H25年12月3日 消費者問題に関する特別委員会
「大切な日を台無しにさせないために-偽装表示問題-」
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○重徳委員 続きまして、日本維新の会の重徳和彦です。
一連の高級レストランにおけるメニュー偽装表示の問題について質問をさせていただきたいと思います。
ただ、質問に入ります前に、きょう、このような委員会、急に開かれまして、国会の議論の質を下げるものだと思います。質問者に十分な準備の時間を与えない。もちろん、大体どういうことを聞こうかということは決めていますよ、委員会を開いてくれと言っているわけですから。だけれども、具体的な質疑に与えられる時間だって、きのうの夜になって決まったわけですし、八時になって決まったんです。それから具体的にどういう質問をするかという項目を選んで、そして一番最新の情報を収集して、結局、役所に対する質問通告、打ち合わせ、終わったのは本当に夜中ですよね。結局、役所の皆さんが徹夜の作業をして、そしてようやく本日を迎えているわけですよ。
与党の皆さん方は余りお感じじゃないかもしれませんけれども、役所に対してこういう妙な負担を与えるようなことを与党の議員さんたちがやられているわけですよ。
これはやはり、実質国会ということをずっと私たちは主張しているわけでありまして、このようなことを繰り返さないように……(発言する者あり)
○山本委員長 御静粛にお願いします。
○重徳委員 このような乱暴なやり方ということを繰り返さないように、強く求めたいと思います。今回の国会はめちゃくちゃですからね、はっきり言って。もういいかげんにしてもらいたい、そういう気持ちでおります。
ということを前置きいたしまして、本件は高級レストランで発生した問題だということをまず申し上げたいと思います。これは本当にバランスのとれた議論が必要だと思うんですよ。
年に一回ですよね、高級レストラン。奥さんの誕生日とか結婚記念日とか、そういう大切な日に、年に一回行けるか行けないか、そういう大切な日を過ごそうと思って、きょうは久しぶりにおいしいワインを飲みながらおいしい料理を食べたね、こういう思い出のその日を全て崩壊させてしまうような、本当にだまされたという思いだと思いますよ。そういう意味で、厳しく対処すべき事案だと思います。
委員の皆さん方も、地元にそれぞれ、近所の小さなレストランとか、地産地消にこだわっているレストラン、食堂、お弁当屋さんだってあると思います。そういうところこそ、本当に大変な思いをして、常連のお客さんをやっとつかんで、そういう小さなお店なんかは決してお客さんのことを裏切るようなことはしないと思います。それに対して、大手のレストランがこれまでに積み重ねた信用にあぐらをかくような形で今回のような問題を起こすというのは、本当にこれはがっかりですね。
ただ、一方で、きれいごとばかりじゃないと思うんですよ。だから何でも厳しくすればいい、世の中全部厳しくすればいい、こういうものでもまたないんです。
例えば、近所の食堂といってもいろいろな食堂がありますね。本当に安い食堂とか、一泊二食つきで数千円の安い宿、こういうところで、多少、朝とれたての卵でつくったオムレツだと言われても実は二、三日前のものだったとか、新鮮な魚と言いながら冷凍の魚でも、これは、だから安いんだよなとどこかで消費者の皆さんも思うところがあるわけでして、だから、世の中全部がこういう問題に覆われるということではないと私は思っています。
消費者側も、これもちょっと言い方を気をつけなくちゃいけませんけれども、ちょっと気持ちよくだまされていた方がましだという部分もあると思うんですね、知らぬが仏というか。だから、安い料理なんだから、中身に余りこだわらない人が多いと思います。そこで、あえて、古い卵でつくったオムライスとか、冷凍で海外から取り寄せた魚とか、そんなことは言わなくてもいいよ、こういう消費者心理もやはりあると思うんです。誰でも、安いものには安いなりのわけがあるということも、消費者も本当に賢いですから、そこは理解していると思います。
そのような意味で、広い世界の中、日本社会の中で、今回の高級レストランが起こしたこの問題について、消費者庁というのは、唯一、消費者の立場から物事を捉える役所ですから、消費者庁として今回の問題をどのように捉えられているか、まず全般的な見解をお話しいただきたいと思います。
○森国務大臣 消費者が商品やサービスを選択し、購入する、それに当たって、表示は極めて重要なものでございますので、正しい表示が行われているということが大前提だというふうに思っております。
