刑事訴訟法について H27.6.2
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○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。本日もよろしくお願いいたします。
前回、私は、日本の刑事裁判手続が国際的にさまざまな指摘を受けているということについて、問題を取り上げさせていただきました。それが、ひいては日米の間の、特に駐留米軍の兵士の犯罪の取り扱い、治外法権的な取り扱いに対しても影響が及んでいるんじゃないかとか、さまざまなところに問題が波及している、こういう問題を指摘させていただきました。
前回の外務省の岡田審議官の御答弁を本日は少し引用させていただきながら、この問題について少し掘り下げてまいりたいと思います。
日本は、人質司法なんと言われて、身柄拘束のルールが、捜査当局側の手の中に被疑者が置かれるという状況が劣悪な状況にあるんじゃないか、こんなことを言われております。
私は、そういう状況にあることも確かに問題でしょうけれども、それ以上に、日本という私たちの誇るべき国家が、世界から、野蛮な国だ、人権侵害の国だ、このように指摘を受けること自体が非常に許しがたい状況にあると思っておりまして、それに対して、そうじゃないものについてはそうじゃないと国際的に言っていくべきだと思いますし、仮に改めるべき部分があるのであれば、それは直ちにその努力に入るべきだ、このように考えております。
前回、岡田審議官に、最近、国連だとか米国国務省から指摘をされている日本の刑事裁判手続に対する問題点、どういうようなことが指摘されているのかということをお聞きしました。
資料一の議事録にありますけれども、昨年八月、国連自由権規約委員会から公表された最終見解におきましては、我が国の起訴前の保釈の権利、国選弁護人選任の権利がないこと、代用監獄、代用監獄という言われ方ですけれども、代用監獄での自白強要の危険性、取り調べに関する厳格な規制がないこと等に懸念が表明されていると。その上で、我が国への勧告といたしまして、起訴前の勾留期間の保釈等代替手段の検討、被疑者の弁護人を依頼する権利の保障及び弁護人の取り調べ立ち会い、取り調べ時間の制限、方法を規定する立法、それから不服審査メカニズムを保障するためのあらゆる措置をとるべきこと等が勧告されていると。
それから、米国国務省からも、警察による同一被疑者の再逮捕の手法が使われているとか、取り調べ時の心理的な強制による自白獲得が行われている、取り調べが当局により選択的に録画、編集され、裁判所が心理的強制を確知できない場合がある、そして誤認逮捕は強制による自白であったというような事例も指摘をされています。
こういうふうにもろもろ厳しく指摘をされているんですが、まず確認なんですが、代用監獄という表現で指摘をされている自由権規約委員会の最終見解なんですけれども、まず、勾留決定をしたときのルールなんですが、本来の原則はやはり拘置所、つまり警察じゃなくて検察の司法の手続に入っていく、裁判待ちの状態に持っていく、これが本来だと思うんですが、我が国では実際に勾留先が警察署の中の留置場であることが多い。ということは、やはり警察の手の中にある、そして警察が引き続き取り調べを続ける、こんなことになるのではないかということが指摘されていると思うんですが、これは問題ないんでしょうか。
○沖田政府参考人 お答えいたします。
我が国の刑事司法制度のもとにおきましては、被疑者の身柄拘束期間は短期間となっておりますので、この間に、被疑者の取り調べあるいは証拠品の提示等々、所要の捜査を迅速、適正に行う必要がございます。
このため、全国的にきめ細かく設置されております警察の留置施設に被疑者を勾留することが現実的な方法であり、現制度下におきましては、いわゆる代替収容制度が重要な役割を果たしていると認識しております。
警察におきましては、昭和五十五年から、被留置者の処遇を捜査部門とは組織的に分離された留置部門が行うこととするなど、組織上も運用上も捜査と留置の分離を図っておりますことから、留置施設に勾留されることをもって捜査機関に特に有利になっているというものではないと認識いたしております。
なお、いわゆる拘置所と警察の留置施設のいずれの場所を被疑者の勾留場所とするかにつきましては、これは裁判官が個々の事件ごとに判断し決定するものでございますが、その際、いわゆる拘置所が原則で、留置施設が例外であるとの規範が特に存在しているものとは承知いたしておりません。
いずれにいたしましても、今後とも捜査活動と留置業務の分離の徹底を図るとともに、留置施設における人権保護に万全を期していく所存でございます。
○重徳委員 留置場がきめ細かく全国津々浦々にある、拘置所というものは数が少ない、これは現実問題そうだということだと思いますので、それが理想的なあり方かどうかはまた別のことだと思いますし、その点も含めて指摘をされていると思うんですね。
気になるのは、代用監獄と批判的に言われたり、今御答弁では代替収容という言い方を政府側はしているということでありますけれども、この留置場というのは、実際、施設面、処遇面、どうなんでしょうか。
よく批判的に言われるのは、例えば医療、何か病気、体調不良になったときの手当てが十分できるような医療体制が整っていないんじゃないかとか、トイレを含む衛生面、健康面のやはりこれまた施設、対応が十分じゃないんじゃないかというようなこと。一方で、留置場というのは割と近くに、警察署にあるわけですから、警察はもちろん、司法当局の人もアクセスしやすいし、弁護人にとってもアクセスしやすい。
