しげとく和彦の国会論戦の会議録
平成25年3月18日 予算委員会
―TPPをきっかけに改革をスピーディーに!!―
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
きょうは、TPPに関連しまして、長期的展望に立った大胆な改革を進めるべきであるという視点から議論をさせていただきたいと思います。
ついに、先週金曜日、十五日に、安倍総理がTPPの交渉参加を表明されました。我々からすれば、ようやく我々の主張に追いついてきたというふうに申し上げたいと思います。
しかしながら、まだ安倍政権が我々に追いついていない点がございます。それは、選挙のときに言っていたことに対してきちんと有権者の皆さんに対して説明をするという点がまだ追いついていないと思っております。
やはり、聖域なき関税撤廃を前提とする限り参加しないという、二重否定になっているんですね。非常にわかりにくいですよ。地元の方といろいろ話しました。表からいえば、聖域があれば参加するよということなんだけれども、聖域がなければ参加しない、そういう二重否定の公約は、非常に一般の国民の皆さんにわかりづらかったと思います。
ですから、ちゃんと伝えたか、伝えたつもりかということと、ちゃんとそれが伝わっているかというのはちょっと違うと思うんですね。
現に、たしかことしの初めに、私、選挙も終わりまして、農協のJAの本部、名古屋の本部の方に幹部の方に御挨拶に上がりましたところ、実はその時点で既に、私から、多分、安倍総理はTPPの交渉には参加すると思いますよというふうに申し上げたんです。そうしたら、農協の方が何とお答えになったと思われますか、総理。
○安倍内閣総理大臣 話の流れからいえば、恐らく、安倍さんは参加しないのではないですかと答えたんだろうと、今の問いかけで私はそう予測したところでございますが、いずれにせよ、公約は、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加しない。そして、私が出演したテレビ等においても、それはつまり、聖域を守ることができれば参加するという旨についてもお話はいたしております。
○重徳委員 御名答でございまして、そんな、参加するはずがないということをおっしゃっていました。
これは、やはりそういうふうにしか伝わらないんですね、基本的には。よっぽどじっくり総理のお言葉を、聞く耳をちゃんと持って、そういうつもりで聞いている方は確かにそうだと思っているかもしれませんが、やはり参加しないと多くの方々が思っていたんだと思います。
ですから、その後、私は、やはり、参加しない、参加しないじゃなくて、TPPの交渉には早目に参加をして、外交交渉をしっかり行って、それで少しでも有利な条件を引き出す努力をした方がいいんじゃないですかというふうに申し上げたんですが、それについても、これまで日本の外交はずっと負け続けてきたじゃないかということをおっしゃるわけです。負け続けてきたのは自民党政権ですよということを申し上げて、大体そのぐらいで話は終わってしまったんですが。
やはり、こういう間違った印象を結果として誘導してしまったことについてはきちんと御説明をいただかなきゃならないと思いますし、それから、これまで外交交渉で日本は負けてきたと皆さん、おっしゃっていますけれども、今回はかなり怪しいですよ、正直言いまして。これまで十六回、ほかの十一カ国で既に協議をしてきて、今度、五月が十七回目の会合です。もうかなり不利な状況に追い込まれているということもうかがえます。
やはり、こういう状況において、さらに申し上げますと、私は、自民党の最近の若手の議員さんには、もっと大暴れするぐらいに、農家の皆さんに自分たちはこう言ってきたんだ、断固反対だということを、平場でも、こういう表でも言う方が昔はいたんじゃないかと思うんですよ。椅子を振り上げて投げ飛ばすみたいな方も、これは特定の人物だけかもしれませんけれども。
まあとにかく、別に暴力的な行為に出る必要はないんですが、そういうぐらいの強い思いで、自分の地元の農家を、農業を守るんだ、こういう強い思いをもっと自民党の若手の皆さん方にも持っていただきたいと思うぐらいです。
ですから、私から申し上げたいのは、この関税撤廃が本当に聖域がなくなってしまって、本当に国益を損ねてしまうようなことがあったら、ぜひともこの交渉からは脱退する、撤退するという決意で、覚悟でやっていただきたいということでございます。
