しげとく和彦の国会論戦の会議録
平成25年2月13日 予算委員会
―地方の声、臨場感を、もっと国政に!!―
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○重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。
締めくくり質疑に立たせていただきます。
今回の補正予算で何度も議論になりましたが、地方自治体が今回のこのタイミングで予算を組まされるということによりまして、莫大な金額が繰り越しにならざるを得ないんじゃないか、こういう問題があります。これにつきまして、少しさかのぼって、実は、今回始まった問題ではありません。
ここ数年間、全国の地方自治体が年度内に予算を消化できずに繰り越した総額、これが去年の四月十一日の日経新聞夕刊にちょうど記事になっているんですが、総務省の決算統計によりますと、二〇〇八年度、九年度、そして二〇一〇年度、この三年間で繰越総額が十三兆四千八百億円に上る、一年の平均で四兆五千億円で、この金額は自治体の予算の五%に相当するという数字が出ております。
この新聞には、「国が景気対策を打ち出しても地方は予算を使い切れておらず、機動的な政策のタイミングを逃しかねないのが実情だ。」というふうに記されております。
特に、二〇一〇年度の繰越額が最多だった兵庫県は、国の経済対策を受けまして、「道路工事や河川改修などの補正予算を組んだ。ただ「設計協議や用地買収が遅れた」(財政課)ことを理由に事業の多くを一一年度に繰り越した。」とあります。
こういう設計協議や用地買収、おくれるに決まっているんですね、年度末のこういう時期に。まあ、過去、この三年間は、主に衆参のねじれによりまして予算が通る時期が遅かった、それが原因なんですけれども、今回の場合は、事情は違いますが、理由は違いますが、結果的に、タイミング的に、この時期に地方が予算を組まなきゃいけない、こういう状況になっております。
山田委員からも指摘をしましたように、このように多くの事業が繰り越されると予想されまして、まあ、本来、本当の本当は、こういう予算は、今年度じゃなくて、最初から来年度の予算として組めばいい話なんですが、その点は、各自治体も現にお金がないので、文句を言うところまでは至らないんですけれども、実際には、いろいろな自治体に話を聞きますと、いわば根深い不信感、国に対する不信感のようなものが流れていると考えております。
特に、バブルが崩壊した一九九〇年代の多額の景気対策、物すごい勢いでやりました。自治体がみずから起債をして、交付税措置で相当、九割方返ってくると言われていた地総債、地域総合整備事業債、これをさんざん発行させられて、国からの要請という形なんですけれども、そういう現場も私も見聞きをしてまいりました。
しかしながら、九〇年代というのはまだ地方分権が進んでおりませんでした。地方分権一括法は二〇〇〇年に施行されましたので、その前の九〇年代は、いわば国と地方がまだ主従関係にあった。ところが、今は時代が違います。国と地方はあくまで対等な関係です。
そういう中で、国が地方に協力を求め、一緒になって景気対策を行っていこうということであれば、それはそれ相応の配慮をきちんとしていかなければ、自治体が繰り越しをするときに、最初から予算を国が組めと言いながら、もし繰り越すんだったらその理由を説明に来い、こういう上から目線の時代はもはや終わっているんです。
したがいまして、私はちょっと確認をしたのですが、自治体は、各部局から、通常は、繰り越しに当たりまして国との手続が必要になります。財務省の出先機関であります各地方財務局に対しましてさまざまな資料の提出を求められ、箇所別の調書をとられ、さらに自治体の職員が、ADAMSという、これは何の略称かわかりませんが、官庁会計事務データ通信システム、そういうものに入力作業もさせられるということなんです。こういうこと。そして、今のは財務局の話ですが、当然ながら、国庫補助金を活用するわけですから、財務省だけではなく各省との協議なども必要となるということでございます。
国がこんな時期に補正予算をつくるんですから、こうした国との間の手続を思いっ切り簡素化しなければ、自治体の事務負担がかさむばかりでございます。これに対しまして、どのように対応していただけるのでしょうか。財務大臣にお伺いします。
○麻生国務大臣 さすがに総務省は大したものです。今言われたことはまことに正しいと思います。国会議員として褒めているんじゃない、もとの経験からいって、大したものですよ、これは。ここが一番大事なところですから。
