○谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。重徳和彦君。
○重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。
午前中から関門海峡を渡る道路についての議論が行われております。
一言だけ申し上げますと、権力は腐敗するものだと思っております。特に、役所におかれては、そうした権力に屈することなく、中立、公平、公正な、国民に向けた仕事をやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。また、腐敗していないのであれば、それを裏づける資料はきちっと出していくべきだし、ルール化するべきものはルール化していくべきだと考えております。
以上、申し上げます。
さて、私は、きょうはドローンについて質問をさせていただきます。
先日、我が国最大のドローン展と言われる、ジャパン・ドローン二〇一九という幕張メッセで行われた展示会に、見学、勉強しに行ってまいりました。
ドローンは、今後、二〇二〇年代前半には、目の届かない、目視できるその外ですね、目視外の飛行の時代に入るというふうに言われております。ですから、工場の中の本当にすき間のようなところのメンテナンスとか、農業用に活用されたり、それから、もちろん物流の姿も大きく変わると言われております。そして、さらに、人が乗れる大型のドローンも開発されているところです。
人が乗れるドローンができますと、災害のときの人命救助、救助用のヘリコプターというのは、各自治体が全部持つということはなかなか、財政的にも、運転、操縦技術的にも、人手が足りないという問題も最近出ておりますが、有人ドローンであれば、価格的にもリーズナブルになるでしょうし、ヘリコプターが近づけないような場所にもドローンで飛んでいって救助に当たることができるというような話を聞いてまいりました。
そこで、人が乗れるドローンを含めて、空飛ぶ車というふうに言われているそうなんですが、空飛ぶ車というのはどういう定義かということも含めて、国内でこれを実用化するためにどんな法的な手続が必要なのか、御説明ください。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる空飛ぶ車は、人が乗って航空の用に供することを目的としておりますので、現行の航空法上の航空機として定義をされ、航空法の各種規則が適用されることになります。
ただ、いわゆる空飛ぶ車は、従来の航空機の安全性等の基準をそのまま適用することができませんので、まずは無人の状態で飛行方法や飛行場所を限定して安全性を担保することにより、特別な許可を受けて試験飛行を行っているというのが現状でございます。
具体的に申し上げますと、耐空証明を受けずに飛行を行うための航空法第十一条ただし書きによります試験飛行の許可、空港等以外の場所で離着陸を行うための航空法第七十九条ただし書きによります場外離着陸場の許可、最低安全高度以下で飛行を行うための航空法第八十一条ただし書きによります飛行の許可、操縦者が乗り組まないで飛行を行うための航空法第八十七条による飛行の許可をそれぞれ取得をして、飛行を行っているというのが状況でございます。
○重徳委員 ですから、有人の航空機、空飛ぶ車だけれども、最初は人を乗せない状態で試験をするというところから始めるということだと思います。
操縦者のいない状態で、いずれは乗る、そういう仕様のドローンとか、法律上は航空機と言うんでしょうけれども、それは具体的にはどんな場所で試験が、既に行われているとしたならば、それはどういうところで行われているのか。それから、もし手元に資料があれば、今まで、申請に基づいてそういった試験をやっていくということだと思うんですが、申請があったのかとか、相談を受けているのかとか、こういったこともお答えになれる範囲でお答えいただければと思います。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
現在、我が国で開発されておりますいわゆる空飛ぶ車につきましては、人を乗せて試験飛行を行っている段階のものはございませんで、無人の状態で、操縦者が地上から無線操作を行うことによりまして、半径五メートル程度の内側で、上昇、下降、水平移動等の試験飛行を行っているというのが実情でございます。
有人飛行の実現に向けましては、技術開発の状況に応じまして、試験飛行を通じまして、機体の安全性を確認しながら、段階的に飛行の範囲や飛行の形態を広げていくということがまずは必要であると考えております。