ホテル、百貨店や高級レストランにおける今回の事件でございますけれども、委員が御指摘のように、大切な場所、大切な時間、大切な機会、そのときに、消費者が、高いお金を払って、そしてそれに見合う、価値のある内容を求めているというふうに考えられますが、そこが表示とは違うということを提供していたということは、大変ゆゆしき問題だというふうに考えております。これは、国内外の消費者の日本食に対する信頼をも失墜させかねない事態だと憂慮しております。
この問題について、重大な問題として、しっかりと消費者担当大臣として迅速かつ厳正に対処してまいりたいと思います。
○重徳委員 ちょっと私の質問の仕方がよくなかったかもしれません。
今回の問題は高級レストランの問題であって、中小、小さな食堂、レストラン、宿、そういうところの問題とは捉え方は一緒でいいんでしょうか。それとも、やはり、高級なレストラン、一流のレストラン、ホテルでこのような偽装表示と言われるようなことがあったことが問題なんでしょうか。どう捉えていらっしゃいますでしょうか。
○森国務大臣 景品表示法におきましては、消費者に著しく優良であると誤認させる表示を規制しておりますので、これは、どのような場所であれ、その表示が実際のものと比べて著しく優良であると誤認させるものであれば、それは許されないものであると考えております。
○重徳委員 この点は後ほどもう少し詳しくやりたいと思うんですが、今回、いずれにしても、起こったのは、高級レストランで問題が起こったわけですから、高級レストランでの事例として、それを前提としてしばらく議論を続けたいと思うんです。
今回、しばらく前にこういった分厚い資料をいただきまして、そこに今回の食品表示等問題の主な事例ということで、二枚ほどで、どこのホテルでどういった内容の問題が起こったかというものが整理されておりますが、私は、自分なりに整理をしてみて、いろいろなケースがあるんですけれども、大きく四つに分けてみました。
一つは、加工ですね。特に、ビーフステーキと偽って牛脂注入肉、加工肉を売っていた、こういうケースがあります。
それから二つ目に、品種ですね。普通の白ネギを九条ネギと言ってみたり、ブラックタイガーをクルマエビと言ったり、バナメイエビをシバエビと言ったり、ロブスターをイセエビと言ってみたり、これは明らかに違うわけですよね。違うことを言っていたということ。
それから三つ目に、産地ですね。エゾアワビを房総アワビと言ったり、中国産を国産だとかフランス産と言ったりということ。
この辺になってくると、違うといえば違うんですけれども、何となく、世の中は、本当の産地じゃないんだけれども、出荷しただけでどこどこ産なんというのはよくあるよねなんということが、詳しくわからない一般消費者の間でも、そういうケースもあるのかなということはあります。それがいい悪いは別としてですね。
私の地元でいうと、西尾市というところで抹茶を生産しているんですけれども、多くは京都に持っていって宇治茶として売られているとか、そういう地元的には非常に悔しい状況なんですけれども、ブランド力を持って物を売るという、一つの戦略といえば戦略かなということだと思います。
それから四つ目は、状態といいましょうか、冷凍の魚を使っているのに鮮魚のムニエルだとか、既製品のジュースなのにフレッシュジュースだと。これは、明らかに違うという部分もあるかもしれませんが、若干、程度の差かなという感じもします。例えば、とれたての卵だ、とれたての野菜だといったときに、けさとれたとイメージする方もいるし、ここ二、三日の間だというふうにイメージする人もいるし、そういう意味で、新鮮とかとれたてという言葉も、言葉の定義、許容範囲というものもあるのかなという意味で、若干その幅がある、このように私なりに分類をしてみたところなんです。
それで、質問なんですけれども、この分類というのは私が勝手にした分類ですので、別にこだわる必要は全くないんですが、いろいろな幾つかのジャンル、分類ができるとして、今、情報収集中だ、整理中だということでございますが、例えば今の私のような分類を参考としつつ、今回の事例について、私今悪質な度合いのことをちょっと踏まえて申し上げたと思うんですけれども、明らかに違うことを言っていたのか、程度の差なのか、そういう意味で幾つか分類させていただいたつもりなんですが、こうした悪質の度合いをどのように捉えておられるのか、御答弁をいただければと思います。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
現在、まさに具体的な表示で問題になっているものについて、報道もされておりますが、調査中のものもございます。また、年内ということで、いろいろなものについてガイドラインという形でお示ししたいと考えております。