一言お願いします。
○安倍内閣総理大臣 現在の自民党においてもかなりダイナミックな議論が行われておりますし、御承知のように、このTPPについて、TPPの交渉に参加するかどうかの議論についても、相当の激しい議論がなされたのは、テレビのニュース等でも流されているわけでございますし、私も、当選したときに、ウルグアイ・ラウンドの交渉がございまして、私は農業特別行動隊というのに入りまして、この国会の前に寝袋で座り込みをして反対をしたこともあるわけでございます、根本大臣なんかは隣で寝ておりましたが。しかし、それでは残念ながら農家を十分に守ることもできなかったわけでございます。
今回、自由民主党の中においては、農家、農業、もっと収入を上げなければいけない、今のままでも厳しい状況ですから、これをむしろ、攻めの農政ができるところはしっかりと攻めていく、守るべきところは守っていこうという中において、やはり具体的な政策を進めていく必要があるだろうという危機感の中で、恐らくこれからどんどん議論が展開されていくんだろう、私はこう思っている次第でございます。
いずれにせよ、我々は六項目、選挙でお示しをしているわけでございまして、しっかりと交渉を通じて守るべきものは守っていきたい、こう決意をいたしております。
○重徳委員 ぜひとも、断固たる決意で日本の農業を守っていただきたいと思います。
やはり、総理に直接若手の議員さんからの突き上げのようなことが伝わらないようでは、これはまた、いつぞやの自民党のように、はるか遠いところで物事が決まっていってしまって、国民からの信頼を失い、そして下野に至るというようなことが起こってくる可能性だってあると思います。
ですから、私は、これまでの外交の、負け続けてきたと評されてしまうようなそういう結果についてもきちんと責任を持ってやっていただきたい、こう強く申し上げたいと思います。
それでは、これまで農政はどうだったのかということについて少し、私は今四十二歳なんですけれども、これは、私が子供のころの教科書なんです。小学校五年生の、そのころの教科書なんですが、そこに書かれていること。
これは、宮城県、もう合併して今は登米市になっているんですけれども、米山町の役場の方の手紙からなんという社会の教科書になっています。「農業で働くわかい人がへっています。」「受けつぐ人のいない農家がふえてきました。」「仕事をするわかい人が少なくなり、あれた田畑が目につきます。」
こういう状況、今は本当にそうですね。でも、三十年近く前もこうだったわけです。ですから、この長期間、三十年間にわたって、一体、日本の農政は何をやってきたのかということを言われても仕方がないと思います。
そして、実際その状況を数字で少しごらんいただきますと、農業の従事者というのは、今申し上げました三十年ぐらい前というのはこの三つの棒グラフの真ん中なんですけれども、つまり、三十年前は、大体、この真ん中、平均というと、専業の方ですけれども、五十代ぐらいの農業者だったと思います。そのころ、後継ぎがいないと言われていたんですね。でも、五十代のお父ちゃん、お母ちゃんですから、まだ、わしらが頑張れば何とかなるといって、それほどの危機感に至っていなかった。
ところが、一番右側のグラフに至りますと、これはつい三年ほど前の数字ですけれども、平均年齢六十六歳、七十代以上の方が半分近くという農業になってしまっております。ここへ来て、やはりこれだけ置き去りにされてしまった農業が本当に追い詰められているという状況が見てとれるかと思います。
そこで、林大臣にお伺いいたしますが、これまで、過去三十年間の農政のどこに問題があってこのような状況を招いてしまっているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○林国務大臣 お答えいたします。
ちょうどそのパネルの一九六〇年の次の年に私も生まれて、ちょうど委員とは十歳違いということでございますが、そこからずっと振り返ってみますと、午前中、実は西川委員からも同じような御質問があってお答えをしたんですが、やはり今おっしゃられたように、高齢化、それから農業従事者全体の数も減少している。それから、これと相関があると思いますけれども、耕作放棄地の増加等が進展しているということは数字で明らかにあらわれているということでございます。