繰り越しに係る事務手続につきましては、各省庁からいわゆる財務省に提出する書類というのがございます。それは、平成二十二年の一月から、いわゆる金額、箇所、繰越事由の記号の選択など、最小限の事項だけ記載した申請書類のみでいいです、あとは要りませんと。それから、申請事務の物すごく負担となっておりました、繰越対象になりますものの図面、それから工事箇所、また契約書等々いろいろあったはずですが、そういったもの、また、財務省による個別のヒアリング等々は大幅に簡素化ということにいたしております。
これは、今、退官された後そういうことになってきておりますから、お調べになっていただいても間違いございません。
ただ、地方自治体が各省庁の地方の出先機関、例えば東海に地方建設局等々ございますが、そういったものに行う手続に関してはまだこの点が徹底されていないのではないかという御指摘は、多分、地方で県会議員をやっておられた方は皆知っているはずだと思うんです。
その点で御指摘がありますので、今回の補正予算の執行に当たりましては、間違いなく、簡易な書類への統一、それから図面などは求めないなどの事務手続の簡素化の趣旨を徹底させるべく、各省庁に対して要請することといたしておりまして、主計局の課長の方から各省庁の会計課長に対して、速やかに文書を出せ、そして周知徹底を各地方に対して図るようにということを既に言い渡してございます。
御指摘の点はまことに正しいと思いますので、その方向に沿って事を動かしてまいりたいと存じております。
○重徳委員 本当に役人は真面目過ぎるものですから、やれと言われたらやるし、やるなと言われればやらない、これはきっちりしていると思います。それが徹底されていないと、聞いていない話は決して動きませんので。ですから、国の役所側も自治体側も両方がそういう認識で一致していないと、これは、そこまでやらないと、どちら側かがたくさん仕事、作業をしなきゃいけないんじゃないかと思っている限り、この流れは続きます。ですから、いつまでたっても徹底されないということになると思っております。
今、麻生大臣からは、主計局から各省庁の会計課長さんに伝えて、しっかりとやっていくというお話がありました。この点につきまして、本日、私の方から要求大臣としてお願いしております各大臣にも重ねてお願いをしたいと思いまして、その点、御答弁をお願いしたいと思います。
○太田国務大臣 今、財務省、お話がありましたように、そのように力を注いでまいりたいと思います。
○茂木国務大臣 財務省が要らないと言っている書類をわざわざ経産省がとることはありません。そして、個別のヒアリングも既に全廃をいたしております。
○新藤国務大臣 国と自治体の間の繰り越しの手続については、過日、山田委員の方からも御指摘をいただいて、私も研究させていただきたいということでお答えいたしました。
我が省としても、財務省との調整をし、全省的な調整をさせていただいた結果がきょうの御答弁だと御理解いただけばいいと思いますが、しっかり取り組みたいと思います。
○田村国務大臣 厚生労働省といたしましても、今回、この繰り越し手続に関しまして、財務大臣がああやっておっしゃられておられますので、私の方からもしっかりと指示をいたしてまいります。
○重徳委員 日本維新の会は、今回の予算委員会、首長ファイブを初めとして、地方の現場の臨場感というものをそのままこの国政に持ち込んで、地方から国を変えていくということを体現する、そういう政党でございます。ですから、野党だからといって反対ばかりするとか、非建設的な議論に終始するとか、そういうことにはいたしません。本当に現場に即した、しっかりとした政策が進むように、全力を挙げていきたいと思っております。
その意味で、今回、今の手続簡素化につきまして、全省庁を挙げ、また自治体に対しても徹底をしていただけると、これだけ各大臣の皆様方から誠実な御答弁をいただけましたことを高く評価させていただきたいと思っております。(発言する者あり)
本当の本当はそうなんです。先ほど、本来は補正で組むよりは当初予算でやるべきだというのは申し上げたとおりですが、せめて、そういう声がありますので、そして、何よりも、地方は思っているほど従順ではありません。常に何か思っていることがあります。国に対しても言いたいことはたくさんあるんです、文句をですね。しかしながら、金と権限を握っている国に対しては物が言えない、こういう状況が非常にジレンマでありまして、そういう声も率直にこれから日本維新の会としてお伝えをしていきたいと思います。