したがいまして、今御指摘いただきましたものについて、この場でこれがどうというのはなかなか難しいところがございますが、御指摘のとおり、公表されているものの中でも、表示によってそれぞれ問題の差というのはあろうかと思っております。そうしたことを、事件の調査、また、これまで団体から報告、いろいろあるものにつきましても取り上げつつ、事件の処理、また、ガイドラインの作成の中で考え方を明らかにしていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 きのうちょっと事前にいただいた資料が手元にありまして、これは近鉄ホテルシステムズの資料なんですけれども、今私が最初に申し上げましたビーフステーキという、加工のジャンルなんですけれども、例えば、もうこれは書いてあるのでいいんだと思うんですが、ウェスティン都ホテル京都とかシェラトン都ホテル大阪、この辺で、ランチバイキング、ディナーバイキングがあって、加工肉にもかかわらずビーフステーキ、牛ビーフステーキという形で、多くの利用者の方が利用していたというものが手元にあります。
これは、わかる範囲で構わないんですが、バイキングは一体、値段はどのぐらいだったんでしょうか。
○菅久政府参考人 申しわけございません。今ちょっと手元では、値段まで把握しておりません。
○重徳委員 ちょっと事前に調べてみたんですが、ランチバイキング三千円とかディナーバイキング四千五百円とか、そういう数字を消費者庁の方からいただいたんですけれども。
○菅久政府参考人 失礼いたしました。
ホテルから公表されているものはございますが、それの一例でございますけれども、ホテル、レストランで提供していたオーダーバイキング、価格四千円、そのようなレベルのものがございます。
○重徳委員 これを高いと見るか安いと見るかも人によって違うのかもしれませんが、バイキングだけれども四千円とかいう話になってくると、それなりの質が求められる、期待されるということだと思います。ですから、家族連れで、ああ、やっぱりいいホテルで食べるステーキは違うねとか言いながら家族で楽しんでおられた方もいると思うと非常に胸が痛むわけなんですが、こういう消費者の側に立たないと、なかなかこの問題の深さが感じられないと思うんですよ。
物が売れればいいやというような商売を、それは、商売人ですから売れた方がいいし、どうせなら高く売れた方がいいし、そういうのがあるんですけれども、それを利用していた消費者の皆さんが、どういう気持ちで、幸せを感じながら、特に高級レストランなんですから、高級ホテルなんですから、そういう立場に立つのが消費者庁、霞が関でいうと本当に唯一、消費者庁の役割じゃないかなと思っております。
そして、前回、参考人質疑があったんですけれども、そこで維新の会の東国原委員が質疑をした内容、これを森大臣に改めてお伺いしたいんです。
シバエビとバナメイエビというのは何か業界用語でどうだとかそういうような、あっちの世界ではどうだ、常識が違うとか、そういう話があるのかもしれませんが、一般の主婦ならずとも、クルマエビとブラックタイガーを区別できないということは余りないと思うんですけれども、料理する段階で。これが区別できない料理人というのは世の中にいらっしゃると思われますか。
○森国務大臣 料理人であれば区別はできるものと考えております。
○重徳委員 区別をできるにもかかわらず、そのまま出してしまう料理人というのは、一流ホテル、一流レストランの料理人としてふさわしいと思われますか、大臣。
○森国務大臣 個別の事案を一件一件調べておりますが、全てがそうかどうかわかりませんけれども、料理人の方と、それからメニューをつくる方、また仕入れをする方がそれぞれ別のラインで、そこの相互連絡がうまく行われていないという例が散見されます。
仕入れと料理人が別であっても、今委員御指摘のとおり見分けられると思いますけれども、その後メニューが勝手に変更されていて、それが料理人の方まで戻ってきていない、変更された後。そういうことであるなら、そこをやはりまず徹底させるという、ホテル自体のそういうガバナンスの徹底ということも大事だと思います。
もし、料理人が、メニューに違うものが載っているということを知りながらしていたということであれば、それは、委員御指摘のとおり、プロとしての意識を疑われても仕方がない部分があると思います。
○重徳委員 今、大臣おっしゃるとおりで、やはりプロ意識が疑われる、そのとおりだと思います。
それから、きのうの夜中にいただいた資料によりましても、それは場所によりますけれども、料理長さんが、責任があるというふうに捉えられて、その会社の中で更迭されたという事例が実際にあります。だから、その企業においても、そのホテルの中においても、料理長さんに責任があるということで配置転換を命ぜられる、どういう処分かよくわかりませんけれども、更迭されたというようなデータがありますので、企業においてもそう捉えているんじゃないか。
