H25.11.1 厚生労働委員会
「安全・安心な再生医療のために」==============
○後藤委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
今国会から厚生労働委員会のメンバーとして加えていただきました。今後の日本の課題を最も重くしょい込んでいる委員会だと思っておりますので、ぜひとも、私自身も、田村大臣を初めとした政府の皆さん方、そして先輩議員、同僚議員の皆様方とともにしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、早速質問なんですけれども、今回、再生医療というのが大変大きなテーマでございまして、実は、先般の通常国会におきましては、既に議員立法で再生医療推進法が成立をいたしました。その中では、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるように」と国の基本的な責務として書かれておりますし、基本理念の中では、「世界に先駆けて利用する機会が国民に提供されるように施策を進めるべきこと。」といったようなことが書かれております。
今回の二法案も、まさに、この法律に基づく法整備という色合い、意味合いも非常に大きいと思います。
また、この法案、再生医療推進法の第六条には、国は、再生医療の迅速かつ安全な研究開発及び提供並びに普及の促進に関する基本方針を定めなければならないということで、基本方針、これは厚生労働省だけではないと思いますが、恐らく、省庁横断の基本方針を策定する、まだ準備段階だと思いますが、こういった再生医療推進法に基づく現在の取り組み状況について、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、再生医療推進法、前国会で議員立法で成立をした法律でございます。
基本的には、この法律は、再生医療に関する理念でありますとか、それから基本的な施策、こういう方針にのっとって書かれておるわけでありますけれども、これにのっとってといいますか、この法律に従って、今般、一つは薬事法改正、そしてもう一つは再生医療安全性確保法案というものを提出させていただいておる。
薬事法の方は、承認審査でありますとか、それから、言うなれば、市販後の安全確認みたいな部分に関して、これを規定させていただいておるわけであります。
一方で、安全性確保法の方は、例えばリスクに応じた分類を分けまして、それに応じた対応の仕方、こういうこと。さらに申し上げれば、細胞培養する製品、こういうものの、言うなれば、民間への、外に出してそちらの方でつくるというようなことに関しまして、新たな規制緩和というようなものを入れさせていただいておるわけでございまして、安全性の確保とともに、この再生医療というものが速やかに実行できるような、そのような法律を今般提出させていただいておるような次第であります。
基本方針にのっとっては、これはまさに、今言われましたとおり、これから各省庁ともしっかりと連携をとりながらつくっていくわけでございますので、これからもどうか、委員にもいろいろな分野で御協力をいただきますように、よろしくお願いをいたします。
○重徳委員 ありがとうございます。
この基本方針にしろ何にしろ、再生医療、中心となるのはやはり厚生労働省だとは思いますが、この再生医療推進法にも書かれておりますように、迅速かつ安全という、なかなかこれは、矛盾とまでは言いませんけれども、いろいろなところでジレンマを包含するようなこと。
つまり、安全といったらもうとにかく安全第一でありまして、安全の方が何よりも優先だということになるんですが、それと同時に、迅速にやらなきゃいけないということでありますから、これはやはり迅速にやらなければ、確かに、再生医療としての製品の安全性、これはもちろん安全性は安全性なんですが、早く開発そして普及されることによって、より多くの人たちが助かるということになるわけですから、広い意味での安全、つまり人々が再生医療によって助かる、こちらの安全性も、いわば確保しなきゃいけない。
こういうところを進めていかなきゃいけないんですが、やはり、厚生労働省の、これは体質という、別に悪い意味でのではないですけれども、マインドとして、安全第一というふうにこれまで傾いてきがちだったんじゃないかなというふうに思います。
そういう意味では、できるだけ早くたくさんの人が助かるためには、一体、今回の制度においても、何が迅速化に向けたネックになり得るのか、こういう検証をきょうはあえてやってみたい。つまり、安全はもちろん大事なんです、それはもうわかっておりますが、しかし、これを迅速にやるために何が大事か、こういった視点から本日は質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、再生医療安全性確保法案についてなんですが、大ざっぱに言えば、これまで、自由診療だったり、あるいは、法律に基づかない仕組みのもとで再生医療というものが進められてきたところを、これからは、この法律に基づいてきちっとやっていくということだと思います。
例えば、京都市のクリニックで、幹細胞の点滴を受けていた韓国人の男性の方が死亡する、こういう事例がニュースなんかで騒がれておりましたけれども、これは、もちろん重大な事故、事件だったと思いますけれども、しかしながら、現に外国、海外から、日本における再生医療を受けたい、そして実際受けて、そして助かる、こういうたくさんの方々が実際にはいるわけなんですよね。