こういう現実的なメリットもあるとは言われておりますが、実際、留置場というものは拘置所に比べて何か劣悪な環境、なぜならそれは本来短期間だけいることが想定されているから、そういう、より条件の悪い場所になっているんじゃないか、こういう指摘についてはどのような状況と認識されていますか。
○沖田政府参考人 刑事施設と留置施設とでは、その組織系統ですとか設置場所、施設の規模等に差異がございますので、今委員御指摘になりましたとおり、例えば刑事施設では常駐する医務官が被留置者の診察を行うことができますが、留置施設につきましては、外部に委嘱した医師がそうした診察を行うということでございます。しかしながら、一方では、例えば冷暖房施設が、留置施設ではほぼ一〇〇%完備しておりますが、刑事施設はまだそこまでにはいっていないというふうに認識しております。
いずれにいたしましても、被拘禁者は、その身分と拘禁の性質に応じて適正に処遇されるべきでありますから、収容される施設のいかんにかかわらず、同一の処遇がなされることが望ましいわけでございまして、実際、施設面でも処遇面でも、両者はほぼ同一の水準になっているものと認識いたしております。
○重徳委員 居心地のいい留置場がいいかどうかというのは、あるいはこれは刑務所でも何でもそうなんですけれども、逆の指摘も当然あって、住みたくなるような刑務所だとか拘置施設では困ってしまうというようなことはもちろんあるんですけれども、ただ、国際的な批判に対する答えとしては、やはり人権への一定の配慮というのが必要だろうということでございます。
今の御答弁の中では、代用監獄だからといってそんなに劣悪とは一概には言えないというような御答弁だったと思いますが、山谷国家公安委員長にお尋ねしたいんです。
実態面ではこうなんだということは、本当に、国連とかアメリカの当局の方に実際視察をしてもらうとか、そういうような努力も含めて必要なのではないかと思います。
一方で、やはり同じ警察の中で、先ほど捜査側と留置側は組織が明確に違うという御答弁がありましたけれども、それにしても、はたから見れば明らかに同じ警察の署長さんのもとにいるわけですから、捜査の便宜のために、留置場側が本来のルールを逸脱するようなことでもしかしたら取り調べが行われるかもしれないとか、さまざまな懸念は、同じ組織の中、同じ建物の中、いわば密室の中ですから、組織が一つ、場所も一つ、一体であるという限りにおいては、そういうような疑念はなかなか晴らせないんじゃないかと思うんです。
国際的なこういう指摘に対して、今の制度上の区分けによって十分答えられているとお思いになりますか。もう少し乗り越えなきゃいけない壁があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○山谷国務大臣 警察においては、捜査と留置の分離を図っておりまして、刑事収容施設法及び犯罪捜査規範にも捜査と留置の分離の原則が明記されているところであります。
この捜留分離の原則は、昭和五十五年に確立されて以来、警察においては十分に浸透し、定着したものとなっているものと認識をしております。
その趣旨を担保するために、留置施設視察委員会、不服申し立て制度等による施設運営の透明性の確保が図られているものと承知をしております。
今後とも、捜査活動と留置業務の分離の徹底を図りまして、留置部門における被留置者の適切な処遇について、いささかの疑念も持たれることのないように警察を指導してまいりたいと考えております。
○重徳委員 山谷大臣のお立場は指導していくというお立場だとは思うんですけれども、この間、外務省の岡田審議官から紹介があった去年の自由権規約委員会最終報告においても、依然として代用監獄が使われているということは問題だという指摘があるわけなんですよね。
私、もう少し調べてみましたら、「遺憾に思う。」という日本語訳になっているんですけれども、何で代用監獄の利用が正当化され続けているかというと、利用可能な資源の欠如、つまり、先ほどの御答弁で、現実問題、留置場しかないんだ、拘置所を今すぐ整備しろといったって難しいんだというようなことを理由とする、あるいは犯罪捜査に効率的だというようなこともおっしゃっておられるんですかね、国際的に。何か、犯罪捜査に効率的だ、アクセスもしやすいとか、そういうことを一生懸命説明しても、これはなかなか答えにならないと思うんです。
山谷委員長が言われた、いろいろと透明性を図っていくんだということはもちろんいいんですが、もっともっと国際的に、日本がこんな、言われるようなひどいことではないんだと言っていけるような論拠ももちろんつくりつつですけれども、実際の運用は間違いないんだということが自信を持って言えるのであれば、国際的にも伝えていくべきじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょう。
○山谷国務大臣 昨年八月に国連自由権規約委員会から公表された最終見解でございますけれども、さまざまな指摘があったわけでございまして、国際的にも、きちんと日本の立場、現状を発信していく努力をしたいと思っております。
○重徳委員 ちょっと一般的な御答弁ですけれども。
