はされるべきものであって、どこかがかぶるものではない。それは当たり前のように、今、財務省の答弁がありましたように、周知徹底してもらわなければいけないと思っております。
さはさりながら、これだけ売り上げが減っている。例えば、町のラーメン屋さんが一杯五百円のラーメンを売っていて、消費税を三%上げなきゃいけない。十五円上げるにしても、売り上げが減っているときに末端の売価を値上げするというのは自殺行為。うちは実家がパン屋だったものですから、全くそういうことはわかるので、そのことを本当にどうしていくのかということを、新しい制度を決める以上はしっかりとしていかなければいけない。
経済産業省の立場としては、同時に、小売商店が、例えばレジスターなんかを入れかえるときとか、そういったものについては、もう御承知だと思いますが、平成二十五年度の税制改正におきましても、中小小売店の魅力向上や事業効率の改善のための設備投資を支援する税制を創設いたしまして、商業などを営む中小企業、小規模事業者がレジスターですとかショーケースですとか照明設備などの器具や備品を取得した場合に、取得価格の三〇%の特別償却ですとか、または七%の税額控除を認めるということを決めたところでございます。
あとは、商店街に対して、さまざまな継続的なイベントについては、二十四年度の補正予算で百億円を計上させていただきましたし、また、商店街というのは、実は商機能だけではなくて、治安とかまちづくりという公共的な機能があるわけですから、防犯カメラとか街灯とかにつきましても、施設整備として二百億円を計上したところでございます。
いずれにしても、苦戦をしているといっても、商店街は小売業全体の販売額で約四割を占めておりますので、政府を挙げて、経済産業省を挙げてしっかりと支えていきたいと考えているところでございます。
○重徳委員 ある意味、小売の場合は、BツーBのときの転嫁拒否という目に遭うわけではないんですね。逆に、知らず知らずのうちにお客さんに来てもらえなくなるという、見えざる相手の反応を予想しながら対応を考えなきゃいけない、こういう決断をしなきゃいけない、そういう声が本当に上がっているわけでありまして、パン屋さん御出身ということでよく御承知だというふうに感じますけれども、本当に切実な問題であります。
まして、これまで、例えば総額表示で、切りがよく百円とか千円とかやっていたものは、千円の場合は本体価格は九百五十三円なんですね。そのままこれを八%分にしていくと千二十九円という非常に中途半端な数字になりますし、さらに、そのまま一〇%に消費税率が上がったら千四十八円。非常にわかりにくいですね。
二段階だからなおさら、一年半たったらまたちょっと値段が変わったけれども、何でこんなに変わるんだ、どう変わったんだ、よくわからないと。ですから、お店の方も、こんなことなら、八%という段階を経ずして、最初から一〇%にしてもらった方がわかりやすいという声まで上がっておりました。
こうした総額表示の問題、それから二段階引き上げの問題について、どのようにお考えか。これは竹内政務官でしょうか、よろしくお願いします。
○竹内大臣政務官 お答えをいたします。
まず、小売業界におきましては、税率引き上げ後も値ごろ感のある価格表示を維持する観点から、御指摘のように外税表示の方が望ましいとの意見がある、他方、顧客との関係や公平な競争環境を確保する観点から、総額表示を維持すべきとの意見もあるわけでございます。事業者の皆様の中にもさまざまな意見があるものと承知をしているところでございます。
本法案では、事業者の円滑な転嫁の確保や、値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、消費税率の引き上げ前後の期間においては、消費者に誤認されないための対策を講じていれば、税抜き価格のみを表示することも可能となっております。
また、中小企業団体から、総額表示を維持した上で値ごろ感のある本体価格、括弧税抜き価格を強調して表示することが現行法においても可能であるということを明確にしてもらいたいとの要請もありました。このことも踏まえまして、本法案におきましては、税込み価格が明瞭に表示されているときは、九十八円や百九十八円といった、値ごろ感のある本体価格を強調して表示しても景品表示法の不当表示には当たらないということを条文上明確化したところでございます。
このように、今回の法案は、外税で価格表示を行いたい事業者や、外税の価格を強調して表示したい事業者の要望を十分に踏まえた内容となっていると理解しております。
それから、二つ目、消費税率を二段階で引き上げることとしたのはなぜかという御質問でございます。
当時の議論を申し上げますと、まず、税率変更は事業者における値札の張りかえやシステム改修などの事務コストを増加させることから、引き上げ回数がふえることで事業者の事務負担に与える影響に留意する必要があるということもございました。一方で、税率を一度に大幅に引き上げる場合には、やはり経済の変動を増幅するおそれがあるため、税率を段階的に引き上げることによって、駆け込み需要や反動減などの変動を平準化する効果が期待できるという点が考えられるわけでございます。