だから、何かそういう、悪いニュースを聞くと、こんな制度が野方図で、何にもルールがなくて、こんなことでいいのかという問題点ばかり見えてしまうんですが、実際に助かっている人たちもそれ以上に何百人も何千人もいるわけですから、自由診療であったこれまでの状態というのが、一体、あえてお伺いしたいんですが、自由診療あるいは制度のない状況で何が問題だったのか、これをお尋ねしたいと思います。
○原政府参考人 まず、自由診療におきますいわゆる再生医療の状況でございますけれども、先ほど委員御指摘のように、京都のクリニックで、幹細胞治療を受けた後、死亡された方が出た。ただ、これは因果関係までは直接わかってはいないわけですけれども、そういう例があった。
それからまた、最近の報道では、福岡県のクリニックで、もともと韓国ではこの幹細胞治療は認められておりませんので、韓国から幹細胞を持ってきて国内で投与を受ける、そういうような形での治療を受けておられる例も多数出ているというようなことは承知はしております。
しかし、現在のところ、国内で、全体で、どのような再生医療がどのような形で、また安全性が確保されているのかどうかも含めて、行われている状況が把握できない状況でございます。これは、まさしく自由診療の部分でやっておられるからでございます。
また、このような中で、予期せぬ事故が起こった場合には、再生医療全体の実用化への動きをとめることになりかねないということから、今般、その安全性についてしっかりと確保しつつ実用化を進めていく、そういう仕組みを構築するための法律案を出させていただいた次第でございます。
○重徳委員 これもあえてお伺いしたいと思うんですが、そういう自由診療で行ってきた、因果関係は定かではありませんが、そういう死亡の事例が出てきている、これは、やはり一見して問題だなという感じはするんですけれども。
えてして、この医療分野に限らず、社会の事象を政府がきちっと把握して、管理して、そしてコントロールするんだということになると、社会に対する負荷ばかりがかかって、本当は、それは世の中、誰が見ても安全、安心な治療を受けられる状態にするというのはとても大事なことではあるんです。
しかし、そんなに政府がかかわらなくてもいいのに、余り管理しようとして手続ばかり、コストばかりかけて、だから、官僚支配という言い方がいいかわかりませんが、何でもコントロールしようとする、そういう国家に今なっていることも、実際、医療の分野に限らず、一般論として言ってあるわけですし、やはり役所が管理しようとすると、それは責任というものがある、責任というものを盾にとって、なかなか物事が進まない。だから、迅速かつ安全と言いながら、迅速という部分がどんどん失われていく、損なわれていくという可能性だってあります。
まして、制度ができると、余り表では言えないことかもしれませんが、そこに利権が絡んだり政治力が絡んだり、いろいろなことが起こり得るんじゃないかな、こういうこともあえて指摘をさせていただきたいと思うんです。
そういう意味で、今局長の御答弁では、把握しないことによって、あるいは事故が起こることによって、再生医療全体の信頼を失う、ダメージを受ける、そういうようなことがあってはならない、だからこの制度をやる、メリットがあるんだということをおっしゃいましたが、逆に、デメリットというか、枠をはめることによる弊害とか、そういうもので気にしなきゃいけないこと、こういうことで何か思っておられることがあれば御答弁願います。
○原政府参考人 デメリットがあるのではないかということでありますが、確かに、現在、自由診療で行われている医療の分野につきましては、公的な部分とのかかわりは全くないわけであります。どういう患者さんにどういう治療をするかは、患者さんと医者の間で決められた形で進められている。
それに対しまして、今回の法案が成立しますと、自由診療でやられることにしましても、まずは、その治療内容が安全か、それから効果がどうか、リスクと効果の比較をしていただく、倫理的に問題がないかということも検討していただく、そういうような、認定再生医療等委員会というものに諮っていただいた上で、届け出はしていただく。そこは少し手間がふえるところではないかと思いますけれども、その部分は、やはり全体を把握するという意味で、また安全性を確保する上でも、適切な規制ではないかというふうに考えております。
○重徳委員 このぐらいの御答弁だと予期はしておりましたけれども、あえて。
基本的にはいいことなんですよ、もちろん。そして、国全体で推進しようということは、もちろんいいことなんです。
ただ、それに伴うコストだとか、あるいは、迅速にと言いつつ、建前は迅速、迅速と言いながら、これまでだって迅速にという考え方がなかったわけじゃないわけですから。だけれども、日本では、医薬品も医療機器もなかなか認められない、時間ばかりかかっちゃう。こういう状態がこれまでも続いてきて、法律が一本通ったら、法律が二本通ったら、ぱっと物すごい勢いで迅速化されるかというと、そこも、今回の法律では捉え切れていない、いろいろな部分があるんじゃないかなということを思うわけであります。これについては、後ほどさらに議論を深めたいと思います。
ちょっと議論を、これは、ES細胞、iPS細胞、いわゆる今回の法律で言うところの第一種から第三種までの再生医療のジャンルが分けられているわけですが、人にまだ未実施で最も高リスクと言われます第一種、とりわけその中で、代表的な例としてES細胞、そしてiPS細胞というのが挙げられているわけなんです。