これは、私も、これからこの委員会でも視察に行ったりとかいろいろな形で現場を知る機会もあると思いますので、そういう中で、よりフェアなやりとりが国際的に行われる、一方で、もちろん直さなきゃいけない部分はきっちりと国内問題として取り組んでいくように、これからも問題意識を持ち続けてまいりたいと思っております。
さて次に、前回のやりとりの深掘りの二つ目は、勾留期間についてなんですね。勾留が長過ぎるということです。
それから、前回は、これは林局長の御答弁でしたけれども、現行法上、被疑者の勾留というのは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、かつ住居不定、罪証隠滅のおそれ、または逃亡のおそれがあると認められる場合に限り、裁判官の決定により、原則として十日間、やむを得ない事由があるときはさらに十日間を限度として延長が認められるという御答弁が行われました。
私は、ちょっとこれはそもそも論なので、これまで長らくずっとこれで運用されてきたわけなんですが、取り調べのために勾留するわけではないんだというのが何か建前に過ぎる感じがして、実際には取り調べをしているわけですし、それから、米国務省から指摘されているように、例えば再逮捕という手法で、これはそうだとお認めにならないでしょうけれども、事実上、勾留期間を延ばしていき、取り調べをその分じっくりと何十日にもわたってやるという運用が行われている。
だけれども、これも見方によっては、もし本当に取り調べにそれだけの期間が必要なのであれば、取り調べのために身柄拘束をするんだ、こういうふうに堂々と言えばいいと思うんです。そうじゃなくて、何か、住居がわからないとか逃げるかもしれないとか、そういう別の理由で拘束しておいて、やっていることは取り調べだ、そういうような疑いすらかかっているということだと私は思うんです。
これは私の個人的見解ですけれども、このあたり、どう説明をなさるんでしょうか。
○林政府参考人 起訴前の被疑者の身体拘束は、刑事訴訟法上、犯罪の嫌疑があることを前提といたしまして、被疑者の逃亡あるいは罪証隠滅のおそれがあるときに認められるものでございます。
では、そういったことと離れて、取り調べをするために身柄拘束を認めるという制度、これについては、諸外国においては、そういった形で、無令状での拘束等もございますので、取り調べをする間拘束をするとか、そういうことが許される場合がございますけれども、我が国の刑事訴訟法では、あくまでも、取り調べの必要があったとしても、先ほど申し上げたような要件、逃亡のおそれ、あるいは罪証の隠滅のおそれがなければ勾留というものはできないという意味におきまして、やはり、この身柄拘束は、取り調べを行うこと自体を目的として拘束するということは我が国の法では認められていないものでございます。
○重徳委員 今の御説明では、認められていないから認められないんだとしかおっしゃっていないと思うんです。
外国では、令状がない形での拘束だから、それは認められ、日本ではなぜ認められないんでしょうか。取り調べのための拘束というものがなぜ認められないということなんでしょうか。
○林政府参考人 刑事訴訟法上の勾留の要件というものが、取り調べの必要というものが要件とはなっていないからでございます。
○重徳委員 法律を執行する側の局長さんの認識をこれ以上問うてもいけないのかもしれません。
つまり、何で法律がそうなっているかということをお聞きしても、それはお答えできないということなんでしょうか。その立法趣旨をどう受けとめていらっしゃるんでしょうか。
○林政府参考人 立法趣旨といいますか、やはり身柄拘束というものについては重大な権利制約になりますので、我が国の刑事訴訟法では厳格な要件が定められているということとなろうかと思います。したがいまして、その要件がなければ、それは在宅という形で事件の捜査をするわけでございまして、当然、身柄拘束をしないで、かつ任意での出頭を求めて取り調べを行うという手法をとらざるを得ないわけでございます。
○重徳委員 これは、原則として十日間、やむを得ない事由があるときにさらに十日間、このやむを得ない事由の中にも、当然、取り調べのためやむを得ないという趣旨は入らないということですよね。それはそれでいいと思うんですけれども。いいというか、そういうことなんでしょうけれども。
ただ、実際、どうなんでしょうか。これは非常に感覚的な話なんですけれども、もし取り調べのために拘束するというルールに仮になっていた場合に、本当に十日間、二十日間も拘束する必要があることがあるんですかね。今、限度が二十日間ということであるので、実際に拘束されているのはもっと短いケースもあると思うんです。ただ、取り調べは終わったけれども、逃亡するかもしれないから拘束するんだということもあるでしょう。だから、取り調べをするためだけだというふうに限定した方がより拘束する日数は短くなるのではないか、長くなる場合もあるかもしれないけれども。
でも、取り調べのためならいいかとはならないというお話なんでしょうけれども、どうでしょうね、いろいろな理由をつけて拘束期間を長くしているというようないわば指摘なわけですから、本当に取り調べのためだけだという理由で拘束されている期間というのはもっと短いんじゃないか。これは若干当てずっぽうですけれども、そんなことはないんでしょうか。ちょっと感覚的なことで済みません。
