○山本(と)委員長代理 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 どうもありがとうございます。社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。
昨日、本会議、お疲れさまでした。きのうの本会議でも質問させていただきましたが、企業の、防衛産業の再編の必要性についての質問をさせていただきたいと思います。
長期契約法の目的、調達のコスト縮減、安定化というふうに言われていますが、これを通じて、ひいては企業の撤退を抑制する、このような大臣の御発言もあったと思いますけれども、先月、国内メーカーのコマツさんが装甲車両の開発、生産から撤退をされるということになりました。
長期契約法というのは、ひいては国内産業の育成につながるということのはずで、そういうイメージは恐らく国会議員の皆さんも持っておられているんじゃないかなと思うんですが、ここ数年のFMSの急増ということもあり、また、コマツの撤退なんかもあって、その印象が随分変わっちゃったな、そういうこともあって、野党の中からは反対論も出ているという面もあると私は思っています。
実際、防衛装備品は各企業が頑張ってつくっていただいているという感じで、企業努力も限界を超えているというふうに聞いております。こういう感覚だ、もう使命感でやっているというふうに聞いています。だから、こういうときは、本当に最新技術をどう育てていくのか、これを真剣に考えていかないといけないというふうに思います。
再編、いわゆる統合というイメージですけれども、そういう産業構造の再編を促すには、きのうの大臣の答弁だと、もしかしたら再編になるかもしれないね、そんなことを期待しながらいろいろやっていきますという感じで、非常に強い指導力を発揮するという印象はなかったんです。
ちょっと大臣にお伺いする前に、きのうの大臣の答弁の中で、効率化を促す各種施策に取り組むという御答弁がありました。これは具体的にどういうことをやられるのか、参考人の方からお願いします。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
昨日、岩屋大臣が答弁申し上げました内容につきましてでございますけれども、企業への効率化を促す施策と申しますのは、例えば中期防に具体的に記述しておりますけれども、装備品等の価格算定をより精緻化、適正化するため、企業の提示する価格等に係る情報をデータベース化を推進する、あるいは、民生品の活用や部品の共通化など価格低減に資する提案を企業側への要求事項として盛り込む、また、企業による競争力強化やコスト低減に資する取組や成果を積極的に評価して、その評価を利益に反映するなど、企業間の競争環境を創出するための契約制度の見直しなどを行うということを念頭に置いているところでございます。
個々の企業の組織のあり方というのは、あくまでも組織の、各社の経営判断によるものであろうと思いますけれども、こうした取組を通じて、結果として生じ得る企業の再編や統合も視野に、防衛基盤の効率化、強靱化を図ってまいりたい、そのように考えております。
〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕
○重徳委員 主にコスト低減を促すというようなことだという御答弁でありましたが、防衛省は唯一の顧客というか、唯一の発注者でありますので、発注者がしっかりしないと、つくる側もやはり意識が変わらないと思うんです。だから、もちろんコスト低減というのは大事な、企業ならどういう企業でも取り組んでいることだと思いますので、それに合わせて評価するというのは、すごい大事なことだとは思います。
欧米では、もう九〇年代から、ロッキード・マーチンという非常に大きな会社が生まれたり、ボーイングもマクドネル・ダグラスを合併して非常に大きな会社になった。そうやって、もう二十年来の取組を続けているし、ヨーロッパでもエアバスが、これは国境も越えて、国籍も超えて、大きな企業、グループへと集約をされている。こんな状況の中で日本だけは、先ほど言いましたように、使命感でぎりぎりやっている。
こういうことに対して、やはり再編というのは、大きな方向性として、防衛省が発注者側としてもっといろいろな対話をして、日常もいろいろなやりとりをしていると思うんですが、もう少し具体的に、担当者レベルというか、誰がどういう人たちと、防衛省側と企業側が対話をしているのか、そういう中で再編ということについてどの程度意識を促しておられるのか、お聞きしたいと思います。
○深山政府参考人 どのようなレベルの者がどのような対話をしているかというお尋ねでございました。
私、今、防衛装備庁長官という職を拝命しておりますけれども、私も、着任以来、企業の方々とは、私のレベルで、防衛部門の幹部の方、あるいは会社の幹部の方に、現在の防衛産業が置かれている状況というのを、発注者側から見た状況というのをいろいろとお話しする機会をできるだけ多く持ちたいと思って、持たせていただいております。
また、その下の部長、課長レベルにおきましても、いろいろな、例えば、これはどちらかというと、今行おうとしている施策についてこういうことが必要なんだという観点でありますけれども、企業との勉強会なども持たせていただきまして、進めておるところでございます。
なかなか、こういうふうに統合しろみたいなことというのを我々が一義的に申し上げるのは難しい点もありますけれども、現状を率直に申し上げて意見交換をしていく中で、今申し上げましたような効率化あるいは再編ということも念頭に、防衛基盤全体の底上げを図る、そうしたことをやっていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 なかなか防衛省からは言いにくいという、それはわかるような気もするんですけれども、ただ一方で、三菱重工の大宮英明会長さん、要するに、民間企業側も日本版エアバスと称する再編の必要性があるんだ、こういうことをおっしゃっています。
長官も官僚トップでありますけれども、やはりここは政治責任者でおられます岩屋大臣に一層のリーダーシップを発揮していただくべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○岩屋国務大臣 今御紹介された企業側の発言は承知しておりますけれども、防衛大臣という立場から、その御発言に直接コメントすることは差し控えたいというふうに思います。