ES細胞とiPS細胞は、もちろん専門の方は言うまでもないんですが、素人的にいっても似て非なるものでありまして、iPS細胞は、この夏にまさに臨床研究に向けて第一歩を踏み出すという状態に至っているわけですけれども、ES細胞というのは、やはりいろいろと課題が残されているというか、解決可能な課題かどうかすらわからないんですけれども、倫理的な問題がありまして、そういうあたりの、技術とか安全以前の倫理的なものも含めて、実用に向けた課題を今お考えのものを、状況を教えていただければと思います。
○吉田政府参考人 ES細胞は、委員御承知のとおり、ヒトの受精胚から細胞を作成していく、そういう過程をたどりますので、その過程で受精胚が滅失するということが伴ってくるわけでございます。そこで、やはり倫理上の課題といったものが指摘をされておりまして、この点に留意しながら研究を進めていく必要がございます。
それに対しまして、iPS細胞の場合には、これは、例えば皮膚細胞ですとか、そういった体細胞から細胞をつくっていくということが可能でございますので、先ほどのES細胞のような倫理上の問題は少ないというふうな状況でございます。
したがいまして、今現在の研究動向からいたしますと、やはりiPS細胞といったものを活用いたしまして研究を進めているという研究者が多くなってきている、こういう状況ではございます。
ただ、ES細胞に関しましても、やはりこの分野におきまして長年の蓄積がございまして、また、細胞自体が比較的安定をしているということで、研究に活用できるということもございますから、それについても、大学や研究機関において取り組みが続けられているという実情がございます。
文部科学省の方では、再生医療実現拠点ネットワークというプログラムを持っておりまして、その中で、iPS細胞がその研究動向からしても今は主力ではございますけれども、その中にもES細胞の部分も入ってございまして、そのプログラム以外の、例えば文科省が持っておりますいわゆる科学研究費助成事業、いわゆる科研費、そういった資金も用いながら、研究に対する支援を行っているところでございます。
文部科学省としては、この革新的な再生医療の実現に向けた取り組みを推進いたしまして、いち早くその成果が医療現場に届けられるよう、取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
○重徳委員 今の御答弁をお聞きしますと、ES細胞についても、iPS細胞と同じように、国としても支援をしているというふうに伺えるんです。
しかし、局長言われたように、実際には、多くの研究者はiPS細胞の方に流れていっているという実態があるということで、ここは役所として、ES細胞にはもう目を向けないとも言えないでしょうし、先ほど言われた、細胞が安定しているんですか、そういう強い部分もあるということですから、引き続きという御答弁になるんでしょうけれども、やはり倫理上の課題というのは、私の感覚からしても、なかなかこれは難しいんじゃないかなということも思います。
このぐらいの指摘にとどめておきますけれども、今現に、iPS細胞の方にぐっとかじを切る段階に至っていると思うんですが、そういう意味で、先ほどからこだわっている、迅速にということについて、専らiPS細胞に力を入れていくということになると思います。
ですが、iPS細胞は、今回、臨床研究の段階にまで至っているので、iPS細胞についてというわけじゃないんですが、これまでと同様に、第一種だというふうにとられれば、これは、高度な審査能力を持った特定認定再生医療等委員会というところの非常に厳しい審査を受けて、そしてさらに、第一種であれば、厚生労働大臣に計画を出して、大臣からは変更命令などもかけられた上で、そして、ようやく提供開始という段階に至る。その二段階ぐらいにしか説明されていませんが、実際には物すごく時間もかかる、労力もかかることではないかと思います。
二段階目の、厚生労働大臣による計画の変更命令までの期間は九十日以内に行うこととされていますが、その前段の、申請から特定認定再生医療等委員会の審査、これはやはり、物によると思いますが、相当時間がかかると思います。
ちょっとこれは通告しておりませんが、ちなみに参考までに、今回のiPS細胞が、この夏に至るまで、審査期間としては実際どのぐらいかかったというふうに見たらよろしいんでしょうか。何年とか何カ月とか、どう見るとよろしいんでしょうか。もしわかれば、お願いします。
○原政府参考人 今般のiPS細胞を用いた加齢黄斑変性に対する臨床研究につきましては、厚生労働省に平成二十五年二月、本年の二月に実施計画が出されまして、審査委員会で三月、五月、六月の三回審査をした後、七月十二日に審議会での了承を得られたということで、ざくっと言いまして約五カ月余りということになっております。
○重徳委員 それは、これからの制度に照らしていえば、一番最初の医療機関からの申請、そして、特定認定再生医療等委員会の審査を経て、厚生労働大臣に計画を提出し、厚生労働大臣が認める、その期間のことですか。ではなくて、今度、九十日に相当する部分が、今回は五カ月、百五十日ぐらい、そういうことですね。わかりました。
そういう意味では、今回、百五十日かかった部分が九十日という縛りになるということで、そこの部分は短縮できるということだと理解をいたしました。この部分は非常に評価できる部分じゃないかなというふうに思います。