○林政府参考人 取り調べの必要性だけをもって、それを要件として身柄拘束ができるという制度の場合に、やはり取り調べの必要性というのが捜査機関において当然判断されるわけでございまして、それは身柄拘束ということを行う制度として十分に、例えば短い方向に必ず働くのかということについては、当然、別の意見も出てこようかと思います。いずれにしても、身柄拘束中に当然取り調べというのはできるわけでございますし、実際に行われております。
ただ、一方で、起訴前の身柄拘束の中で、取り調べ以外にも、やはり当然裏づけ捜査等を行っているわけでございます。そういった形で、身柄拘束の期間として、厳格な要件のもとで身柄拘束がなされている中で、当然、事件によっては連日調べをするような事件もございますけれども、取り調べ自体は連日ではないにしても、その間、必要な客観的な裏づけ捜査をしているというふうなこともございます。
○重徳委員 それではここで、前回、大塚政務官に幾つか御質問を申し上げましたけれども、その中でちょっと実はよくのみ込めなかった御答弁がありまして、それは何かといいますと、国際的に見て、拘束、勾留の期間はさまざまだという解説がありまして、こういうふうにおっしゃっています。日本の場合は、逮捕に至るまでにかなり厳密に調べて令状をとって逮捕していくということになっているので、その前段階で相当絞り込みをされているということがあろうかと思います、こうした制度の全体のバランスを考えたときに、やはり、十日から二十日といった期間は取り調べで必要ではないかと。
つまり、私が、ちょっと十日、二十日は長いんじゃないですかと言ったときに、いや、十分絞り込みをした上でやっているからこそ、ちょっと長い、十分な期間が必要なんだというようなことをおっしゃったんですが、逮捕するまでに十分絞り込んであるのであれば、その後、そんなに必要なんでしょうか。逆にもっと短くていいんじゃないかという議論になりませんかね。どういう御趣旨だったんでしょうか。
○大塚大臣政務官 前回御答弁を申し上げましたのは、要するに、制度全体のバランスとして、いろいろな国情に合わせていろいろな制度がございますよということで、たしか、無令状逮捕というようなことが外国では結構なされている、だから、その間口、入り口のところでかなり身柄拘束というのを幅広くやっていますよということをまず申し上げたと思うんです。
ちょっと調べてみましたところ、数字で見ると、逮捕、勾留に至るのが、日本の場合は、平成二十五年で約十一万人だったわけですが、フランスだと、五十七万七千八百人ということで、人口比で見ると日本の八・八倍、イギリスの場合は、百三十六万人ということで、人口比で日本の二十四倍、アメリカに至っては、千二百十九万六千九百人ということで、人口比で日本の三十九倍という形で、まず身柄拘束というような感じが日本と比べるとかなりあるんだと思うんです。
日本の場合は、原則、裁判所の審査に服して、令状をとって身柄をとっていくということになりますので、その時点で制限的というか、簡単に身柄をとるというような仕組みにはなっていませんよということを申し上げたわけです。さはさりながら、実際に事案の解明をしっかりして、起訴し、公判にたえるだけの証拠をしっかり集めていく、そういったことのためには、当然、逮捕に至るまで、令状をとるまでというだけではやはり十分ではないであろうというふうにも考えてございますので、これは、身柄拘束後、調べる期間がやはりそれなりに必要だということは、私も必要だろうというふうにも思うわけでございます。
○重徳委員 まあ、わからぬでもない御答弁なんですが、ただ、今図らずも政務官が言われたように、やはり、何ぼか取り調べで必要じゃないか。前回言っちゃっているんですよね、十日から二十日といった期間は取り調べで必要ではないかというふうにおっしゃっているんです。
でも、これは別に取り調べのための期間じゃないという説明からすると、やや揚げ足取りのようですけれども、取り調べもやっているかもしれないけれども、取り調べのために十日、二十日が必要ではないという建前である以上、その取り調べに必要じゃないかという説明は若干矛盾していたんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○大塚大臣政務官 勾留の原則、刑事訴訟法で、これは逃亡、罪証隠滅のおそれがあるようなケースということに限定をされておりますけれども、身柄を拘束されていることについて国際的にどうか、こういう議論の中での前提でしたので、身柄を拘束された中での取り調べという前提で私もお答えしたというふうに記憶をしておりますけれども、当然、身柄をとらないで取り調べをしているケースもあるというふうに思っております。
○重徳委員 この点は私ももう少しいろいろと調べた上でまた議論させていただきたいんですけれども、何せ、国連自由権規約委員会から、起訴前の勾留期間、もっと保釈などの代替手段の検討をすべきだという勧告も出ております。こういうことに対してどのように反論をしていくのか。これもきちんと、堂々と反論すべきは反論すべきだと思いますが、改善すべき点は改善手法をよく考えて検討していくべきではないかと思います。
さて、次に、資料三に先に行きたいんですけれども、「人質司法 冤罪の温床 身柄拘束 罪を認めるまで」という、これは朝日新聞の記事でございます。
これも国際比較が若干載っておりますので、線が引いてあるところをごらんいただきたいんですけれども、先進地の韓国、これは、軍事独裁の時代に多くの政治犯が拷問を受けたという反省から、やたらと身柄拘束するのは控えよう、こういう経緯があるという解説になっております。特に、経済犯罪や窃盗などの財産犯は自宅から取り調べに通う例が多い。つまり身柄拘束はしないと。これは、日弁連の報告書によりますと、身柄を拘束されたまま起訴された人の割合は、日本は約八〇%、韓国は一四%、大幅に違うわけですね。