その上で、先生の問題意識は私も共有をいたしておりまして、日本の防衛産業は、防衛省だけがずっと顧客であったということもこれあり、高コスト構造や国際競争力の不足といった問題を抱えているというふうに思います。
昔は武器輸出禁止三原則というのがありまして、一切の装備移転もまかりならぬという時代が長く続きました。この三原則も新しい防衛装備移転三原則に改めて、我が国の安全保障に資するということであれば、国際共同開発・生産にも道は今開かれているわけですけれども、長らくそういったことに対する取組が積極的にはなされてこなかったことも事実でございます。
こうした現状を打破していくために、どういう防衛産業を将来に向けて構築していくべきか。まずは防衛関連産業間で再編を含めてしっかりと意見交換していただくことが重要だと考えておりまして、防衛省としても、そういった企業側の取組をしっかり後押しをしていきたいと思っております。
○重徳委員 大臣の現時点での認識はわかりました。引き続き、このテーマを追いかけていきたいなというふうに思っております。
次に、長期契約法の審議ですので、長期契約についてなんですが、ちょっと事実確認ですが、現行の中期防においてというか、これまでの長期契約法の適用対象となった装備品、これがどのぐらい実際実績としてあったのか、その全体の数に占める機種、数、それから、金額ベースで、全体と、そのうちの長期契約の対象となったものについてお示しいただきたいと思います。
○武田政府参考人 お答えいたします。
平成二十五年に決定いたしました中期防において整備することとされている主要装備品、これは別表に示されているものでございますが、二十二種類ございます。これまでに長期契約の対象となった装備品は三種類。具体的に申し上げれば、P1固定翼哨戒機、SH60K哨戒ヘリ、CH47JA輸送ヘリ、この三種類でございます。パーセンテージについて申し上げれば、全体に占める割合は約一三・六%となっております。
また、金額ではどうかということでございますが、平成三十一年度予算案を踏まえた後年度負担の総額、すなわち平成三十二年度以降に支払う経費の総額でございますが、SACO、米軍再編関係経費等を含め、この経費は約五兆三千六百十三億円でございますが、このうち、長期契約に係る後年度負担の額は約四千百八億円でございます。総額に占める割合は約七・七%となっているところでございます。
○重徳委員 大臣が戻られたので、歩きながらお聞きいただければと思います。
今の数字を見ますと、数ベースで一三・二%、それから金額ベースで七・七%ですから、長期契約といっても、全部がそうなわけではもちろんないし、むしろ、限られた数であり、金額だろうというふうに一応見ることができると思うんです、今までの実績ですけれども。
これから、新しい中期防もありますので、そこにおいて、今回改正される法律に基づいてどのように装備品の選択をしていくのか。大体今のようなイメージを持っていていいのか、もっとふやしていこうとしているのか、あるいは減ることもあるのか。このあたり、大臣の見通しをお願いします。
○岩屋国務大臣 そうなんですね。長期契約法というと、何か防衛省の調達を全部そうするのではないかというふうに誤解をされることもあるんですが、もちろんそういうことではなくて、もともと、平成二十七年の法の制定後、長期契約の対象となる装備品の選定に係る基本的な考え方を示した指針というものができております。
その要件は、中長期的な防衛所要を勘案した上で、確実かつ計画的に調達することが不可欠な装備品のうちで、仕様が安定している、長期契約によるコスト縮減効果と調達の安定化の効果が十分見込まれるものを対象にして、財務大臣との協議を経た上で決めている。慎重に判断しているわけでございまして、今後もこの方針は変わりません。
したがって、まだ、ふえるか減るかということについてまで言及はできませんけれども、この方針に基づいて、指針に基づいて、これからもやっていくということでございます。
○重徳委員 時間の関係もありますので最後にしたいと思うんですが、最後に、FMSについて一点お聞きしたいと思います。
今、F35Aを調達しておりますけれども、これまで、数年間は国内企業が最終組立てとか検査をやる、要するに、その製造に関与していた。これはFACOで、FACO機と言うようですけれども。
これによって国内技術者が、もちろん、ちょっと若干割高なコストになっちゃっている面もあるけれども、最新のステルス機の製作に直接触れる機会にもなる、一定の技術の習熟に資する、こういう観点からいうと意味のあることであろう、私、言っていたような、国内技術を涵養するという意味でも意味があることであっただろうけれども、いろいろな事情を加味して、このたび、完成機のアメリカからの輸入に完全に切りかえるという方針になったということですけれども、このことをどう大臣は捉えておられるのか。今までのFACO機も大変意味があったので本当に苦渋の決断なんだということなのか、まあ、いろいろやってみたけれども全部買っちゃった方が安いよね、こういう感覚なのか、そのあたりの認識をお聞きしたいと思います。
○岩屋国務大臣 簡潔に申し上げます。
先生御指摘のように、今般、FACO機による調達ではなくて、完成機を調達するということにさせていただいたわけでございます。それはやはり、F35Aの機体価格を一層低減する必要があるということが最大の理由でございます。完成機輸入における機体単価は、国内企業が製造参加した機体単価に比べて、コスト面で非常に有利であるからでございます。
しかし、FACOによって、一定量、三十機ですけれども、最新鋭の戦闘機の製造技術等に習熟できたこと、また、まだ三十四年まで続いていきますので、習熟できることというのは非常に私は意味のあったということだと思います。必要な機数をできるだけ低価格で調達するという観点から完成機輸入に切りかえるという苦渋の決断をしたところですが、FACOでの知見、経験は、これからに生かしていかなければいけないというふうに思っております。
○岸委員長 重徳君、簡潔にお願いします。
○重徳委員 これで終わります。どうもありがとうございました。