その前段は、非常に、物によっていろいろ違うと思うので、何でもいいから早く早くということまで申し上げるつもりはありませんが、それにしても、いろいろな運用の改善というものは、これまで変わらず、これまではどうでもよかったわけではないと思います、これまでも取り組んでこられたんでしょうが、そこが今回、制度改正によってだけでは、なかなか変わらない部分があると思うんです。だから、そこはぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
とりあえず、九十日ルールの意義は、今の御答弁で一定の確認ができました。
さて、次に、いわゆる細胞を外部に、企業に加工、保存してもらえるような、外部委託できる仕組み、このことについてお尋ねしたいと思います。
先ほど、大臣は規制緩和という言われ方をして、私も先日、新聞を見ておりましたら、このような外部委託をできることを制度化したのは欧米に先駆けて日本が最初なんだというふうに書いてありまして、おお、これはすごいな、日本、ついにトップランナーに躍り出るだけの制度ができてきたのかというふうに、一読者としても感じたわけなんです。
しかし、これは確認なんですが、少し厚生労働省の事務方の方と話をしていたときに、これは日本が一番最先端なんだということなのかどうか、ちょっと疑問に感じる面がありまして、つまり、これは、先ほどから言っているように、制度化するというのは、逆に言うと規制をかけるということでもあるわけで、外部委託できる企業を政府が許可するわけですから、許可しなければ委託できないという意味では、規制をかけていることにもなるんですよね。
今回の制度化は規制緩和なんでしょうか、それとも規制強化なんでしょうか。ここを改めて問いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○原政府参考人 実態として、現在のいわゆるこういう再生医療といいますか等に使われています細胞の培養加工については、医療機関内で普通は行われていたというふうに考えております。それは、医療機関以外の施設で細胞の培養加工をしてもよいというような明確な規定がなかったからでございます。そのために、結果的に医療機関内で調製をしている。培養製品となっているものについては、培養ができる製造施設というのは一部認められておりましたけれども、現在のところ、多くのものは医療機関の中でやっている。
これに対して、今回は、医療機関でやるためには専門的な人員や施設の確保を医療機関個々にやっていかなければいけませんので、それを外へ出すということによって医療機関の負担が減るだろう、そういう意味では、規制緩和でもありますし、迅速化にもつながるだろうというふうに思っております。
ただ、今の御質問の視点での、規制の面について言えばどうかというと、規制を明確化して、曖昧さをなくしたというような形で考えていただけるとありがたいと思います。
○重徳委員 今局長が言われたように、ルールの明確化、これは間違いない話だと思うんです。ただ、この規制を緩和したのか強化したのかというと、これはどっちなのか、ちょっとよくわからない部分があると思うんです。
ちなみに、海外では、欧米では、これはやはり許可したところにしか医療機関は委託をできないという制度になって、というか、そういう仕組みがないがゆえに外部委託ができない、外国では外部委託できない、だけれども日本ならできるんだよ、こういうことなんでしょうか。そうであれば規制緩和ということになると思うんですが、何か、外国は自由にやっているんだよ、これを日本はわざわざ許可したところにしか出せないようにしたといったら、規制強化のようにも見えてしまうんですが、本当の意味で最先端なんでしょうか。
○原政府参考人 お答えいたします。
国によって状況は違うようですので、一概にちょっと言えませんけれども、例えば、アメリカでは、許可なしに、いわゆる公的な許可を得ないでやっている、自主的な基準で多分やっておられるんだと思いますけれども、そういうような形で調製をしておられるというふうには聞いています。
○重徳委員 アメリカを一例だけ挙げられましたが、アメリカは自由にやっているんだということだとすると、何か、日本が、制度化したのは世界で初めてだ、だけれども、それは、日本はむしろ自由に今までやれなかったところをやれるようにした、そのかわりちゃんと許可をしたところ、これは安全という意味でわかりますよ、わかりますけれども、許可をした企業に外部委託できる。日本の国内では規制緩和なんだけれども、この制度化をもってアメリカよりもさらに一歩進んでいるというふうには、ちょっと、必ずしも評価できないのかなというふうに感じました。
だから悪いという意味じゃないですよ。もちろん進歩なんですよ。だけれども、我々日本国に暮らす日本国民として、どこまで胸を張れる話なのかということがいま一つよくわからなかったので。どう見たらいいんでしょうか、アメリカと比べて。(田村国務大臣「アメリカと比べて」と呼ぶ)今のは、自由にやっているアメリカに比べてという意味です。
○田村国務大臣 アメリカの実情を私も詳しく知っているわけじゃないんですけれども、少なくとも、今委員が言われたとおり、国内では、それぞれの医療機関、研究機関が、自分たちは今の状況では外に外部委託できないということで、やらなかったわけであります。