この件につきまして、最後に、総理から一言コメントをいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 我々、地方分権についてはしっかりと進めていきたいと思いますが、今の繰り越しの手続については、財務大臣が全てお答えをしておりますが、このことについて地方自治体に御迷惑のかからないように全力を尽くしていきたいと思います。
○重徳委員 わかりました。
国と地方との信頼関係をこれからさらに高めて、私どもが申し上げております、地方交付税、税源移譲、道州制とか、さまざまな改革にさらに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地域の元気臨時交付金につきまして議論してみたいと思います。
中田委員が先日、そして、本日も馬場委員から議論を申し上げました。前回、先週の中田委員からの質問に対しまして、つまり、なぜこの地域の元気臨時交付金はハードだけが対象であってソフトを対象としないのか、その議論なんですが、これに対しまして、太田大臣からは、補正予算というのは、狙いを定めて緊急にやるということで、デフレ脱却、老朽化対策、防災、減災に絞ってやるんだという御答弁がございました。また、新藤大臣からは、ソフト事業は補正予算債とか地方交付税で地財措置されている、こういう御答弁がありました。
しかしながら、これらの御答弁につきましてはいささか疑問がございます。狙いを定めるというふうにおっしゃいますが、そもそも税収がない中で事業を追加するには、これはもう財政法で認められている建設国債を発行するしかないわけですから、構造的に、絞るも何も、狙いを定めるも何も、建設業しか、公共事業しか今の仕組み上やりようがないという面がありまして、逆に、建設国債なら幾らでも発行できるんだという意識であれば、これは、財政秩序を度外視して景気対策を実施しまくった九〇年代の国の施策と何も変わらない、先祖返りじゃないかという批判を免れないと思います。
また、新藤大臣は、地財措置、交付税措置されているというふうにおっしゃいましたが、これも詭弁の域を出ないというふうに考えております。
確かに、今回の補正の中でも、二十四年度の普通交付税の調整減額分の追加交付七百七億円なんというのがありますが、これは、もともと今年度もらえるはずだった交付税を、調整率を掛けて引き下げていた分を少し戻したという、税収が、国税五税が戻ったものですから、その分交付税が戻るというだけの話でありまして、特別それをソフト事業の追加的なニーズに使えるわけでも何でもありません。
それに、そもそも交付税という仕組み、この予算委員会でもさんざん議論がありました。交付税は、税金というお金でなくて、もう借金で、借金まみれの交付税になっているわけですから、交付税特会ですとかあるいは臨財債という形でもう既に借金体質になっているわけですから、今さら交付税措置と言われても、自治体が喜んで使う財源ではないという状況がある。
さらに、まして来年度当初の交付税につきましては、七月から給与カットを求められている。国が交付税を削減するため、地方は給与カットをしなきゃいけないということを求められ、そして、その浮いた財源でいろいろな地域活性化策に予算を充てられるように地財措置がされていると言われても、これは、各自治体の現場に行けば、給与をカットするということは職員組合と交渉をしなくちゃいけないわけで、要は、社長が放漫経営をしておきながら社員の給料はカットだなんという、こういう、私も別に公務員を擁護したいわけではありませんが、やはりこのあたりは、職員組合との交渉という場で、一体どういう事情でこういうことになったのか、国に要請されたからですという、これだけではとても通用する問題ではありません。
過去に、十年以上、さまざまな給与抑制、人件費抑制を各団体、まあ、やっている団体とそうでない団体がありますが、ばらつきはありますが、しかしながら、やっているところは相当やっている、そういう現実もございます。
いずれにしても、今申し上げましたとおり、既に地財措置されているというような説明も、なかなかこれは地方に対しては通用しない状況であるということは御認識いただきたいと思います。
その意味で、前回の中田委員から指摘したことに対して、太田大臣、新藤大臣、随分粗っぽい御答弁だったと思いますが、今の段階でどのような御認識でしょうか。
○太田国務大臣 ソフト事業というよりも、調査、点検ということに使えないのかというお話に対して私が申し上げたことは、防災・安全交付金というのがあって、それは公共事業ですから、その裏負担として元気臨時交付金が使えます、こういうことを私は申し上げたわけです。
同時にまた、これは公共事業ということについて使えるお金でありますから、今の調査、点検ということも公共事業ということの中でのものと考えて、元気臨時交付金が使えるということの構成になっております。