具体的に余り個別に申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、国内のそうした開発をするメーカーなどが、そういった、今申し上げましたような実験を行っているという状況でございます。
○重徳委員 概況はわかりました。
細かい話をすれば、恐らくいろいろなところにメーカー側からすればハードルがあって、なかなか実現が、役所との関係、ルールとの関係でなかなかたどり着けないんだというような印象、感触を私も聞かせていただいたので、もちろん必要な安全確認などは当然必要なんですけれども、できるだけそういった技術開発を推進するということも含めて、これは海外は国際競争になっていますので、そういった観点から要望させていただきたいと思います。
そして、航空機という言葉で言わせていただきますが、航空機の開発を促進するために法律が戦後制定されて、航空機工業振興法という法律が制定されました。
YS11などの国産機の開発に役立った部分もあるというふうに聞きますが、この航空機工業振興法、これは現時点までにどれだけの成果を上げているのか、あるいは、ここまでが限界だとか、愛知で開発されているMRJの余り後押しになっていないという話も聞きますし、もし法律上はなかなか難しいところがあるのであれば、これからどうやって航空機、ドローンを含めた開発を進めていくのか、こういったあたりについて経産省の方からお答えいただけますか。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
空飛ぶ車につきましては、経済産業省といたしましても、その実現に向けてさまざまな取組を実施していくこととしております。
今御指摘いただきました航空機工業振興法でございますけれども、これは、航空機等の開発に大きなリスクを伴って巨額かつ回収期間の長い国際共同開発を支援することを主として念頭に置いたものでございまして、例えばボーイング787の航空機とか、あるいはV2500などの航空機エンジン等の国際共同開発、これを支援対象としているものでございます。
一方で、空飛ぶ車につきましては、現在これは、数年先の実用化を見据えた国際的な競争、こういった中で、国内では、国内事業者が主体となって、資金調達を含めて多くの開発プロジェクトが既に開始されているものというふうに承知をしております。
こうした民間の取組を加速するためには、官民がどういう役割を担っていくといわゆる空飛ぶ車が実現し得るかについて明確化をして、それによりまして、民間事業者にとっての将来の予見可能性を高めていくということがまず何よりの大きな後押しというふうに考えております。
こうした考え方から、昨年十二月に、経済産業省と国土交通省が主導いたしました官民協議会におきまして、いわゆる空飛ぶ車の実現に向けて、事業スタートの目標年、あるいは官民が取り組んでいくべき技術開発や制度整備、こういったものをまとめたロードマップを策定したところでございます。
現在、このロードマップを踏まえまして民間事業者などの具体的な取組が加速をしていると認識をしておりますけれども、今後とも、具体的な支援ニーズを踏まえながら、要素技術の開発支援などの適切な支援を実施してまいりたい、こう考えております。
○重徳委員 ありがとうございます。
今、官民協議会でロードマップを作成したということですが、ここは経産省と国交省もということでございます。それから、先ほどの法律、航空法という法律が適用されるということからも、やはり航空産業においては国交省の役割は非常に大きいと思います。
そういう意味で、石井大臣の役割が非常に大きいんじゃないかと思うんですが、大臣の意気込みを含めて、その辺の見解を教えていただければと思います。
○石井国務大臣 いわゆる空飛ぶ車は、モビリティー分野の新たな動きといたしまして世界各国で開発が進んでおり、我が国におきましても、都市部での送迎サービス、離島や山間部の新たな移動手段などにつながるものと期待をしております。
空飛ぶ車の実現に当たりましては、その実現に取り組む事業者の技術開発や構想の具体化と並行いたしまして、機体の安全基準の整備等の安全確保や離着陸場所の確保等といった環境整備が必要となります。
こうした観点から、昨年末に空の移動革命に向けた官民協議会におきましてロードマップが取りまとめられ、二〇二三年の事業スタートを目標とされたところであります。
国土交通省といたしましては、ロードマップに掲げられた目標を踏まえつつ、空飛ぶ車の実現に向けまして、まずは、事業者による試験飛行、実証実験の実施環境を整えるなど、必要な環境整備につきまして、引き続き官民で連携を図りながら取り組んでまいりたいと存じます。