こうしたことから、一回で消費税率を一〇%に引き上げるよりも、二回に分けて引き上げることが妥当だとされたものであるということでございます。
○重徳委員 今の、外税の例外的な表示を認めること、それから二段階引き上げの問題、少し後にもう一度議論させていただきたいと思います。
その前に、商店街の第三のケースですね。この際、値上げをしようというふうにおっしゃる方がいるわけなんですけれども、これも非常に悩ましいですね。
例えば、税込み千円で、つまり本体価格九百五十三円で商品を売っていた。これを、わかりにくいので、この際、本体価格を千円に値上げした上で、そうすると八%ですから千八十円。つまり、総額で千円から千八十円にこの際上がるというのは、見る人によっては便乗値上げだ、お客さんには非常に評判が悪かろう、こういう悩みに直面するわけであります。
しかも、これは、先ほどちょっと言いましたように、もともと切りがよく千円で売ろうと決めただけの話でありまして、別に価格というのは、厳密に、原価だとか経費とか利益とかそういうものをきちんと積み上げて、この価格しかないなんというような決め方をするわけではなくて、要は、千円だったら売れるかなとか、五百円だったら売れるかな、そういうことで価格を決めるわけです。そういう意味では、今までなかなか利益が上がらないという状況を我慢していたことも往々にしてあったかと思います。
ですから、世に便乗値上げというのは問題だとよく言われますけれども、しかしながら、もともと低く抑えていたんだ、この際少しついでに上げざるを得ないかなというケースと両方あると思っておりまして、この際という場合には、物すごく問題かというと、一概にこれは問題とは言えないんじゃないかということで、何が問題かというのが非常に見えにくい状況だと思うんです。
この点につきまして、消費者庁さんでしょうか、どのようにお考えでしょうか。
○草桶政府参考人 お答え申し上げます。
一般に、個々の商品の価格は、競争のもとで、市場の条件全体を反映して決定されます。したがいまして、実際にどのような場合に便乗値上げに該当するのか否かということにつきましては、それを判断するにつきましては、それが税負担による上昇幅、率を超えているかという点だけではなくて、商品の特性でありますとか需給の動向、コストの変動など、種々の要因を総合的に考慮する必要があると考えております。
このため、御指摘のケースでございますけれども、これが便乗値上げに当たるかどうかにつきましては、単に価格の引き上げ率だけではなくて、これに加えまして、ただいま申し上げた、いろいろなコストの変動でありますとか市場の動向でありますとか、そういったようなことを総合的に考慮いたしまして、実態に即して判断をする必要があるというふうに考えております。
○重徳委員 ちょっと稲田大臣に、感想でも構いませんけれども、結局、小売店の方々は、値段を上げないにしても適正に上げるにしても、あるいはこの際ちょっと大幅に上げてしまおうか、いずれにしても、非常に大きな悩みに今直面をしております、そういう状況に置かれている小売店に対して、一言コメントをいただければと思います。
○稲田国務大臣 今、重徳委員から、小売店に着目をして、この法案をめぐって、さまざまな観点から、また委員が実際に小売店の方々から聞かれた意見をもとに質問をいただきました。
それを聞きながら、やはり一つは、消費税を上げなきゃいけない現状にある社会保障の伸び、そして、ひとしく消費税の負担分を負担しなきゃいけないということを国民全体が認識する必要があると思いますし、また、委員が御指摘のように、弱い立場にある中小事業者が消費税の値上げに際して不当な不利益をこうむることがないように、この法案もきちんと転嫁ができる環境を整備していくという法案でありますので、早期に成立をして、環境整備に努めたいと思っております。
○重徳委員 ありがとうございます。
それでは、先ほどちょっと問題提起をしました総額表示か外税かという問題に戻りたいと思います。それから、二段階で引き上げるという問題についてです。
まず、二段階で引き上げることにつきまして、経緯は先ほど竹内政務官からお話しいただきましたが、実際に、一度引き上げるということと二段階、二度引き上げることによって、経済的な影響というのは違うと思うんですね。そのときに、実際、一度よりも二度に分けた方が本当に景気への影響というものは軽いんだというふうな何か客観的、数値的な分析、あるいは過去の経験に照らしたものがありましたら、教えていただきたいんです。
○西川政府参考人 消費税引き上げの経済に及ぼす影響、特に一度か二度かということで御質問いただきました。
消費税率の引き上げが経済に及ぼす影響につきまして、過去の例、あるいは諸外国にもそういう例がございますので、そういうものを見ますと、引き上げ前後の期間で、耐久財を中心に、税率引き上げ前の駆け込み需要、またその後の反動減というのが見られるということがやはり一般的ではないかと考えております。