○新藤国務大臣 午前中も他の委員に御答弁させていただきましたが、私も、ソフト事業を落としてはならない、このようには思っているんです。ですから、ハード、ソフト、今回、この時期に補正を組むに当たって、どのように措置をするかという検討をしたところ、ソフトについては現行の地方財政措置で対応できる範囲であるということで我々はこのような判断をし、また今回の、そもそもが、これは建設公債の発行対象経費の裏負担をするということでありますから、元気臨時交付金というものを出したということであります。
それから、先ほど、地元の公務員の皆さんに首長が何と説明するのか、こういうことでありますが、これはぜひ大義を共有していただきたい。日本を再生させるために、まず国会議員が身を削りましょう、そして、国家公務員はみずからの給料を削減した分を復興に充てるんだ、そして、地方公務員はそれに一緒になって協力してくれ、その分は自分たちの町の元気づくりとそれから防災づくりに充てようではないかということであります。
私は、地方自治体の組合の方々がどう反応されるか、これはぜひ公務員として、全体の奉仕者としての志を持って受けとめていただきたい、このように思います。
あわせて、地域の住民の皆さんは必ず御理解いただけるものだと思います。これは、国、地方を挙げて、まずはみんなで頑張って、身を削ってでもこの国を持ち直していこう、地域を立て直していこう、こういう中で、今期ぜひお願いしたいと要請をしているところでありますから、私は、その思いが必ず伝わっていくと思いますし、これは丁寧に、誠意を持って説明していきたい、このように思っております。
○重徳委員 身を削る姿勢、それは国であろうと地方だろうと、政治家だろうと公務員だろうと、当然求められることだと思います。ただ、恐らく地方自治体の皆さんは、それを国から言われたくないということの一点に尽きるんだと思いますので、各自治体における努力は当然必要なことだ、それは各住民の求めは当然にあると思っております。
それから、新藤大臣、今、ソフト事業について必要だという御認識を持っていただいているということで、それは大変ありがたいことなんですけれども、地財措置で見れる範囲だというこのあたりも、総務省の役人も、そういうことになっているという説明になるだけで、非常に苦しい答弁なんですよね、正直言いまして。
ですから、ぜひとも、補正、今回は建設国債をもって、国の表の補助金あるいは裏財源、交付金にしても、どっちも建設国債が財源ということですから、ハード事業にしか充てられない、ここまでは百歩譲って理解したとして、今度、当初予算におきましては、交付税で措置されていることになっているという説明で終わるのか、いや、そうでなく、本当の意味で各自治体が経済対策ということであれば、ソフト事業に使える新たな交付金、これは麻生大臣が総理だったときの、非常に使い勝手がいい、評判のいい交付金だったんですが、こういうことについて新たに創設するお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 まさに十五カ月予算という中で、またここは役割分担をさせたいと思っています。
ですから、二十五年度におきましては、今度は地域の元気づくり事業費ということで、これは三千億円を、もちろん公務員の皆さんの御協力をいただくのでありますが、しかし、これはこれで別途一つ立てさせていただいて、ハード、ソフト、いかようにも地域の皆さんが使いやすいように使っていただきたい、こういうことで考えているということでございます。
○重徳委員 今の段階ではこのような御答弁、来年度当初予算の話ですから、また別の機会に議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、これは、きのう、小泉進次郎議員が指摘した点でございますが、高齢者医療の負担軽減措置について議論させていただきたいと思います。
およそ二千億円、厳密に言いますと千八百九十八億円が今回の補正予算で盛り込まれております。これによりまして、七十歳から七十四歳の方の窓口負担を、二割であるところを一割にさらに抑えるということですが、きのう議論もありましたように、これは決して、今一割負担を払っている皆さんが二割に上がるということではなくて、そういう意味では、今六十九歳の方が次に七十歳になるときに、三割から二割になるか、あるいは三割から一割まで下げるのか、こういう議論ですから、個人個人について見れば、決して新たな負担を求めるものではないということでございます。