身柄拘束されたまま起訴、つまり、起訴するまでずっと身柄拘束されて供述を求められる状況にあるということだと思うんです。これまた国際的に制度のバランスが、体系が違うという前提もあるのでしょうけれども、それにしても違うなという感があるんです。
この点につきまして、法務省としてどのように認識をされていますでしょうか。
○林政府参考人 御指摘の記事のうちで、身柄を拘束されたまま起訴された人の割合が約八〇%であったという点、韓国との比較でございますが、どのような根拠に基づく数値であるかが、私どもとしてはまだ不明でございます。したがいまして、これについて何らかのコメントをすることはできないのでございます。
いずれにいたしましても、こういった起訴前、捜査段階での勾留につきましては、個々の事件で、勾留の要件の有無を検討して、勾留請求を行うかどうかを適切に判断しているものと承知しております。
また、裁判所において、個々の事件について、それを受けて勾留するか否かについての判断がなされた結果であろうかと思っております。
○重徳委員 ちょっと建前の御答弁ですけれども。
では、この二段下にあります、最近の日本の裁判所にも変化はうかがえると。これは裁判官のコメントでありますが、罰金刑が多い初犯の痴漢などでは拘束しない例もふえたが、支障は感じないというコメントがあります。
この点につきましても、適切に対応した結果だとおっしゃるのかもしれませんけれども、こういった傾向というのは、数字上、あるいは感覚的なことでもいいんですが、実際こういうふうに拘束しないで起訴するというケースもふえてきているんでしょうか。
○林政府参考人 実際に、ここで言われている罰金刑が見込まれるような事件ではどうかといったような形での傾向というものは、把握しておりません。
いずれにしましても、個々の事案で、例えば、痴漢であれば、罰金刑が見込まれるような場合でも必ず勾留請求するとか、あるいはその逆で、罰金刑が見込まれるような場合であったらもう勾留請求はしないのかというような形での判断というものは必ずしもできないわけでございまして、やはり、その事件事件での罪証隠滅、逃亡のおそれというものを個々に判断していくしか、こういった勾留請求の運用というものはできないものだと考えております。
○重徳委員 非常にかた目の答弁なんですが。
しかし、何せ、世界から指摘をされているという状況ですから、それは個々の事件ごとの判断は当然あってしかるべきですが、結果としてでもいいですし、あるいは最近の傾向としてでも、数字として把握をしていないということじゃなくて、やはり、これだけ日本においても、そういう指摘に対して、見れば改善されてきているんだということは、もし本当にそうなのであれば堂々と主張するべきだと思いますし、そういうことを言っていかない、あるいはそう言っていく根拠もないものだから言われっ放しだということじゃないんでしょうかと指摘をさせていただきます。
続きまして、取り調べの時間帯についても、前回これも大塚政務官から御答弁いただきましたけれども、これもちょっと御答弁を精査しましたところ、警察の方では、夜十時以降、早朝五時以前に取り調べをするようなことのないようにと通達を出しているということですが、検察の方については通達とかそういう明文化されたような御答弁じゃなかったんですけれども、ここは、警察庁、法務省、それぞれどんな状況なんでしょうか。
○三浦政府参考人 取り調べが不当に長期間にわたらないように注意すべきであることは当然でありまして、犯罪捜査規範第百六十八条第三項では、「取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない。」と定めております。
また、被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則第三条第二項では、午後十時から翌日五時までの間に被疑者取り調べを行うこと及び一日につき八時間を超えて被疑者取り調べを行うことについて、警察本部長または警察署長の事前の承認を受けることとしております。これを怠れば監督対象行為とみなされるものとして定めているところでございます。
○重徳委員 警察は一応規範あるいは規則というものが存在するということですが、検察の方はいかがでしょうか。
○林政府参考人 検察官が行う取り調べに関しましては、最高検察庁において、平成二十年五月一日、取り調べに当たっての配慮を内容とする依命通達及び通知を全国の検察庁に向けて発出しているものと承知しております。
この通達において、取り調べに当たっての配慮といたしまして、逮捕、勾留中の被疑者の取り調べに当たり、捜査の必要性を考慮しつつ、刑事施設または留置施設において定められている時間帯に就寝、食事、運動または入浴ができるように努め、その時間帯にこれらができなかった場合には、その補完措置がとられるように配慮すること、また、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜にまたは長時間にわたり被疑者の取り調べを行うことを避けること、また、被疑者の取り調べにおいては少なくとも四時間ごとに休憩時間をとるよう努めること、こういったことが定められているものと承知しております。