したがいまして、消費税率を一度に大幅に引き上げるような場合には、経済の振幅が増幅されるおそれがあるのに対して、段階的に引き上げを行うような場合には、そうした影響が緩和されるものと見込まれております。
○重徳委員 大体理解はされるところです。
それにしても、段階的に引き上げていく。もっと長いスパンで見れば、平成に入りましてから、まず消費税が導入されたとき、三%でした。それから五%に一九九〇年代に上がりまして、このたび、いよいよ八%、一〇%と、どんどん上がっていくんですね。
きょうの午前中、ライフコーポレーションの清水会長から、欧米ではもっともっと高いんだ、今まで低過ぎたんだというようなお話もございましたけれども、一〇%ならもう十分だ、これ以上上がらないんだということは、多分多くの方々もこれで終わりだと思っておられないんじゃないかと思うんですね。人口減少は進む、高齢化も進む、社会保障は増大する、財政も好転しない、そういう中で、こうした不安心理というものが経営者にも消費者にも希望をなかなか持てる状況を生み出さない、こんな状況です。
社会保障国民会議の議論もなかなか進んでこないというか、明らかになってこないんですけれども、消費税率というのは一体どこまで引き上がっていくものになるのか、現時点での見通しがあれば御答弁願います。
○竹内大臣政務官 消費税率の水準がどこまでが適正かという問題は、本当にもう社会全体で考えるべき問題である。社会保障の水準とか、大きな政府を目指すのか、中程度の政府を目指すのか、小さな政府を目指すのか、それは大変総合的な御議論が必要なんだろうというふうに思っております。
まず、政府といたしましては、今回の消費税率の一〇%への引き上げを含む社会保障と税の一体改革を確実に実現するには、三本の矢で長引くデフレ不況から脱却し、日本経済の再生に全力を挙げていくことが重要であると考えておるところでございます。
したがいまして、その後の消費税率につきましては、現時点で政府としてはお答えできる段階にはないということでございます。
○重徳委員 当然想定内の御答弁なんですけれども、逆に言えば、もうこれで十分だという御答弁でもないわけです。
これはやはり、国民的な議論の中でこれからの社会保障の水準を考えながら、私は本当は、今の少子化の傾向を、もっともっと子供をふやしていくんだという断固たる政治の姿勢が必要だと考えておりまして、日本社会がいろいろな意味でこれから持続できないんじゃないか、発展していかないんじゃないか、こういう不安感を与えているのは、少子化、そしてそれによる人口減少という問題、高齢化という問題だと思っておりますので、そういったことにこれからもっともっと政治が取り組んでいかなければならない。つまり、増子化という言葉を私は使っているんですけれども、子供をふやす、増子化という方向での政策もどんどん打っていく必要があるのではないかと考えております。
それはさておいて、今度は総額表示の議論に入ってまいりたいと思います。
きょう、午前中からずっと、外税の話、外税の方がいいんじゃないかということが議論になってまいりました。
ここで改めてお聞きしたいんですけれども、消費者からすれば、内税、総額表示にすると、これは外税にした場合に比べて税の負担感というものが軽くなるような気がいたしますけれども、これはもう直観的なものですが、このあたり、財務省としてどのようにお考えかということ。
結局、トータル幾ら払えばいいのかわかりやすくするというのが総額表示を導入した経緯であると思います。そうした結果、ある意味でのわかりやすさはあるけれども、税を幾ら負担しているかということがわかりにくくなり、込み込みで一九八と言われたら、何の税負担の抵抗もなく買い物をしちゃうというような気がします。
きょうは割とそういう議論が多かったわけなんですが、このあたり、税の負担感というものについてどのように捉えられているか、お聞きいたしたいと思います。
○竹内大臣政務官 お答えいたします。
先生よく御存じのこととは存じますが、過去の経緯から申し上げたいと思います。
まず、現行の総額表示が導入された理由につきましては、平成元年の消費税の創設後は、消費者向けの価格表示は各事業者の判断に委ねられてきたところでございます。その後、平成十五年度改正におきまして、それまで主流であった税抜き価格ではレジで請求されるまで最終的に幾ら支払えばいいのかわかりにくい、それからまた、税抜き表示のお店と税込み表示のお店で価格の比較がしづらいといった消費者のさまざまな、多くの声がございまして、これらを踏まえて、消費者向けの価格表示につきましては総額表示が義務づけられることとされ、平成十六年四月から実施されているところでございます。