これについて、必ず二割に戻すと、きのう、大臣はおっしゃいましたけれども、これはいつ戻すのかというところが重要だと思います。問題の先送りだという指摘をされているわけですから、これについては、いつかねという話ではなく、来年度当初予算において二割に戻すお考えがあるのかどうか。
○田村国務大臣 昨日、小泉委員からも御質問があった点であります。七十歳から七十四歳の方々の窓口負担ですね。
今委員がおっしゃられましたとおり、決して、これを二割にするという、これは本則でありますけれども、これに戻すのが負担がふえるわけではない、今の議論はそういう議論です。
つまり、七十歳になる、順次その方から三割から二割に下がる、一割に下がるか二割に下がるか、こういう問題であるということは周知徹底をしていかなきゃならぬと思います。
今のお話のとおり、社会保障審議会でも、それから与党の中にも、このような二割、本則に戻すべきだという議論、これは世代間の公平性、こういう議論であります。
一方で、なかなかしっかりと情報を徹底できないじゃないか。それから一方で、そうはいっても、今一割と言っているのが、一割になるという期待を持ちながら二割になるということは、事実上は、下がるとはいいながらも、思っていたところの負担がふえる、そういう誤解を招く等々の、そういうような高齢者に対するいろいろな影響もあるじゃないかということでありましたが、結果的に、補正予算、時間がないので、緊急的、短期間にこれを決定するということで、当面一割のまま据え置いて予算に計上したということであります。
一方で、低所得者に対する対策、これもしっかりやるべきだというような御意見もございます。そういうものを踏まえながら、本来は二割でありますから、本来に戻すのが当たり前でございまして、それを早急にこれから議論させていただいた上で進めさせていただくという話になってまいります。
○重徳委員 これは今度の夏の参議院選挙前はなかなか手をつけられない、苦い薬は全部選挙が終わった後という、もしそういうお考えが少しでもあるんだとすれば、それはもはや、そういった選挙のあり方、政治のあり方に国民の皆さんは辟易されていると思います。
こういうことが続くのであれば、自民党は先祖返りをしたと言われても仕方がないことでありまして、やはり未来志向で考えれば、きのう小泉議員が言われたとおり、ほかに、もっともっと少ない負担で、子育て支援だとかあるいは若者の就労支援といったところにお金を回すことができる。そういったフェアな議論をしたって、全然、皆さん聞いていただけると思いますよ。
次世代に引き継げる、そして、そのためにはきちんと負担を現世代では分かち合う、次世代に決して負担を先送りしない、こういう議論ができる土壌を我が国につくっていかなきゃいけない、これが政治の今本当に責任だと思っております。そういったことをぜひとも、これから、政府、そして、私どもは野党でございますけれども、与野党を超えて議論できるようにしていきたいと思っております。
次に、少子化対策について議論してみたいと思います。
私は、現下の日本の構造的課題、最大の課題は少子化だと思っております。今手だてを講じなければ大変なことになると思っております。
きょうの午前中、日本維新の会の村岡委員からも、農業の問題について指摘がありました。農業の後継者の問題、後継者がなかなかいないなんという話は、三十年前、私が小学校のときの社会の教科書にも書いてありました。商店街にも後継者がいないという話、これも小学校のときから書いてありました。恐らく、そのときはまだ、四十代、五十代ぐらいのお父ちゃん、お母ちゃんがまだまだ元気にやれる、そういう時期だったのかもしれません。それから、しかし政治が無策だったと思います、三十年漫然とたってしまった。補助金漬けにして、競争力も身につけることなく今に至り、そして農業は耕作放棄地をたくさん生み出し、商店街はシャッター通りに化してしまいました。これは本当に政治の不作為だと思います。
そして、今直面というか、恐らく、先ほど人口のグラフもございました、前原委員の恐ろしいグラフがありました。これから三十年後、五十年後、人口、その中に占める高齢者の率、恐ろしい状況になることは目に見えているわけでありまして、それに対しまして、今また無策のままそういう時代に突入してしまうというのは、もう本当に、私ども、大人の責任を果たしたことにならないと思います。
先ほどからの財源論、国債の問題にしても、これは恐らく、高度成長期、田中角栄さんが「日本列島改造論」という本を書きまして、これからの日本の姿というものを描きました。そのときの財源は、多少将来に先送りでもいいでしょう、建設国債はもっと使わなきゃいけない、計画的に運用しようという話があったと思いますが、これからは、公共事業のためにじゃんじゃか借金を使うというよりは、私、この間の質問のときにも申し上げましたけれども、建設業者のためにもならないと思うんです。これは先行きの見えない公共事業ですから、いつかとまってしまう公共事業ですから。