そこに、明確に、このような形で制度をつくるということは、それだけ外部に委託できるからということでございまして、その分だけ、再生医療製品、つまり細胞培養等々の加工ですよね、こういうものをやりやすくなることだけは確かでございますので、それを、チャレンジしない日本の医療機関や研究者が悪かったんだと言われると、それは困ってしまうわけであります。
だけれども、それはやはり、それだけ安全性というものに対して非常にセンシティブになっていた。それから、社会的な信頼性といいますか、制度がない中で下手にやって何か起こったときに、その後の再生医療というものに対する信頼性を失うことに対して、非常に医療機関や研究者が慎重になっておられたということでございますから、そこを一歩を踏み出せるような制度をつくったという意味では、再生医療を進めていく上において非常にしやすくなったという意味で、私、規制緩和と言いましたけれども、よりしやすくなるような制度をつくったと言う方が確かなのかなというふうに思います。
○重徳委員 今、図らずも大臣言われたように、研究者や医療機関が、あるいは企業が、チャレンジ精神を持っていなかったということでもなくて、この日本社会全体がなかなかベンチャー精神あふれる国に今なっていないというところは、一体何が根本的な原因なんだろうかということを見たときに、やはり、よしあしは別として、日本人は何かお上意識があって、国が認めていないことを本当にやっていいんだろうか、こういう部分があるんですよね。
だから、今回の制度化は、外部委託を制度化したことは、私、もちろん前進だと思っておりますけれども、何か歯がゆさもちょっと残ってしまうんですよね。日本はやはり制度化をして、政府が許可をしなければ、安心して研究活動、開発というものがなかなかできないんだ、そういうふうに見えてしまって。
医療分野ですから、非常に微妙な問題はあると思います。何でも自由にやった方がいいんだ、こういうことではない、そこはわかっているんです。もうそれは最初から、安全というものは極めて重要なことだということはわかった上できょう議論しておりますので、その中で、やはり迅速さを考えたときに、こういった、政府としてのチャレンジでもありますね、こういう規制を見直していく、ルールを明確化していくということを、政府自体がどんどん迅速に今後もやっていく必要がある、このように指摘をさせていただきたいと思います。
そして、次に、これは薬事法の方になると思いますが、同じ再生医療についても、今回の薬事法改正では、臨床研究後の治験、承認、市販に向けて、新しい制度ができます。条件、期限つき承認制度というものができますね。
これまでのような、最終的な承認に至るまでは承認されない、全く承認されないという仕組みから、条件つき、期限つきで、これは、事務方の説明をいただいたときには、仮免許みたいなものですよというふうにお聞きしました。そう聞くと、何となく、iPS細胞もどんどん世の中に広まっていくのかなという期待感も出てくるわけですね。
それから、いただいた資料の図だけ見ると、治験の有効性、安全性の確認が今までと比べて四分の一ぐらいの幅になっていて、これまで一年かかっていたものが三カ月で済んじゃうんだ、すごくこれは効果的な制度なんだというふうに見えるような資料をいただいたわけなんですが、あえて皮肉を言わせていただけば、仮免許というものも、自動車教習所でやった、ほとんどクリアした最後の方で、本免許のちょっと手前にようやく仮免許になるのであって、だから、ずっと手前で本当に仮免許になるのか、こういうことでございます。
一体、今回、この図によると期間が四分の一ぐらいで済むように見えるんですが、実際、どのぐらいの期間、短縮効果があると、これは一例を挙げていただく形でも構いませんし、感覚的なことでも構わないんですが、四分の一ぐらいに圧縮されるというイメージを持っていてよろしいんでしょうか。
○今別府政府参考人 お答えいたします。
先生お示しの図が四分の一だったかどうか、ちょっと私も記憶にありませんが、もともと、これは有効性と安全性と二つあって、安全性の方はきちんと従来どおり確認をするということでございます。
有効性の方について、従来、確認をするということで非常に長い期間かかっておりましたので、これを推測という段階で、先ほど先生もおっしゃいましたように、相手の同意をきちんととって、リスク、ベネフィットを説明した上で同意をとった上で、いわば仮免許という形で使うということでございます。
もともと、既に認可をした、承認をした再生医療製品が余りございませんが、通常、何年もかかっておったものが半分ぐらいにはなるんではないかというふうに期待をしております。
○重徳委員 では、次の質問に移りたいんですけれども、今回の再生医療推進に当たりましては、医療機関と、それから研究者を含みます企業、民間部門の共同研究開発というものが大いに期待されるものであります。
医療機関といったときに、まずは、ぱっと思い浮かぶのは、やはり大学病院かなという感じがいたします。大学病院における臨床研究や治験、こういうものが想定されると思うんですが、ここで一つ、私なりの提案をさせていただきたいと思うんです。
例えば、地方の自治体病院がありますね。いろいろな病院がありますので、どこでもというわけじゃありませんけれども、やはり自治体病院でも、既に民間病院では扱えないような、高度なあるいは先端的な医療を扱っている病院も多いです。そういう意味で、自治体病院という場を活用して、再生医療の実用化に向けた取り組みを進めることができないものかなというふうに思います。