○重徳委員 ぜひ大臣、旗を振って、先頭に立っていただきたいと思います。
もう一点、違う話になりますが、昨今、航空機とか自動車のメーカーが、検査に当たって不正が頻発していると言っていいと思うんですね。
つい最近、これはおとといの新聞ですが、「航空機エンジンの検査不正が発覚したIHI」、これも随分ひどい状況なんじゃないかなと思うんですが、国交省がこの不正について、「国内向けエンジンの安全性に問題はないと確認する一方で、背景に納期を優先して安全を軽視する意識があったと判断。」というふうに記事には載っておりますが、この辺の事実関係を国交省からお願いします。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省東京航空局がIHIの民間エンジン事業部瑞穂工場に対しまして、本年一月から二月にかけて随時の立入検査を実施をいたしまして、その後報告徴収を実施したところ、エンジンの修理作業及び検査におきまして多数の不適切事案が確認されました。
これについて、会社からの報告によりますと、その要因、背景といたしまして、事業拡大、業務の増加に注力する経営層が現場の実態を把握せず、業務量に対応した検査員の育成、増員が適切に行われない現場との間で安全に対する認識の格差が生まれ、納期を優先する余り、現場において安全意識やコンプライアンス意識が働かなかったことが挙げられております。
国土交通省といたしましては、IHIに対しまして、これらの要因、背景を詳細に分析し、具体的な再発防止策を策定して報告するよう、四月九日付で業務改善命令を行ったところでございます。
今後、会社からの報告内容を精査の上、必要な対策を講じて、航空機や装備品の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○重徳委員 こうした大問題になるとこうやって調査が入って、事業を拡大することばかり考えていたということで、現場の把握もできず、現場と経営陣との認識の格差が起こったと。こんなことで、さもありなんと思いつつ、これをこうさせてしまうというのは、やはり経営陣が、これは正直、今の資本主義のあり方とか、株主の利益を最優先するとか、こういったところに根本的には由来することだと思うんですよね。だって、自動車に、ブレーキとか、そういう本当に安全の肝となる部分についての検査不正が起こるわけであります。
こういった意味で、会社のステークホルダーというのはたくさんいるんですよね。それは株主だけじゃないわけですよ、当たり前ですけれども。株主の利益はもちろん大事な一要素ですけれども、やはり会社には社員がいて顧客がいて取引先がいて、これは全部顔と顔が見える関係じゃないですか。
株主の場合は、見える人ももちろんいますし、立派な、会社に貢献されている株主もおみえになりますけれども、しかし、やはりファンド、投機的な株主もたくさんいるわけでありまして、そういう意味では、何を優先すべきかということについて、これは資本主義のあり方そのものも見直していかなきゃいけない、そういう時期に差しかかっているというふうに私は感じております。
こういったこともできれば含めて、大臣の御見解をお尋ねいたします。
○石井国務大臣 昨今、自動車メーカーや航空機器メーカーにおける不適切な検査事案が判明をし、コンプライアンス上の不適切な事案が続発したことは極めて遺憾であります。
このような検査の不適切事案の再発を防止するためには、メーカー各社において、経営層が公的な責任を自覚をし、強いリーダーシップを発揮することにより、不適切事案につながるリスクや要因にまで目を向けつつ、現場業務の把握、管理を徹底するとともに、コンプライアンス重視を浸透させることが必要であると考えております。
国土交通省といたしましては、一連の不適切事案の原因を踏まえつつ、国民の安全、安心を確保する観点から、経営層に対する取組状況の聴取や効果的な監査の実施に取り組む等によりまして、各分野において適切な検査の実施を確保してまいりたいと考えております。
○重徳委員 しっかり所管省庁としてお願いしたいと思います。
最後に一言だけ。会社法の大家であります上村達男早稲田大学教授、この三月で退職されたそうですが、この先生が、株主価値の最大化よりも人間中心の会社制度を構築すべきだ、こんなことをインタビュー記事で述べておられます。
こういった価値の大きな転換というものをしなきゃいけないんじゃないかと私は思っておりますということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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