ですから、もっともっと先の見える、子育てとか教育とか、安倍総理も、やはり日本は人材だということを教育論の中でもお述べになっていらっしゃいます。ぜひとも、そういった財政、財源というものをもっともっと人材育成、教育、子育てに充てなければならないと思いますし、根本的には、やはり景気、雇用、そして教育費がかさむとか、いろいろな問題が今の少子化の問題の解決を妨げていると思います。
その意味で、少子化というのは私は諦めの言葉だと思います。少子化、少子化なんて、何か寂れていく国をあらわしているような非常に寂しい言葉です。子供をふやすというのが政治の意思なのであれば、増子化という言葉をつくってでも、増子化の担当大臣をされていただきたいというふうに思っております。これを少子化担当大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○森国務大臣 増子化というネーミングが適切であるかはさておき、人口減少社会の危機意識は重徳委員と共有していると思っております。
かく言う私も、小学生と中学生を抱えながら、子育て現役で、国会に迷惑はかからないだろうか、内閣に迷惑はかからないだろうか、小さくなりながら仕事をしてきた。
子供を抱えながら毎日崖っ縁を走っているような生活をしている子育てママの代表として言わせていただければ、少子化問題というものが経済成長に深刻な影響を与えるとか社会保障に深刻だとかいうことでクローズアップされてきたこと自体、苦々しく感じておりました。もっと子供の、つまり、有権者ではない、声なき国民としての子供を主役に置いた政策を打ち出してこなかった、委員がおっしゃいました政治の不作為、政治のサボりだと思います。
そういう意味で、ネーミングの問題がございましたけれども、私、少子化担当大臣でもございますが、そのような私の声なき怒りを察知したのか、安倍総理が私の肩書として、子育て担当大臣という新しい肩書をつけてくださっております。
私は、子育ての問題をむしろ積極的に、子育ての楽しさ、すばらしさ、こういうものを共有していくような政策を打ち出してまいりたい。そして、もう子育てが終わった方々が、もう終わったから、私たちの時代はもっと苦労したんだよなんということでもなく、また、これから子育て世代になる若い方々も一緒になって子育てのすばらしさを共有できるような施策を講じてまいりたいと思います。
○重徳委員 ありがとうございます。
子育て担当ということでもございますが、子育ては、子供を産む、その前は結婚する、そしてその後は、育てて、就職する、社会で活躍する、そういう一連の流れの本当に中核的な部分だと思いますので、ぜひとも力を注いでいただきたい、内閣を挙げて取り組んでいただきたい課題だと思っております。よろしくお願いいたします。
最後に残った時間で、成長戦略、三本の矢のうちの三本目の矢、黄金の矢についてちょっと議論をしていきたいと思っております。
先週の金曜日、これからの電力のシステムにつきまして、電力システム改革専門委員会、これがほぼ報告書の取りまとめの段階に至りました。
その中では、二〇一五年目途、つまり再来年には広域系統運用機関を設立する。すなわち、東京電力、中部電力の間の電力の融通をできる機関を設立する。それから、二〇一六年には小売の全面自由化。そして、二〇一八年から二〇年を目途に、料金規制の撤廃、送配電部門の法的分離、すなわち発送電分離を完成させ、送電網は電力会社が持つが、発電部門それから小売部門は新規事業者がどんどん参入できるような環境をつくる。これから七年間、五年から七年の間にそういう環境をつくり出すんだという大まかなスケジュールが示されたところでございます。
この中で、電力といえば、三・一一の大地震が起こって以来、原発からの電力供給が不十分になった段階から、毎年夏になりますと、夏場のピーク時をどうやって乗り切るんだと。計画停電にするのか、あるいはおととしの夏でいいますと、自動車会社は土日も操業するという形でピークをずらす、いろいろな努力がされてまいりましたが、今回の報告書の中では、デマンドレスポンスという新しい制度が提案されておりまして、これはピーク時の料金を上げることによって需要をコントロールするというような内容だというふうに伺っておりますが、このデマンドレスポンスの効用などにつきまして、茂木大臣からお願いします。
〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