大学病院は、もちろん、先ほどから話題になっている難病とか非常に高度な医療に取り組んでおられるわけですが、どちらかというと、それに比べると、自治体病院は、より日常的な患者さんと接すること、患者さんが利用されることも多いわけですから、例えば、膝が痛いんだとか目が何か見えにくくなってきたんだ、そういう高齢者の方がいる。そういう意味で、誰にでも起こり得るような身近な疾患を扱っていることも多いと思います。
そういう意味で、再生医療で典型的な、例えば軟骨とかあるいは角膜とか、そういったものが適応する症例というのはすごく多いんじゃないか。逆に言うと、患者さんからすれば、再生医療のありがたみというものを感じやすい、そういう方が多いんじゃないかというふうに思います。
企業も、地域にはいろいろな企業があります。だから、細胞を培養する装置を研究開発したり、あるいは移植をした後の経過観察を行う、このための装置を開発して導入するとか、そういった企業の取り組みを活用することにもなりますし、それから、さらに言えば、話を広げれば、温泉地とか観光地であればいわゆる医療ツーリズム、地域活性化にもつながってくるということであります。
再生医療は、これからどういう展開になってくるかわかりませんけれども、やはり過度な商業主義みたいなものもちょっと懸念される面もあったりしますので、そういう意味でも、公立病院がかかわれば、一定のそういったバランス感覚も持って取り組むことができるんじゃないか。
そういう意味で、地域丸ごと、世界最先端の再生医療を推進する、今国会に法案も提出されております国家戦略特区、こういうものもでき上がっていくんじゃないかなと思います。
先ほど申し上げました議員立法によります再生医療推進法にも、「世界に先駆けて利用する機会が国民に提供されるように施策を進めるべき」だというふうにありまして、世界一の再生医療特区をつくるというのは法の趣旨にも合致するのではないかなと思うわけですが、こういった取り組み、仮に、どこか地方からこういったような提案があったとしたら、ぜひ前向きに取り組んでいただければ。国家戦略特区という形でも前向きに取り組んでいただけるテーマじゃないかなと思うんですが、大臣の御所感をお願いします。
○田村国務大臣 自治体病院のお話がありました。
自治体病院は、非常に多くの医療に関するニーズにお応えをいただいておるわけでありまして、例えば、地域で不足している医療ニーズに応える、また住民のニーズにしっかりと応えていく、僻地医療でありますとか高度な医療に関しましても、一定程度の役割を果たしていただいておるわけであります。
こういう自治体病院が、今言われたような例えば再生医療等々の中心で研究をしながら、国家戦略特区の中で役割を担っていくということ自体、これはあり得る話であろうと思います。
ただ、今、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針というもので、これに基づいて研究を行っているそういう研究機関等々、医療機関が八十四件あるんですけれども、自治体病院は残念ながらこの中では二程度ということでございまして、大学病院が中心でありますけれども、他の医療機関と比べると担っておられる役割というのはまだまだ少ないようであります。
ただ、一方で、力を持っているそういう自治体病院もございますので、今般、この法律の中で再生医療を行うに関しての安全の基準でありますとか、そういうような整備をしておるわけでございまして、ぜひとも、法律にのっとってそのような役割を果たしていただく中において、地域の活性化のみならず、世界への貢献というものを含めて頑張っていただくような自治体病院があれば、大変ありがたいなというふうに思います。
○重徳委員 御答弁ありがとうございます。
まさに地域の活性化と世界貢献という、非常に、グローバルとローカルを合わせてグローカルという言葉がありますけれども、そういう言葉を想起するような御答弁をありがとうございました。
さて、次に、薬事法の改正につきまして、デバイスラグと言われる、医療機器が使えるようになるまで、実用化までの期間が日本は海外と比べてむちゃくちゃ長い、二年ぐらい余計にかかるという数字も出ているわけなんですが、先ほどから一貫して言っております、安全性はもちろん当然の前提とした上での迅速化、今回の制度改正によりまして、迅速化がどのぐらい図られるのかということについてお伺いしたいと思います。
例えば、医療機器の製造業につきましての、これまでは許可、認定と言われる仕組みが、今度、これからは登録に変わるという制度改正がこの法案の中に盛り込まれております。それから、QMSと言われる製造・品質管理の調査、これが、これまでは個別の製品ごとに行われていたのが、これからは製品群単位、どのぐらいの大くくりかわかりませんが製品群単位で行われるというような、そういう一見して何となく効率的になるような気がすると思えるような内容なんです。
逆に、今までは、許可、認定で物すごく時間がかかっていたということでしょうから、そこに今までどのぐらい、何日ぐらいかかっていたのが、登録にすることでどのぐらい短縮できるのかとか、個別製品じゃなくて製品群単位にすることで、どのぐらい手間が省けて、どのぐらい日にちが圧縮されるのか、こういうあたりについて、少し具体的な御説明をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○今別府政府参考人 お答えいたします。
今、先生御紹介をされましたいろいろな改正、改善を行おうというのが今回の御提案でございます。