○重徳委員 ということは、最高検の方から通達が出されているということでございます。
であれば、上川大臣、こういうこともちゃんと言っていかないと。こういうことをやっている、通達あるいは規則を出されているのに、何か、地獄のような、拷問のような取り調べが行われているということばかり言われて、当たっている部分もあるのかもしれませんけれども、当たらない部分はちゃんと言っていかないと、いつまでたっても、日本は後進国、野蛮な国と言われてしまいます。
だから、直すべき部分は直し、主張すべきは主張すべきだと思うんですけれども、この点、取り調べの時間帯について何かコメントがあれば、お願いします。
○上川国務大臣 取り調べが適正に行われなければならないということの中で、適正を一層確保する方策ということで、ただいま局長の方から答弁したとおりでありますので、この最高検察庁次長検事の通達によって全国に指示をしているところでございます。時間帯のこと、またさまざまな配慮すべきことについて、しっかりと適正に行われることが非常に大事であるというように考えます。
また、そうした実態につきましても、ただいまそうした御質問をいただいたということもありまして、公になった、そうした御指摘でございます。もっともだというふうに思います。国内、国際問わず、そうした実態についてしっかりと取り組んでいるということにつきましては公表し、また、そうした御理解をいただくべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○重徳委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、弁護人の立ち会いという、これは実現できていないテーマだと思いますけれども、これも前回の質疑では、軽く一問一答をやっただけだったんですけれども、前回、上川大臣の答弁は、法制審の特別部会において議論がなされたけれども、取り調べのあり方を根本的に変質させるものであり、機能を大幅に損なうおそれが大きいという意見もあって、具体的な検討対象とならず、答申にも盛り込まれなかったという御答弁がありました。
この具体的な意見の中身をちょっと確認したいんですけれども、局長の方からよろしいでしょうか。
○林政府参考人 取り調べへの弁護人の立ち会いの場合の問題点として、取り調べの機能を大幅に損なうといった点につきましては、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会の議論におきますとすれば、例えば、被疑者の取り調べに弁護人の立ち会いを認めた場合、弁護人が取り調べに介入して取り調べ官の質問を遮ったりすることが可能になり、また、そうすると、必要な説得、追及を通じて被疑者からありのままの供述を得ることは期待できず、弁護人の助言によって被疑者が質問の一部または全部に対して黙秘する中で、被疑者の供述が真実であるのかどうかということを判断することも困難となって、取り調べというものが現在の姿を全く変えてしまうことになると思われる、こういった意見が出されたところでございます。
取り調べへの弁護人の立ち会い制度については取り調べの機能を大幅に損なうおそれが大きいという点は、このような意見を踏まえたものだと承知しております。
○重徳委員 これも、今の制度に無理に突っ込んだ方がいいかどうかというのはもちろん慎重であるべきかもしれませんけれども、ただ、私は、前回議論させていただきました、アメリカ人の軍人軍属の被疑者に対しては、これは弁護人という趣旨ではないということではありますが、被疑者の取り調べに米軍の司令部の代表者が同席することが認められる。つまり、アメリカ人の方は、何かそういうものが、同席が認められて、日本人の方はそうじゃない。やはりバランスが、アメリカから見ると、野蛮な取り調べから、かわいそうな重要犯罪米軍人を守るためにぐらいの、非常に皮肉な状況が生まれてしまっているという見方もできると思うんです。
これは、実際に今局長が言われたこともわからないでもないんですけれども、弁護人がどんどん介入して取り調べを遮るようなことはしちゃいけないルールに、それこそ可視化もあるわけですから、お互いさまだと思うんですよね。
だから、やはりこういったことも、今までのやり方からするとあり得ないみたいなことじゃなく、可視化がされて、誰が見ても、取り調べる側にとってもおかしいことが是正されるかもしれないけれども、あるいは、被疑者側も、弁護人が仮に立ち会ったら、立ち会った側もおかしいよねということも可視化されるわけですから、そういった総合的な見直しというものを今後も引き続き検討していくべきではないかというふうに私は思います。
これもやはり国連から勧告を受けているテーマでありまして、こういったことについても、いずれ何かしらの答えを出していくなり、努力が必要なのではないかと思います。
さて、次に進みます。
資料の二の方に戻りますが、今度は可視化ですね。可視化についての、去年の日経新聞の資料です。
これは、今回の可視化の議論では、我々質問する側はほとんどが、もっともっと可視化すべきだという意見が大体大勢を占めているわけなんですけれども、そうはいっても、もともと、捜査機関側は、いろいろな弊害あるいは副作用といったものも出てくるんじゃないか、捜査がしにくくなるような意見も出ていたわけです。そこに対して、ちゃんと対応が必要だということもあると思います。