その要因として幾つか挙げられると思いますのは、一つは、食生活が大きく変わってきた。ちょうど、一番大きな米でいうと、大体一人当たりの消費量が半分になっているということでありますが、そういう需要が減ってきた作物について、ほかの作物への生産転換というのが円滑に進めていられなかったということ、それから、土地利用型農業の経営規模の拡大に必要な担い手への農地集積がはかばかしくなかったこと、そして、農産物の価格が低迷をする中で、今申し上げましたようなことも含めて、経営規模を拡大していくとか、それから高付加価値化ということがなかなか進まずに農家の所得が向上しなかったこと、こういうことが要因として挙げられるのではないかというふうに認識しております。
○重徳委員 いろいろとさまざま課題は指摘されるんですが、常にこの農政は、問題の先送りというか、なかなか効果的な、有効な手だてを打てずにここまで来た。ただ、常に役所は、例えば農林水産省は、魅力のある農業をつくらなきゃいけない、生産性の高い農家を育成しなきゃいけない、若い人たちが参入したくなるような農業をつくらなきゃいけないとずっと言ってきています。でも、どこかでやはり政治、行政、他人事だと思うんですね。なぜならば、農林水産省の役人の方で、いや、もう、いい農業をつくって、自分は役所をやめて農業に従事するんだという方がどのぐらいいたでしょうか、今まで。正直言えば、そのぐらいの熱い思いで政治も行政もやっていかなくちゃならない、そういう当事者、本人の立場でこういう産業政策をつくっていかなければいけないと私は常々思っております。
そして、もう一つ、農業の話に、今、TPPの大きな課題ですけれども、過去にも林業の問題がございました。私の地元の岡崎には額田の山というのがありまして、森林組合の方々と話をしていると、TPPなんというのはもう今さらの話だ、林業は昭和三十九年から事実上輸入木材が解禁されて、もう本当にとんでもないことになっていると。どうも当時は、いろいろな建物、家をつくるというようなことで、建設木材が、国内も需要があって、値段も高かった。ただ、数が足りなかったので、外国からも輸入しなければ需要を満たすことができないというような事情もあったようです。
結果として、そのときはよかったのかもしれないけれども、その後、数十年を経て、さっきと同じことです、数十年スパンで見ると、どんどん廃れていく一方で、どうすればいいのかわからない。額田の森は泣いています。そういう状況であると思いますが、この点についても、また林大臣からお願いします。
○林国務大臣 お話がありましたように、林業においては、若干、先ほどの農業とか米とかと違ったところがございまして、これは私も生まれる前でございますが、まず、戦後の経済復興に伴って、昭和三十年代に入ったところで大分木材の需要がふえてくるわけですね。実は、そういう時代には国産材だけでは需要を賄い切れなかったということがありまして、こういうものに対応するという必要があって、それから林業への伐採圧力と。
今から思えば、こういうことがあればいいなと思うような言葉でございますが、どんどん切って出してこい、こういうことがあったものですから、こういう背景の中で自由化が段階的に進んでいって、ちょうどオリンピックの年でありますが、三十九年に完全に自由化になったということでございます。その後は、御案内のように、四十年代からの貿易交渉を累次やって、関税がだんだんと漸次引き下げられてきたということでございます。
一方、この需給がどうなってきたかというと、戦後からずっと、なるべく切らずに植えようということをやってきて、ここへ来て、もうかなりのストックができてきたということでございまして、いろいろと需要面の工夫をすることによって、国産の比率が一八%まで一回低下したのが、今、少し下げどまって二〇台半ばまでは上がってきているということでございまして、需要サイドとそれから供給サイドにいろいろな政策を打つことによってこれをさらに引き上げていかなければならない、こういうふうに思っております。
○重徳委員 御説明ありがとうございます。
やはり、いっときの判断で行ったことがその後本当に尾を引くということが、外交通商交渉においては本当にあるかと思います。
きょうも何人かの委員の皆さん方の審議を通じまして、話をTPPに戻しますけれども、農業の聖域を求めて共同声明の文書をとった、そのどさくさなのか、自動車に関する関税については、米国の関税、トラックが二五%、乗用車が二・五%、そういう数字を維持されてしまう。