そのほかにも、もともとPMDAは、例えば医療機器の審査の人員もこの十年で五倍にふえるということでありますが、さらに、先ほど来出ていますように、今後の五年間で全体で一千人へふやしていくという中で、また拡充を考えております。それから、今御紹介がありましたように、第三者機関での認証、これは、裏返しますと、PMDAの審査で新医療機器の重点審査ができる。
それぞれの要素でどれぐらい縮まるんだという御質問でありますが、なかなか、そういう考え方といいますか、そういう要素で捉えて因数分解しておりませんが、そもそもデバイスラグ・ゼロを目指して、従来よりPMDAの目標としてやっておりますので、引き続き、その目標に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○重徳委員 結局、私が言いたいのは、それは許可よりは登録の方が早かろうという感じはするんですが、本当にそこで困っていたのかなというところなんですよね、恐らくそうなんだとは思いますが。しかも、許可、認定まではそもそも必要ないことだったんじゃないか。もちろん、どこかで改正するわけなので、今回がそのきっかけなんでしょうけれども、許可を登録に変えるとか、個別製品を製品群単位に変えるとか、もともとそれでよかったんじゃないのというような疑問は恐らく呈されていたんじゃないかと思います。
依然として、やはり審査というものは結局は人が行うわけですから、そうすると、審査官というんですか、審査する方が一定の裁量権を持って判断するわけですので、そうすると、その審査官が、物すごく、リスクゼロになるまで、安全も完璧になるまで絶対認めないというような方であるか、いや、これである程度の合理性があるというふうに、リーズナブルに通すことのできる、いわば力のある方かどうかということによっても非常に大きな違いが出てくると思います。
ですから、今の御答弁の中で、PMDAの人員を、これまで十年間で五倍ですか。でも、まだ数十人。済みません、何人が何人になったか、その辺もちょっと教えていただきたいんですが。もちろん、マンパワーは大事ですので、一人一人の能力もさることながら、ちょっとお願いします。
○今別府政府参考人 お答えいたします。
一の位までの数字が今確認をできませんが、恐らく、二十二人が百四人であったかと思います。おおむね五倍でございます。
○重徳委員 ですから、そもそもマンパワーが足りなさ過ぎたというのはあるわけですよね。それは、当然ふやさなきゃいけないということで、百人で足りるのかどうかもわかりませんが、二十二人よりは百人の方がいいでしょう。それから、もっと、何百人になった方がもちろんいいでしょうということなんですが、これは、頭数だけ多ければいいのかというとそういう問題でもないわけでして、先ほど申し上げましたような、審査する人の質というんですか、姿勢というんでしょうか、こういうことも改善していく必要があると思っております。
それから、もう一つ、今回の改正の比較的重要なところじゃないかなと思うんですが、医療機器をリスク別に分けて、クラス1から4まで分けて、それで、これまでは、クラス4が一番リスクが高いということなんですが、クラス4とクラス3はPMDAを経て大臣が承認をする、そして、クラス2は第三者の民間の機関が認証する。このクラス2の第三者認証を、今回の改正でクラス3、よりリスクが高い方まで広げるということなんです。
PMDAの方は、まだまだ不十分ながらも、体制は充実しているということなんですが、一方で、第三者認証がやることがふえる。第三者認証の方は、民間のこの機関というものは、今、十三機関あるということですが、この機関の数とか人員というものはどうなんでしょうか。何か、少ないままなのにやることばかりふえたら、逆に遅くなってしまうとか、そういうことはないんでしょうか。
○今別府政府参考人 お答えします。
十三機関、これは、かなり規模もまちまちで、現在取り扱っている数もまちまちでございますので、直ちにこれが満杯になって立ち行かなくなるということではございませんが、引き続き、むしろ、職員の質の向上、それから認証機関の方々の質の向上に、研修等を通じて引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○重徳委員 当然、そういう御答弁になるわけですが、でも、人の育成とかそういうことも、これまでだって課題だったわけですから、今回の制度改正をもって初めて人材育成をするわけではないでしょうから。
そういう意味では、今の御答弁では、本当にこの十三機関で、規模がまちまちというのがどういう意味なのかよくわかりませんが、だから大丈夫なのか、だからどうなのかわかりませんが、そこはやはりしっかりと充実させていくという方向にあるんでしょうか。それとも、民間のことだから民間の判断だということになるのか。どうなんでしょうか。もう少しお答えいただきたいと思います。
○今別府政府参考人 お答えいたします。
十三機関、さっき規模がまちまちと言いましたのは、取り扱っている件数が、まだできたばかりのところもありますのでまちまちであって、まだ余裕はあるだろうという趣旨で申し上げました。
それで、今後とも、もちろん、どんどん新しいものについて基準をつくって認証の対象に移してまいりますので、それに応じて、また必要な数がふえてくるんだろうというふうには考えております。
○重徳委員 余裕があるだろうということなら、最初からそういうふうに御答弁いただければと思います。まちまちでは全然わかりません。ちゃんと御答弁いただきたいと思います。真剣にお聞きしているんですから、よろしくお願いします。