ただ、一方で、経営者からすれば、そんな余計な火の粉はかぶりたくないから全部料理長の責任だということで社内で処理を済ませてしまう、それで、私たちはちゃんと処分をしましたということをもって逃げたくなるという経営者のそういう追い込まれた立場という状況も、状況自体はわからないでもないと思っております。
こういった経営者の問題に今度はなってくるんですが、経営者が、料理長がそのようなことをやっていると知りながらそれを容認していたと思われるケースが、具体的に、今回の中で、情報収集した中であるのかどうか、これについてお伺いいたします。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
現在、関係団体から報告されておりますもの、それの取りまとめ作業を進めているところでございますけれども、これまでの報告の中では、クルマエビと表示していたメニュー、それをブラックタイガー、そうしたものを使用していた、そういった報告がございますけれども、その原因は、景品表示法等の関係法令に関する理解、知識が不十分だったというような報告にとどまっておりまして、委員御指摘のような具体的事例にはまだ接していないところでございます。
○重徳委員 ホテルだとしたら、宿泊する部屋も大事かもしれませんが、基本的に、いい料理を出すというのは一番大事なところなんですから、そこに対して経営者が何らかかわらなかったのか、あるいは、知っていても知っていたとは今の段階ではみずから言うことはないと思いますが。
でも、お客様に対して、一番大事なものに対して無関心だとかこだわらないということ自体、人任せにしてしまう、そして、いざ何かあったら料理長を更迭する。まあ全てのところで更迭されているわけではないですが、料理長が、料理長がと全部書いてあるんですよ。料理長が知っていながらこういう判断をしたとか、全部そういう、言いわけがましいという見方もできると思います。やはり、料理長に全部責任を押しつけているというふうに資料を見ただけでも感じられるんですよね。
ですから、やはりこれは、後ほどお話ししますけれども、コンプライアンスを含めて、経営者としての矜持が問われる問題だと思っております。
そして、先日の参考人質疑におきまして、ホテル協会の会長さんは、お客様を裏切った、欺くようなことを決してしてはいけないという発言をされているわけですが、してはいけないというか、しちゃったわけですよね、今回。これは詐欺ではないかということを東国原委員からも申し上げました。
今回、具体的に、景表法というのは基本的には消費者庁が所管している法案ではございますが、本当に景表法の範囲にとどまるケースばかりなんでしょうか。
やはり、詐欺罪というのは、その構成要件の中には、一般社会通念上、欺罔行為、相手を錯誤に陥らせて財物、財産上の利益を処分させる、そして、相手が錯誤に陥る、錯誤に陥った相手方がそういった財物を処分し、第三者に移転してしまう、つまりお金を払っちゃう、そして、今申し上げたことが、因果関係があって、だました側には故意及び不法領得の意思があったと認められる、これが詐欺罪なわけですけれども、こういう詐欺に該当するようなケースだってあるのではないでしょうか。違う聞き方をすると、ないと言い切れますか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
現在、消費者庁は、委員御指摘のとおり、景品表示法の不当表示に当たるかどうかという観点から調査をしております。もちろん、調査の過程で委員御指摘のような事例に接した場合には、関係当局との情報提供などもしていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 ですから、ないとは限らないということでよろしいですか、私が質問したことに対しては。詐欺罪に当たるケースがないとは限らない。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
もちろん、可能性としてはないわけではないと思います。過去にも不正競争防止法または刑法で警察当局が調査をした件というものもないわけではございませんので、私が今、ないと言えることはないということでございます。
○重徳委員 現段階ではそこが精いっぱいだと思います。
では、今度は、景品表示法の改正も含めた内容について質問を移したいと思います。
大臣、先ほどから、来週パッケージとしてお示しするというふうに言われていましたが、景品表示法の改正というものは十分あり得るというふうに捉えていてよろしいでしょうか。
○森国務大臣 景品表示法の改正も視野に入れて、現行法令の強化を念頭に置いております。
○重徳委員 それでは、景品表示法に立ち返ります。