これはもう既に一本とられてしまったのではないかというような疑念を持たざるを得ない状況も生まれてしまってきているわけでありまして、だから日本の外交を本当にしっかりやらないと、日本の社会のグランドデザインに本当に大きな影響を与えてしまう、悪い影響を与えてしまいかねない。こういうことを守っているのがひとえに日本の外交ですので、冒頭申し上げましたように、何とかお願いしたいところだと思っております。
ついては、今回のTPPの交渉を踏まえて、これは安倍総理にお答え願いたいんですが、日本の社会、一体どういう社会像を目指しているのか、そういうことについてちょっとお話しいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 大変大きな御質問をいただきましたが、日本の社会像としては、いわば日本という国が全ての人たちにとってチャンスに満ちあふれた社会にしていきたい、このように思っております。
同時に、日本というのは、古来より、朝早く起きて汗を流して田畑を耕し、そして水を分かち合って御皇室とともに五穀豊穣を祈ってきた瑞穂の国であります。その中でお互いに助け合ってきた。一人病気の人が出れば、その人のところにみんなお米を持ち寄って助け合った。こういういわば村の麗しい姿から国民皆保険制度というものができ上がってきた、その下地は既に日本にはあったんだろう、私はこのように思います。
ですから、その中におきまして、強欲を原動力とする市場主義経済ではなくて、道義を重んじ、そして真の豊かさは何かということを知る市場主義経済、瑞穂の国にふさわしい市場主義経済というものを形づくっていきたい、こう考えているところでございます。
○重徳委員 しかしながら、日本の国内事情、社会というのは、本当に厳しい状況に今置かれていると思います。
特に今、やはりTPPに日本が着目せざるを得ないのは、国内市場が今後縮小していくということが前提ですね。海外が成長しているので、その成長、富を取り込んでいく必要がある、こういう認識に立たれていると思うんですけれども、逆に国内市場も、日本国内のあり方も、これからもう一度大きな改革をしていかなければいけない、私はこう思います。
ついては、まず一つは、やはり日本は産業を一つ興すに当たっても、いろいろな面でコスト高だと言われています。そういう中で、きょうは一つ具体的に、世界一高いと言われる高速道路料金について少し議論をしてみたいと思います。
三年半前の民主党政権に交代したときは、コンクリートから人へというキャッチフレーズがありました。ただ、今回、再交代したからといって、それは人からコンクリートへというふうに世論が戻ったとは私は思っておりません。やはり、公共事業でこれまでつくることばかり考えておりましたけれども、ここは頭を切りかえて、せっかくつくったいろいろなインフラをもっともっと多くの方々に使っていただく、つくるから使うへと発想を変える必要があると思うんです。
その場合に、実は、麻生政権のころに土日祝日の上限千円料金というものが実現しまして、それから二年ほどでそれは終了してしまいましたけれども、いまだにETCを活用した高速道路の時間帯割引というものがあるということなんですけれども、これは二十五年度いっぱいが期限と聞いております。これの今後の方向性につきまして、国土交通大臣に御答弁願います。
○太田国務大臣 高速道路料金ということについては、新しい時代のETCを今九割ぐらいの車で使っているということもありまして、渋滞というものもある、そして料金所ということが渋滞を起こす、さまざまなことが今言われている。
そうした中で、麻生政権時代の土日千円というお話ではないんですけれども、まさに、交通渋滞をなくして、そして高速料金というものをこれからどういうふうに考えていったらいいのかという検討会を実はずっとしておりまして、二十三年の十二月でありますけれども、有識者委員会の中での中間取りまとめというのがございまして、ここでは、負担の公平性やほかの交通機関との関係を踏まえまして、対距離制ということで、これを基本にしていくべきだというのが出ています。
現在、さらにこれを詰めて、メンテナンスとかいろいろなこともありまして、総合的に高速道路をどういうふうにすればいいかということなんですが、そこで、あわせて料金体系をどうするかということを、寺島さんを中心にした委員会で、恐らく来月ぐらいにはほぼまとまるのではないかと思いますが、料金体系も含めて、今鋭意検討中でございます。