それから、では、話題を移しますが、PMDAについては、以前から大阪府がPMDA―WEST構想というものを提案されていました。関西イノベーション国際戦略総合特区の一環として提案をされていたところ、先月、十月一日にPMDA関西支部というものが開設をされました。政府の皆様方の御理解に感謝を申し上げます。
もう既に薬事戦略相談というものが始まっておりまして、来年の四月からは、GMP実地調査という、医薬品の原料の受け入れから最終製品の出荷に至る製造管理、品質管理、これを実地で調査する、こういうようなことも行われていくということです。
ですが、資料を拝見しますと、来年四月になってまだ十三人ということで、まだまだ、人員が十分かというと、どうなんだろうかという感じもいたしますし、これにつきましては、せっかく関西、西日本のイノベーションの拠点が開設されたわけですから、その役割を果たせるように、このあたりのバックアップもお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○赤石大臣政務官 重徳委員にお答えしたいと思います。
私も医療関係で四十年間仕事をしてまいりまして、大阪は医薬品のまさに発祥の地でありまして、江戸の時代から今の大手の医薬品が存在し、そして、北陸もその発祥の地であったわけでありまして、私が業界にいたときから、何で大阪にこのPMDAの機関がないんだろうというのをずっと疑問に思っていました。
やっと、この十月からPMDA―WESTということでスタートをしました。ただ、今おっしゃいましたように、まだ、十三名というスタッフで、あとは神戸に出向いて相談をするというレベルでございますけれども、これから、この事業をゆっくりある程度の期間見た上で、どのように機能強化をするかということを判断していきたいというふうに思っています。
ただ、審査に関しましては、やはり能力の分散も含めて、集中する必要がありますので、相談窓口については強化しますけれども、審査という面ではもっと集約化するということも考えていかなきゃいけないなと。
いずれにしても、しばらくこのWESTで様子を見させていただいて検討していきたい、このように思っております。
○重徳委員 ありがとうございます。さらなる充実、ニーズにマッチした体制の整備をよろしくお願いいたします。
それでは、最後に、日本版NIHというものがこれから整備されていくという方向だと伺っております。アメリカの国立衛生研究所の日本版だということでございます。
医療分野の研究開発予算、これまでは厚労省だけじゃなくて、文科省、経産省、それぞれそれなりにあったわけですが、これを一元化しますと大体二千億円ぐらいの規模になるということで、若干、かき集めただけのふうにしか今のところ見えないんですけれども、少なくとも、きょうの審議にかかっております薬事法改正だとかによりまして、あるいは再生医療の新法案によりまして、例えば、日本で使われているペースメーカーはほとんど外国製、一〇〇%外国製だというような状況をやはりどんどんひっくり返して、日本で、よりよい、品質の高い医療機器を開発する、再生医療を提供できる。
こういう意味でも、本当に戦略的に、どうしても縦割りなんですよね、日本の役所は。だから、もともとどこの役所の持ち分の予算なんだとか、そういうところにどうしてもこだわりが出てきてしまいます。本当の意味で、日本版NIHというものが司令塔としての機能を本当に果たしてもらいたいと思いますが、ともすると屋上屋だとか調整ばかり大変だとか、こういうことはもう、私自身も本当にそんな経験ばかりしてきました。
最初から一貫して申し上げておりますように、迅速かつ安全な医療提供体制が求められているわけで、一日でも早く、たくさんの人が助かるような日本の医療環境をつくっていただきたい。こういう意味から、本日のこの質疑のやりとりを大臣に総括していただいて、その意気込み、抱負を語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田村国務大臣 日本再興戦略でありますとか健康・医療戦略に基づいて、日本版NIHをつくろう。これはまさに、日本でシーズはあるんだけれどもなかなか製品にならなかった、海外でというような悔しい思いの薬が幾つかございます。
そういうことを考えて、今言われた基礎研究、文科省の範囲から経産省の範囲まで、その間に我が厚生労働省が臨床研究を含め、そういう研究を担当しておるわけでありますけれども、そのためには、推進本部というものをつくった上で、総合戦略をしっかり組む。重点分野は何なんだとか目標はどうなんだとか、そういうものを組む。
それから、それだけじゃなくて、進捗の管理もしなきゃいけませんし、事後評価もしなきゃなりません。そのための独立行政法人もつくる。
そういう形の中において、予算を一元化して、アメリカの、本場のNIHの予算は、十分の一にも至りませんけれども、中身も若干違いますからそれが全てだとは言いませんが、とにかくこの分野を強化していく。
その中において、厚生労働省は、より治療、診断、こういうところに近い研究を担うわけでありますから、その分しっかりと意識を持って担当させていただいて、決して縦割りじゃない、一本びゅっと筋の通った、そのような日本版NIHというものをつくり上げてまいりたい、このように思っております。
○重徳委員 質問を終わります。ありがとうございました。