まず、景品表示法の優良誤認という不当表示の類型があるわけなんですが、これは四条一項一号であって、商品または役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると誤認される表示のことを優良誤認というということなんですが、誤認させるようなことがそもそもあっていいのかどうかというようなことも含めて、この優良誤認という規定の趣旨について御説明いただきたいと思います。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
優良誤認として禁止されているものということでございますが、優良誤認の規定は今委員からお話のあったとおりでございますけれども、いわゆる広告というものには、ある程度の誇張、誇大というものが含まれるのはやむを得ないというふうに社会一般に受けとめられております。
そこで、一般消費者の側も商品を選択する上でそのことは考慮に入れているというふうに考えられますけれども、このため、こうした誇張、誇大の程度、これを一般に許容されている限度を超えて一般消費者に誤認を与える場合ということで、著しく優良という表現になっておりますが、そのようなものは景品表示法上の不当表示に該当することになるということでございます。
○重徳委員 わかりやすく言えば、多少の誇張は競争なんだからあるでしょう、日本一おいしいとか安さ一番とか、それは言うだろうと。本当に一番かどうかは誰も確認していない。だけれども、実際のものより著しく優良だとなれば優良誤認であり、さらに、そこに故意だとか、あるいは刑法で言うと欺罔行為と言われるようなことになれば詐欺に当たる。
つまり、ある程度誇張は容認されている、社会通念上。だけれども、それを超えた、著しい優良なものだと誤認させたら、それはいわゆる景表法上の優良誤認、そしてさらに、それも度が過ぎると刑法上の詐欺だ、こういう理解でよろしいでしょうか。
○菅久政府参考人 基本的にはそういうことだと思っております。
消費者の選択に影響を与えるような程度にその誇張があるということになりますと不当表示ということになりますし、また、委員御指摘のような、さらに故意というようなことが入ってまいりますとというところが、景品表示法と刑法の違いというふうに考えております。
○重徳委員 選挙も多少の誇張はありだなとか、役所をやめて選挙に出たら、いきなり、この人は事務次官候補でしたなんて初めて聞くようなことを言われたり、いろいろ、優良誤認なのか詐欺なのかわかりませんけれども、そういうこともあろうかと思います。そういう意味で、多少幅のあることじゃないかなと思います。
では、最初に森大臣に、今回の事案は高級一流ホテル、レストランの問題であって、中小とか小さな経営体の場合はどうか、そういうような趣旨の話を申し上げましたが、この法律、景表法において一律に適用される、もちろん、適用はされることは間違いない、大手だろうと中小だろうと適用されるでしょうけれども、この優良誤認の著しく優良というその程度にも違いがあるんでしょうか。
消費者も、さっきから申し上げているように、この安いメニューで本物はないだろうとか、そういう消費者側の認識もあると思います。同じ加工肉でも、一万円のステーキと千円のステーキだったら何となく認識が違うとか、あるいは、高級ホテルでイセエビというと本物だろうけれども、安いところだったらもしかしたらロブスターと思っちゃうかもしれない。ティファニーで高級なダイヤといったら本物でしょうけれども、その辺の露店で高級ダイヤといったら、まさか本物だと思わない。こういう要素も加味されてこの優良誤認というものは適用されるんでしょうか。
○菅久政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、表示を見て消費者が実際に誤認するか、また、表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかということにつきましては、商品の性質でありますとか、一般消費者の知識の水準でありますとか、また、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容、こういったことによって判断が異なるということになり得るというふうに考えております。
事業者の事業規模で左右されるものではないと考えておりますが、先ほどのような要素によっては左右されるというふうには考えております。
○重徳委員 今回は一流ホテルということを前提としていますので、また話は一流ホテルに戻しますが、一流ホテルで本物の素材を使っているなんというのは当たり前であって、それは消費者が見ても当たり前だけれども、提供している側にとっても当たり前なんですから、それを確認することなんかは経営者としては当たり前じゃないか、このように思います。
だから、繰り返しになりますが、調査結果、まだ部分的にしか拝見させていただいておりませんが、料理長が間違えたんだとか、料理長のせいだと言わんばかりのことばかり書いてあって、まして、料理長を更迭したんだということをもって物事を済まそう、そういう報告をしているふうにも見えなくもありません。