○重徳委員 今も時間帯割引はずっと続いているんですけれども、千円高速が終わった後も続いているんですが、ほとんどの方は、いつどこを走れば幾ら割り引きになるのか、わからないんですよね。しかも期間限定で、実は二十五年度いっぱいで一旦終わります。その後は何か続くんでしょうけれども。そのように、先々の予見可能性が非常に低いような制度というのは、これから先、では、高速道路沿線に投資をしてみようかとか、何かショッピングモールをつくってみようかとか、そういう新しい産業を誘発するのもなかなか難しいと思います、場当たり的に二年、三年で終わってしまうような制度では。
ですから、私から、これは一つ、今試算をいろいろしているところなんですが、恒久的に、二十四時間、三百六十五日、距離にかかわらず定額料金で、これは五百円から千円ぐらいでできるんじゃないかという一つの試算がございます。そして、入り口のみで料金を支払って、出口はすっとおりるだけ、名古屋高速なんかはそんな仕組みなんですけれども。そうすると、ぐるぐる、ループのようなスペースも必要ないわけですから、簡単なインターチェンジであればたくさんつくれるようになるというようなことで、かなりこれは、せっかくつくった高速道路網なんですから、もっともっとこれを活用していくための方策というのは、距離が長くなればそれだけたくさんお金を払わなきゃいけないんじゃ、遠出をするのに高速道路じゃない選択をして、せっかくつくった道路を使わないという選択をする方も大勢いると思います。
こういう高速道路料金の仕組みというのは、国によっていろいろあります。スイスなんかでも年間四千円で乗り放題という仕組みがあったり、もちろん、フリーウエーでただになっているところもありますが、日本の場合も、これは、平成六十二年、二〇五〇年以降はただになる、そういうプランだそうですけれども、いつかただになるから今たくさんお金を払うということでなく、その支払い期限もずっと、ほとんど無期限にして延ばしていくとか、いろいろな考え方があると思うので、せっかくつくったインフラをより有効に活用し、外国の資本が来たとしても、非常に日本は交通体系がいいじゃないか、そう評価してもらえるような国づくりということも具体的に検討していきたいなというふうに思っておりまして、ぜひとも、国交省と一緒に、太田大臣と一緒に検討させていただきたいというふうに思っております。
そしてもう一つ、今後の国内市場に関して言うと、何といっても、国内市場がなぜ小さくなるかというと、子供の数が減っているからです。これについて、私も、少子化、少子化という寂しい言葉を、子供をふやす、増子化という言葉に変えてやったらどうかということを森大臣に先回もお伺いいたしましたが、何しろ、少子化の原因というのは非常に多岐にわたっていると思います。
いろいろな課題というか要因、原因があると思いますが、森大臣に、そのあたり、どのような御認識かお尋ねいたします。
○森国務大臣 少子化の要因ですね。
結婚、妊娠、出産、育児、それぞれのステージで、国民の希望が満たされずに、未婚化や晩婚化と、夫婦が持つ子供の数が減少している。実は、国民の皆様、未婚の方で結婚したいと希望している方が九割いらっしゃって、結婚してから持ちたい子供の数が二人以上になっているにもかかわらず、未婚率が非常に高く、夫婦の出生率は二人を切りそうな勢いになっております。さまざまな要因が総合的に考えられております。
○重徳委員 森大臣、実は、その前提として、やはり若い人たちが、雇用が安定しない、経済的に所得が不十分だ、このあたりが、根本的には、本質的には非常に問題だと言う方が多いです。ですから、本当に、ちょっとした手当を配るとかその程度のことではなくて、自分の仕事が、二十そこそこでついた仕事が、五年、十年たったら首になっちゃうかもしれない、会社が潰れちゃうかもしれない、こんな状況ではだめなんですよね。
ですから、私が考えるのは、先ほどの農業の問題と同じです、今、手を打たなければ、これから二十年、三十年先に物すごい影響が出てしまう。この問題は総合的な対策が必要でして、これは、大変恐縮な言い方ですけれども、一少子化担当大臣では担い切れないテーマだと思っております。これは本当に総理、あるいは、そうでなくても麻生副総理に、もう全般、各省庁全部を束ねて総合的な対策を打つ。