それから、一つ、私が少し感じたのは、この資料、新聞記事でいうと下の方にありますけれども、ベテランの東京地検の検察官のコメントがあるんですね。可視化拡大や調書離れといったものによって捜査能力低下への懸念がくすぶると。例えば、「「容疑者の矛盾した供述に疑問を持たない若手もいる。カメラを意識しすぎて、調書を作る作業が、単に「お話の聞き役」になっている」と憂慮する。「いい調書を書く技術は捜査力とつながっている。調書は不要という風潮が広まるのはよくない」。」
これは確かに、現場に思いをいたすと、私は取り調べをしたことはありませんけれども、しかしながら、自分の頭の中で論理立てをして、きちんと論理を組み立てながら調書を書いて、そしてそれをわかりやすく論理的説得力のある証拠、供述調書として裁判所に提出する、これは全て否定されるようなことではないとは思っています。
だから、検察官、特に若手の方が、詳しくは全部ビデオを見てくださいと言うようになってしまったら、本当に老練な、百戦錬磨の被疑者にそれこそ逆にだまされてしまうようなことだってあるわけですし、やはりそういった調書をきっちりつくるということも、一つ、正義を代表する検察官に必要な能力だと思うんです。冤罪というのはもちろん困りますけれども、しかし、不当な無罪放免というのもこれは社会的に非常に問題になり得る話でありまして、頼りない警察、検察になってしまったら困るという面もあります。
あえて聞きますが、こういった意味での可視化のデメリット、そしてそれに対する対応、対策というものについてどのようにお考えでしょうか。
○林政府参考人 この資料では、こういった録音、録画下での捜査能力の低下といったものが一つ指摘されているわけでございますが、実際に、検察におきましては、録音、録画について積極的に取り組んでいる中で、録音、録画下においての取り調べのあり方というようなものについては、各検察庁の現場におきまして、種々研修、講義等を行っているところでございます。
実際に、録音、録画下におきましても、やはり、取り調べというものが否定されるわけではございませんので、取り調べをする場合に、単に被疑者の供述を聞いているだけでは当然取り調べとはなりません。その場合には、やはり周到に準備をして、いろいろな面でのほかの客観的な証拠も踏まえて、その上で、その供述について疑問があれば、それは取り調べの中で指摘する、それに対してまた供述を求める、こういった合理的な適正な取り調べというのは非常に重要でございます。
そういった形で、いかにして取り調べに当たって必要な準備を行うのか、また、録音、録画下での発問の方法というものはどのようなものがよろしいのかというようなことについては、もちろん、取り組みを始めてからそんなに歴史があるわけではございませんので、そういったことについては、日々の現場、検察庁において、そういった演習なり研修などが行われているものと承知しております。
○重徳委員 進めるとなったら本当に前に進んでいくしかないと思いますので、いろいろと心配、懸念の点はあったとしても、可視化をした結果、捜査能力が落ちたなどというようなことのないように取り組んでいただきたいと思います。
それから、これも可視化に関する質問なんですけれども、可視化をもっと全面的にやるべきだという意見の中で、特に、今回義務づけにならない事件についても、全過程についての可視化対象事件数をふやしていくべきだ、こういう意見がよくありますね。それに対して、いやいや、全面可視化は、全過程の可視化はちょっと待ってくれと。こういうような向きに対しましては、いや、それは捜査機関にとって都合の悪いところは可視化しないなんということをやるんじゃないかなんという意見もある。だからこそ全部義務づけするべきだという意見もあるんですけれども、そもそも、捜査機関にとって都合の悪い部分だけ隠す、可視化しないということというのは考えられるんでしょうかというのは変な言い方ですけれども、どう考えたらいいんでしょうかね。
つまり、逆に疑われますよね。今の実態も含めて、今、全過程じゃなくて、一部可視化していないような運用があるんだとすれば、それはどういう場合に一部可視化という形をとっているんでしょうか。ちょっとつかみどころのない質問かもしれませんが、いかがでしょうか。
○林政府参考人 現在は、検察におきましても、法制度のもとではなくて、運用の中で録音、録画に取り組んでいるわけでございますが、そういった場合でも、もちろん、今までの事案を見ますと、全過程について録音、録画している事件数もかなり相当数に上っております。他方で、一部にとどまっているような場合もございます。
そういったことにつきましては、今回の法案でも例外事由というのを設けてございますけれども、法案における例外事由に当たるようなものについては録音、録画をしない場合が当然ございます。実際に、この運用の中で、そういった判断をして録音、録画を一部にとどめているというような事案も多うございます。そういったものは、不都合であるから録音、録画しないという発想ではなくて、それは、録音、録画をすると十分に供述ができないと思われるような場合にそういった録音、録画をしていない場合があるわけでございます。
逆に、不都合であるからというような理由で録音、録画をしないとなりますと、一旦そのもとで被疑者の供述調書が仮に作成されたとした場合に、その後の公判におきまして、今後は、供述調書の任意性というものを立証しなくちゃいけない場合がございます。そういった場合に、もし不都合なものを隠すというような録音、録画の運用をしていますと、やはりそれは立証という観点では非常にマイナスに働くというようなことがあります。