その上で、総額表示は外税に比べて消費者の税負担感がわかりにくい、少ないというような先生の御質問であろうと思いますが、消費税の総額表示の義務づけは、今も繰り返し申し上げましたように、消費者の利便性の観点から導入されたものでございまして、この点につきましては、当時の民間事業者の方々の提言もございました。それから、政府税調の答申等におきましても同様の指摘がなされていたところでございます。
総額表示制度は、値札などに消費税額を含む支払い総額の表示を義務づけるものでありますけれども、あわせて消費税額や税抜き価格を記載することを妨げるものではありません。したがいまして、消費者の税負担感を減らすことを目的として導入したものではないということでございますので、御理解を賜りますよう、よろしくお願いしたいと思います。
○重徳委員 お伺いしているのは、確かにそのために導入したことはないと思うんですけれども、現にお買い物をする方が何となく税を払っている感じがしないというか軽く感じる、外税方式よりもそう感じるんじゃないかということについて、それが目的ではないとは思いますが、実際どう感じておられるとお思いでしょうか。
○竹内大臣政務官 繰り返しで恐縮でございますけれども、私どもとしては、総額表示制度は消費者の利便性の観点ということから導入したわけでございます。
先生がおっしゃることもわかる点はあるんですが、消費者がどのような場合に税負担を感じるかはケース・バイ・ケースであると思われまして、価格表示の方法と税負担感の関係につきましては、一概に申し上げることはちょっと困難ではないかと考えているところでございます。
○重徳委員 これは、安易に認めてしまうと財務省としてもいろいろとやりにくい部分が出てくるという面もあると思うんです。しかしながら、やはり総額表示方式をとっているがゆえに、先ほどから申し上げているような税負担のわかりにくさ、あるいは小売業者としてはかぶらざるを得ないというような状況だって出てくるわけですし、どうも、よらしむべし、知らしむべからずとまでは言いませんけれども、何となくそういうような面は内在された仕組みのような感じがいたしております。
まして、今回のこの転嫁に関する法案は、そこのわかりやすさを明確にするため、あるいは値札張りかえとかいろいろな事務手続の簡便さのために外税方式もあえて時限的に認めているわけでありますし、逆に、税の負担感というか、税は負担しなくてもいいんだというような消費税還元セール、こういうような売り方だってだめだと言っているわけです。税をちゃんと負担しているんだ、転嫁しているんだということをはっきりしないとだめだよ、これが今回の法案の大きな趣旨だと思いますので、そういう意味では、総額表示方式の問題点といいましょうか、その基本精神とやはりちょっと違う部分がどうも見受けられると感じております。
しかも、平成二十九年三月までという時限的なものですから、平成十六年から九年でしょうか、ようやく定着してきたこの総額表示に対してまた例外をつくって、それでまた数年たつとその例外もなくなってしまうというようなことで、非常に中途半端な措置のように見えてまいります。
その意味で、ここはあえてお伺いしますけれども、今後、私の感覚では八%、一〇%で終わらないんじゃないか、これからも引き上がっていくんじゃないかと思われる消費税の引き上げ、こういう局面において、外税方式というものを改めて検討してみてはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。
○竹内大臣政務官 少し申し上げたいと思いますが、先生の御趣旨はよく理解できるところでございます。
価格表示のあり方を検討するに当たりましては、消費者からの視点と事業者からの視点の両面からの検討が必要と考えております。総額表示の義務づけは消費者の便宜の観点から導入されたものでございまして、繰り返しで恐縮ですが、基本的には引き続き維持していくべきものと考えているところでございます。
他方、税率の引き上げ時におきましては、総額表示義務を厳格に適用することは、事業者にとって値札の張りかえなどに多大のコストがかかり、ひいては円滑な転嫁の確保も困難になることが考えられます。このため、本法案では、消費税率引き上げ前後の期間に限り、消費者に誤認されないための対策を講じていれば税込み価格を表示しなくてもよいとするとともに、消費者にも配慮する観点から、できるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めなければならないとする特例措置を設けたところでございます。
○重徳委員 必ずしも歯切れのいい御答弁ではなかったと思います。
今回、外税方式を部分的に、時限的に容認するということによって、いろいろなところにさらなる混乱を招きかねないと思います。とにかく、やるからにはしっかりと周知というか徹底するということが必要だと思いますので、この点、強く要望させていただきます。
最後に、少し違う観点の議論です。
今回、消費税が最終的には五%から一〇%に上がります。今までは、五%のうち一%分は地方消費税でした。さらに、残りの四%の国税分の三割は地方交付税の財源でした。こういう経緯があるんですが、これから一〇%に消費税率が上がった場合に、地方の取り分というのはどのようになるのか、御答弁いただければと思います。