今も経済対策、三本の矢でやっていただいておりますけれども、これとて、やはり子供たちの数をふやすというところに本当に重点を置かないと、今たくさん借金もしていますけれども、それを返すのは、どんどん減っていく子供たちに返してもらう、こういう悲劇の構図がこれ以上続いてしまってはいけないと私は強く思っております。
そういうことで、きょうは、長期的な展望を持って、これからのTPPを初めとしたさまざまな改革を進めるべきだということを申し上げてまいりましたけれども、最後に、安倍政権の政治姿勢について一つお伺いしたいと思います。
私、生まれたころが高度成長ぐらいだったと思いますけれども、当時、経済が一流、でも政治は三流というふうに言われていました。経済は、世界に冠たる日本企業が本当にすばらしいんです。ですが、逆に言えば、だからこそ政治は、その利益を各地元に配分する、分配するということをもって自民党政治というものが長らく続いてきた。これが基本的な自民党政治の構図だったと思います。
そして、これから先を展望するに当たりまして、今申し上げましたさまざまな日本の国力を低下させてしまう要因があります。そして、企業も今は、今はというか本当にここ一、二カ月の話ですけれども、ちょっと株が上がったとか、賃金もふえていくのかもしれないという状況ですけれども、これとて、やはり日本の企業が頑張っている、そういう土台があるからこそなし遂げている話でありまして、私は、本当の政治の仕事というのは、この間から申し上げております、三本目の矢をちゃんとやることだと思うんですね。
これがどうも、農政改革一つとっても、あるいは少子化への対応も、やはり根本的な改革をしていくんだという姿勢がまだまだ不十分だと思います。これまでも、原発の政策をどうするんだということについても、十年以内にエネルギーのベストミックスを考えるという、やや緩慢な時の流れの中でやる。あるいは、地方分権改革をどうするんだ。この間、本会議で東国原議員が質問しましたけれども、あれに対しても、交付税制度、まず今のままでいいんじゃないかぐらいの気概しか感じられないような、そういう答弁でした。ですから、今、政治が思い切った改革を長期的な視点で今すぐやらなければとても間に合わないという事例をきょうは御紹介したつもりです。
ですから、決して先送りをしない、そして、何か野党から問われれば、特に民主党さんから問われれば、いや民主党時代はどうだったんですか、そういう答弁ではいけないと私は思うんです。やはり、今こそこの改革を必ずなし遂げるというテーマを、株が上がったとか、それは確かに結果です。だけれども、その前提として、今の政権は何をやるのか、何をやってきたのか、こういうことについて、力強く国民に対して、小泉総理が身内を敵に回してまで、あるいは橋下大阪市長があらゆる政党を敵に回してまで選挙で戦い抜いた、こういう強い姿勢を持って、これからの大胆な改革に臨んでいただきたい。
これを私は強く申し上げたいんですが、最後に、安倍総理から一言、御決意を述べていただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 まず、第一本目の矢として、次元の違う大胆な金融政策を進めることといたしました。それは、今まで、例えば、総理と日銀の総裁、中央銀行の総裁が同じ考え方を持って同じ方向に向かって金融政策を進めていくということは、これはなかったですね。しかし、今回は、まさにそれをやったわけであります。その結果として、為替あるいは株価にいい変化が出てきたところだろうと思っております。
同時に、国内の需要を大きく喚起して、そしてデフレ脱却に向けて、いわば温かい風が隅々まで、短期間に広がっていくように、大胆な財政政策として大型の補正予算を通していただいたわけでございます。
そして、いよいよこれからが三本目の矢でございますが、その一つがTPPでもございます。同時に、今委員が言及されたエネルギー政策についてもそうでございますし、医療についてもそうでしょう。そうした分野において、しっかりと私たちは、改革を進めていくことによって、成長に向けて進んでいける、いわば、私たちは成長できるんだという自信を持てる、そういう時代をつくっていきたい、このように考えております。
○重徳委員 断固たる決意と覚悟で日本の改革を進めていただきたいと思います。まだまだ感じませんよ、正直言いまして。もっともっと強く改革を進めていただきたい。さもなくば、日本維新の会が、刺し違える覚悟で日本の改革を進めてまいります。
どうもありがとうございました。