H26.11.5 地方創生に関する特別委員会
―地方創生をより具体的に進めよ!―
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○重徳委員 私は、維新の党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提案のまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案について反対の立場から、また、民主党、維新の党、みんなの党及び生活の党共同提案の国と地方との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案について賛成の立場から討論を行います。
まず、政府提案の二法案について、以下の四点から問題があることを指摘させていただきます。
一点目は、二つの法案の内容が余りに乏しいことです。
二法案には、基本理念、計画策定、本部設置、その他法律で定める必然性の乏しい規定ばかりが並んでおり、この法案が成立したところで、一体、地方創生に向け、どんな具体的な政策効果が期待できるのか、さっぱりわかりません。
二点目は、地方分権、地方の自立の観点が、法文上、全く存在しない点です。
過去における地方の活性化策は、長期的に東京一極集中を加速し、地方は疲弊する一方でした。国が大きな権限、財源を持ち、地方が国に依存する構造が続く限り、地方創生はありません。地方創生と地方分権、地方の自立は一体不可分なのです。
権限と財源を地方に移譲し、自立した地方を制度的に構築することが不可欠です。過去の反省に立つことなく、中央集権体制を温存したままでは、何度やっても過去と同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。
三点目は、まち・ひと・しごと創生法案に基づき策定されることとなる総合戦略と長期ビジョンに道州制の文言を盛り込むことについて、政府が検討する様子が全くないことです。
四十七ある都道府県の姿は、明治時代から全く変わりません。国の意向を受けて市町村の指導や取りまとめを行う都道府県の姿は、中央主導の発展途上国型モデルの象徴であり、この国、県、市町村の三重行政は明らかに見直しが必要です。
与党の公約に道州制を堂々と掲げているにもかかわらず、自治体からの反対意見があることなどを理由に、五十年も先の長期ビジョンに道州制の文言を入れることを検討する姿勢すらうかがわれないのは、明らかに不合理です。
四点目は、安倍総理や石破大臣が繰り返し宣言しておられる、縦割り、ばらまきを排するとか、従来の延長線上にない、異次元の地方創生について、審議を通じて何度確認しても、従来の課題を多少改善する程度の内容の答弁しか出てこないことです。
縦割り解消のためのワンストップ支援は、従来から内閣府などで何度も行われてきました。
事業の効果検証を行うといっても、各省は既に地方創生の名目で空前の予算要求をしており、全国に国の財源をばらまく構造に変わりはなく、この法案が、ばらまきの法的根拠を与えるようなものです。
自治体への国家公務員の派遣に至っては、従来型の仕組み以外の何物でもありません。
一方、野党四党共同提案の法案は、こうした政府提案の二法案の問題点を踏まえ、東京一極集中と、その根本原因である中央集権の国家構造を転換することを基本理念とするものであり、法施行後速やかに、道州制の導入を含む国と地方公共団体との役割分担の抜本的な見直しや、権限、財源の移譲などを総合的に推進するために必要な法制上の措置を講ずることを国に義務づけるものです。
その内容は、まさに地方分権と地方の自立に向けた本質的かつ長期的な展望に立った内容になっており、安倍総理や石破大臣のお言葉をかりれば、まさに国を挙げた異次元の地方創生にふさわしいものであると考えます。
なお、次世代の党提案の修正案については、趣旨には大いに賛同いたしますが、野党四党提案の対案とのすり合わせが十分でなく、残念ながら、採決においては賛成いたしかねます。
そもそも、地方の活性化、地方創生という政策目的に反対する政治家は与野党問わず一人もいません。だからこそ、これまで地方が疲弊してきた根本原因に対する答えを出す必要があるのです。
今政府が提案している程度の政策では、消費税を増税して国の財源に余裕のできた分だけ、地方創生に名をかりたばらまきに充てられ、負の遺産だけが残る懸念があります。莫大な規模の予算編成を行う一方で、国会議員定数削減や行革努力を一向に実現しないままの再増税に誰が納得するでしょう。
維新の党は、昨日、消費税増税凍結法案を提出いたしました。国民に負担を求める前に、国としての責任を果たすべきであります。
維新の党は、地方が本当の意味で主役となり、自立した地方を構築することを目指すことを宣言いたしまして、討論を終わります。
以上です。