○平嶋政府参考人 お答え申し上げます。
今、お話のありました地方消費税につきましては、平成二十六年四月一日の八%段階のときに一・七%、それから二十七年十月一日からの一〇%段階で二・二%に引き上がることになっていることは御案内のとおりでございます。
それで、交付税を合わせたものでございますけれども、これは、交付税の方は年度単位で交付税率を決めているものですから、ちょっと詳細はあれですけれども、最終的に一〇%段階になったときには、交付税と合わせまして、国の方が六・二八%、地方の方が三・七二%を持つということになっております。
○重徳委員 今の御答弁によりますと、地方消費税と地方交付税分、つまり地方の取り分を全部合わせると、消費税一〇%のうち、トータル三・七二%ということですね。
現行においては、地方の取り分は、消費税五%のうち一%分、プラス残りの四%のうちのたしか二九・五%ということですから、足し合わせると、これは一〇〇%換算しますと、私の手元の数字では、消費税全体のうち四三・六%。これに対して、先ほど御答弁いただいた、これからは地方の取り分が三七・二%ということですから、四三・六から三七・二に減るんですよね。
この、取り分が減るということについて、これはどのような理由によるものか、お願いします。
○平嶋政府参考人 今、数字につきましては、重徳議員が御指摘のとおりでございます。
なぜそういうことになったかということでございますが、御案内のとおり、今回の社会保障・税一体改革で引き上げます五%分については、全て社会保障に充てるということになっております。その中でも、特に社会保障四経費と言われる、年金、医療その他に充てることになっているわけですが、そのために、その四経費にのっとった範囲内の社会給付におきます、国と地方がそれぞれどれぐらいの割合を持つかということに応じて配分しようということで、国と地方の協議の場において、国側と地方側でも協議が行われまして、そういった合意がございました。
その際、国と地方の社会保障四経費の範囲を比べますと、御案内のとおり、基礎年金の国庫負担分について極めて国側の負担が重いということもございまして、社会保障四経費にのっとった範囲でございますと、大体、国、地方の割合が七、三になる。そういう関係がございまして、五%分についてそういう配分をした結果、先ほどのような国分の割合がふえるという結果になったものでございます。
以上でございます。
○重徳委員 国税と地方税の割合というのは、非常に地方分権論においても重要なところでございまして、確かに今回の、五から一〇に消費税が上がる、これは社会保障財源になって、そして基礎年金の財源に充てることがかなり多いものだから、国の取り分が結果的にふえちゃう。これはこれで、理屈としては、経緯としては理解しないでもないんですが、やはり大きな流れとして、これまで地方というのは三割自治と言われていて、その昔は国税対地方税は二対一ぐらい、これがようやく最近では五五対四五、かなりフィフティー・フィフティーに近づいてくる、こういう長い営みがあったはずです。
ですから、今回、消費税という、非常に、地方の偏在性、地域による偏在性が少ない、地域にとって、地方にとっては安定財源と言われる、そういう税源を引き上げるに当たりまして、結果的に地方の取り分が減るというのは、やはり全体的に見ると、どうも腑に落ちない面があります。
これは、いろいろなことを考えれば、確かに消費税、基本的には国税ですから、だから幾ら地方の取り分があるといっても、では、その地方の首長や地方議員が、自分のマニフェストで、地方消費税増税ということを、あえて、政治生命をかけて選挙を戦った人が今までいるかというと、正直、いないわけなんですね。
やはりこれは、基本的に、制度的に国税であるから、地方消費税というのが部分的にあるにしても、国が、あるいは財務省がしゃかりきになって税率を上げるということに熱心になるわけなんですけれども、これからの時代は地方の時代です。
私ども、道州制ということを高く掲げております。今までのように、国が地方にいろいろな仕事を、あれやれこれやれと全部決めて、そのかわり金は面倒見たるでという方式で、地方交付税で全部財源保障する。保障する、保障すると言っているうちに、この間予算委員会でも申し上げたんですが、年間必要な二十三兆円のうち、半分以下しか本来の形で地方交付税源を確保できていない、こんなようなことになるわけです。
この点につきましては、私からの意見を申し上げておしまいにしようと思いますが、とにかく、これから地方の自立、これは財政的な自立というのは何よりも重要なところですから、ぜひとも、消費税の地方税化ということも掲げておりますけれども、重要な地方の財源だと思いますので、この点、しっかりとこれからも議論をさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。