確認もしないなんというのは、それは、明らかに故意かどうかはともかく、未必の故意というんですかね、にせものであってもまあしようがないな、未必の故意だという言い方だってできると思うんです。
ですから、今、景表法は、措置命令プラスそれを守らなかったら刑事罰という規定でありますけれども、先ほどの、法改正を視野に入れられているという森大臣にお伺いいたしますが、やはり私としては、特にこういう高級な一流のホテル、レストランには、こういうことも厳正に対処する必要があると思いますし、本当に今の措置命令プラス刑事罰だけで足りるのか、そういう疑問が大いにあります。
先ほどから各委員の皆さんがおっしゃるように、これだけ問題が出てきている、後を絶たないわけです。まだ今でも眠っているものがあるかもしれません。こういうところに対して、厳正な処罰をする、刑罰を科すということも視野に入っているのかどうか、お伺いいたしたいと思います。お考えをお聞かせください。
○森国務大臣 詐欺ではないかという御指摘がございまして、詐欺に該当する場合もあると思いますが、詐欺罪を適用するときの悩みは、これは刑事罰でありまして、故意の立証をしていかなければならないということと、これが法人に対しては科せないので、個人に対する罪であるということでございます。
これに対して、行政処分の場合には法人が対象になっておりまして、景表法においても、措置命令に従わない場合でございますけれども、法人に対して罰金を科すということができているわけでございます。
これをやはりさらに効果的にするために、課徴金にするのか、刑罰にするのか、さまざまな観点から検討を行って、抑止効果を含めた適切な対応をしてまいりたいと思います。
○重徳委員 では、その意味で、刑罰も、行政罰であるところの課徴金も視野に入れるということであります。
特に課徴金ですね、お金。やり得にしてしまうことを防止するということで、先ほど政府の方からも、その算定方法をどうするかとか、いろいろ課題があるという、ほかの委員の先生からの質問に対する答弁がございました。
今、私の手元の、きのうの夜中にいただいた、まだ数少ない情報によりますと、二つあるんですよ。近鉄ホテルシステムズと近鉄旅館システムズ、この二つのケースで、お金に関して何か対応が違うんですね。
ホテルシステムズは、「今回の事案につきましては、お客様を誤認させる意図はなく産地の表示などにも誤りが無かったことから、お客様へのご返金は行わないこととしております。」と。もう一つの近鉄旅館システムズの方は、「お客様には、ご利用の内容に応じてご返金させていただきます。なお、ご連絡が可能なお客様につきましては、当館からご連絡申し上げることとしております。」と。かなり、かなりというか、全然逆なんですよね。
これはもう、今のところ任意の対応ということなので、別にどっちが正しいとかいうことでは今は判断できないと思いますが、このように返金を、つまり、広い意味で、とにかく、お金を巻き上げたというようなことですから、誰かに返すということをするのがやはり社会正義だと思います。
それは、もちろん、お客様にきちんと、適切に返すのが本当の本当かもしれませんが、課徴金という形、場合によっては罰金でもいいですけれども、そういう形で返させるということが法のもとの正義というか、そういうことだと感じているんですが、この課徴金あるいは罰金ということにつきまして、いま一度、今のような観点、返金ということも含めたお考えをお示しいただきたいと思います。
○森国務大臣 諸外国でも、課徴金の効果として、今のようなやり得を防ぐという効果、それから、消費者が損害を立証できない場合がございまして、レシート等を持っていない場合ですね、そういうときに、業者から返金をさせて、また、国によっては消費者に簡易な立証手続で返金をする手続をとっているところもございますが、さまざまな制度がございます。
今回の場合に、景品表示法については直罰規定がないということが御指摘をされておりまして、これは本当にもっともな御指摘であろうというふうに思っておりますので、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○重徳委員 ここの部分は本当に、やはり曖昧な部分がありますので、もともと、料理に幾らの値段をつけるかということ自体基準があるわけではありませんので、幾ら返還義務があるかということも本当に自主判断という世界がこれまでだったと思います。このあたり、適正なルールを定めるということをぜひとも真剣に取り組んでいただきたいと思います。