そういった形での例外、録音、録画を実施しないというようなことではなくて、事件の中身で例外事由に当たるような場合については録音、録画をしない場合があり得る、もちろん全過程での録音、録画も多数ある、こういったようなことが今の実態であろうかと思います。
○重徳委員 任意でこれまでも、そしてこれからも取り組まれる可視化事件について、不都合であるというその言葉自体がちょっと不適切なのかもしれませんが、しかし、では、今局長が言われたように、可視化をすると供述がとれないおそれがあるという理由で可視化しなかったということも、これもケースによっては曖昧な場合、任意性が問われるようなケースも当然出てきてしまうと思うんです。ですから、だからこそルール化をして、本当に例外として認められる場合はこういう場合だということをルール化した上で取り組む必要があると思うんです。
この委員会でもたびたび、例えば痴漢みたいな、度合いとしてはそれは殺人事件などほど重くはないかもしれないけれども、冤罪の温床、冤罪となるような事件、なり得るような事件もあるじゃないか、こんな指摘もあるわけであります。もし今局長が言われるように、一言で言うと、そんな、不都合だから可視化しないなんということはないんですよというお話であれば、だったら、どんどん広げればいいじゃないの、こういう話にしかならないと思うんですけれども、もう少しそういった観点からも御答弁がありますでしょうか。
○林政府参考人 検察当局において、昨年の十月以降、新たな録音、録画の試行に取り組んでいる考え方は、やはり公判立証に責任を負う立場の検察官として的確な立証ができるようにするために、ふさわしい事件というものについては録音、録画に積極的に取り組んでいこう、こういうことがございます。
すなわち、検察当局におきましては、必要な録音、録画というものを行わない場合には、供述の任意性等をめぐって争いが生じた場合に、結局、的確な立証ができなくなるというリスクを負っている立場にもございますので、そういったことから、実際にその供述が立証上非常に重要な地位を占める、そういうふうに見込まれる事件につきまして、公判請求が見込まれる事件については積極的に録音、録画に取り組んでいるものと承知しております。そのような考え方に立った現在の試行であろうかと考えております。
○重徳委員 資料二の記事に戻りますけれども、今、林局長から、積極的に取り組むような状況になってきた、任意性を逆に問われるというリスクも出てき始めたという御答弁がありました。
この記事の中段にありますけれども、同じようなことを言っているんですね。「「調書離れ」検察動かす」というタイトルでありますが、検察が可視化に対して消極姿勢だったのが積極的になってきた、その変わってきた最大の要因が裁判所の変化だというわけですね。
「「裁判官が検察が作った容疑者の供述調書を証拠採用しなくなってきた」。検察幹部は口をそろえる。」とありますが、この点、裁判所としては、この傾向についてどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
○平木最高裁判所長官代理者 供述調書の証拠採用の傾向に変化があるかにつきましては、供述調書の証拠採用に関する統計をとっておりません。
したがいまして、証拠採用の傾向の変化につきまして、事務局から一定の見解を示すことは困難でございます。
○重徳委員 統計のとりようもないのかどうかわかりませんけれども、ここをよく見ると「検察幹部は口をそろえる。」というので、裁判所じゃないということかもしれませんね。
では、むしろ林局長に聞いた方がいいのかもしれません。裁判所において証拠採用を余りされなくなってきたという感覚はありますか。
○林政府参考人 録音、録画との関係での傾向という意味でのお答えではないんですけれども、例えば、裁判員裁判において、よく人証と言いますけれども、実際の公判廷での供述、それに対して、書証と言いますけれども、供述調書という捜査段階での供述、こういった形での証拠採用の傾向としては、人証が重視されるようになっている、非常に大ざっぱなお答えになって申しわけございませんけれども、そういったことの傾向が見られるということはあったように思います。それが録音、録画との関係であるという形でのデータではございません。
○重徳委員 わかりました。
きょうは、特に国際的な、世界から指摘をされ続けている日本の刑事裁判手続について議論させていただきました。
冒頭申し上げましたように、途中で上川大臣からも、取り調べの時間帯については再認識をしていただいたような感じがするんですけれども、こういった、やっていることはちゃんとやっているんだということを言う必要はあると思います。
何しろ、私は、これだけぼろぼろに日本の国が言われているということ自体が本当に許せない、こういう状況が許せない。ですので、その原因がもし日本の制度にあるんだったら制度は真摯に見直さなきゃいけないと思うし、統計をとっていないようなこともきょういろいろな御答弁の中でありましたけれども、その反論の材料すらないというのではやはり困ります。やはり、ちゃんと訴えるべきは訴えられるだけの材料をそろえて、世界に訴えていっていただきたいと思います。こういったテーマについても、今後、引き続き指摘をさせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。