残り五分を切りましたので、最後のテーマとしまして、今回、しばらく前にいただいたリストによりますと、食べ物のメニュー表示だけじゃなくて、最後の方に、その他として、日本郵便、チルドゆうパックとしながら一部常温配達がされてきた、ヤマト運輸、クール宅急便としながら一部常温で取り扱ってきたという事例が問題事例として挙げられております。
これは、偽装表示問題というよりは、要は、クールでやりますと言っていたのに、やると言ったことをやっていない。こういう債務不履行という見方、基本的には債務不履行だと思うんですね。
それから、あるいは、そもそも、クールといいながらクールじゃないとか、こんな基本的なことがなされていないという話になりますと、どんなにルールを決めたって、変えたって、もうどうしようもないじゃないか、守る気があるのか。守ることが、この社会を生きる、個人だろうと法人だろうと、当たり前じゃないか。こういうものが覆されているという、一言で言うといわゆるコンプライアンスということだと思うんです。これは、債務不履行の問題であり、コンプライアンスの問題であると思うんです。
かつ、これは、モラル。こういうモラルがめちゃめちゃな状態になってしまったら、幾ら法律を変えたってしようがないし、何なら、徹底的に監視をするか、監督をするか、取り締まりをするか。こういうことを行政が監視していく、こういう非常に信頼関係のない、信頼関係が成り立たない社会になっていってしまう、このような思いも持つわけですが、この案件につきまして、政府としてはどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
○大庭政府参考人 ヤマト運輸のクール宅急便におきまして、まず、温度管理の手順について、特に繁忙期においてルールが守られなかったことが一度でもあった拠点が約四割に上るなど、ルールが徹底できていない状況があったということでございます。
また、日本郵便のチルドゆうパックにおきましても、六百五十の郵便局において、取り扱い方法、保冷機材等の不備があったということでございます。
本件を受けまして、ヤマト運輸におきましては、再発防止策として、品質の維持向上に取り組む体制づくり、総量管理制度の導入、定期的なモニタリング等を実施することとしております。
また、日本郵便におきましては、取り扱い方法の不備が発覚した郵便局についての改善指導、保冷機材の補充、繁忙期前の立入点検等を実施するということでございます。
国土交通省としても、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。また、国土交通省としては、再発防止策が徹底されまして、輸送サービスの信頼回復が図られることを期待しているところでございます。
○重徳委員 今、審議官から御答弁いただきました。審議官にも、きのうの夜中に突然仕事が降ってくるという、消費者庁への質問だと思ったら、いや、これは国交省ですということで、国交省に通告して、いきなり仕事が飛んでくる、こういう非常に罪深いことを与党の皆様中心にされているということをよくよく認識いただきたいと思います。
最後に、今のはメニューじゃないですけれども、景表法、偽装メニューに関するコンプライアンスのための規制強化に関する法改正などの対策についてのお考えを森大臣にお聞きしたいと思います。
○森国務大臣 コンプライアンスについては、先ほど来お示しをしております、食品表示等のルールの明確化ということで、ガイドライン等を作成し、周知をしてまいりたいと思っておりますが、もう一つ、事業者の内部における表示のチェック、管理体制の強化ということを一つ考えております。場合によっては、これを制度化してまいるということもあり得るかなと思っております。
先ほどの、現行法制の法体系の強化、さらには、食品表示モニター制度といった、消費者の目を入れるという消費者側からもチェック、行政からも強化、事業者内部からも強化、そして個別の事案についても厳正な措置をしていくという四方向で今考えております。
さらには、それを全て包含するものとして消費者教育、この消費者教育というのは、消費者の目を養う教育もそうですけれども、事業者にもしっかりと消費者問題について意識を高めてもらうことも入ると思いますので、事業者に対する意識の強化について、消費者庁でこれまでもさまざまな研修、講演等を行っておりますけれども、それを、業界団体と連携をして、さらにこれを定期的に、制度化して、そしてガイドラインもリニューアルしたものを使って、しっかりと徹底してまいりたいと思っています。
○重徳委員 これで終わりますが、町のレストランや食堂は、常連客からお金をだまし取るに近いようなことというのは決してできないんですね、自分たちが潰れてしまうから。それに対して、一流と言われる、高級と言われるレストラン、ホテルにはとにかく襟を正させるための厳正な対処をお願い申し上げまして、終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。