○茂木国務大臣 大変重要な新しい政策について御指摘をいただきました。
これまでの我が国のエネルギー政策、需要はもう決まっている、そこの中で電力会社が発電量をどこまで積み上げられるか、こういう供給サイドの対応が中心でありました。こうした中、供給側の状況に応じて需要を変化させる、これがまさにデマンドレスポンスでありまして、この政策、これからのエネルギー政策上、極めて重要になってくる。
実は、昨年度から実証実験を行っております。豊田市、北九州を初め全国四カ所におきましてデマンドレスポンスの実証実験を行っておりますが、例えば北九州の例を御紹介いたしますと、北九州では、家庭に供給する電気料金、これを変動させるということで、通常時はキロワットアワー当たり十五円と非常に安い値段なんですけれども、御指摘のあったような夏のピーク時、このコントロールが大切でありますから、その時間帯には電気料金を最大百五十円まで上げる、こういった料金体系を導入したわけであります。結果的には、この料金体系に需要側、消費の側が応えていただきまして、電力消費量が二割も削減される、こういう大きな効果が上がっております。
こういったピークコントロールということを考えて、料金メニューの多様化、こういったことにも今後取り組んでいきたいと思っております。
〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
○重徳委員 ぜひともこの改革をどんどん進めていただきたいと思います。
エネルギーが多様化する、新規参入の事業者がふえてくることによりまして、エネルギー需要がいろいろとコントロールされるということと、それから電力を発電する事業者が、当然総量がふえてくるわけですから、これはこれからの原発政策とも関連してくる可能性があるのではないかと考えております。
日本維新の会は脱原発依存を掲げております。国全体のエネルギー政策を考えたときは、当面原発を活用せざるを得ないとしても、新しい需給体制を構築し、安全基準、安全確認体制、使用済み核燃料、責任の所在に関するルールを明確に定めることが大前提でありまして、そして、中長期的かつ段階的に原発依存からフェードアウトし、次第に脱原発を達成することが望ましい、これが維新の会の考え方でございます。
この電力の自由化ということによりまして、小規模発電事業者の参入がふえ、結果として原発依存度の低下も期待できると考えますが、いかがお考えでしょうか。
○茂木国務大臣 先ほど委員の方から御指摘のありました電力システムの改革、これはしっかりと進めていかなきゃならないと思っております。
ポイントは三つございまして、先ほど御紹介いただきましたように、電力自由化の推進、そして送配電部門の中立化、独立性を高める、そして広域系統運用の拡大ということでありまして、これにつきましては、専門委員会、先週の金曜日に取りまとめをいただきました。これを踏まえて、政府としての方針を決定いたしまして、改革は大胆に、実施は現実的に、こういった方向で所要の法案を国会に提出したいと考えております。
こういった電力システムの改革を進める、さらには再生可能エネルギー、これを最大限導入していく。そして、消費の側においては、先ほどありましたデマンドレスポンス、まさにスマートなエネルギーマネジメント、こういうものを進める。こういった中によりまして、原発依存度、可能な限り低減をさせていきたい、このように考えております。
○重徳委員 もうそろそろ時間ですので終わらせていただきますが、先般からも、電源構成のベストミックスを十年以内で議論していきたいというようなお話もありましたけれども、やはりこのあたりのスピード感をもっともっと速めて、今回の電力自由化の議論ももっともっと、これは現実的なことももちろん見据えながら、タイミングもスケジュールを見据えながらでございますけれども、これを確実な、間違いない方向性として打ち出していっていただきたいんです。
すなわち、新しい新規の発電事業者が参入するにしたって、それは環境アセスで三年かかるとか、いろいろなことで五年から七年ぐらいかかるわけです、事業がスタートするまでに。したがいまして、本当に間違いなく、この政府はどういう方向に向かっていくのか、電力は本当にどこまで自由化されるのか、原発についてどう考えているのか、このあたりが不明確なままでは、新たな民間投資をして、その事業、その業界に参入しようとする事業者だってあらわれないと思います。
したがいまして、この三本目の矢、成長戦略というのは、決してぶれずに、こういった規制改革、構造改革というものに突き進んでいく政府の姿勢というのが何よりも重要だと考えております。
このあたり、いろいろな利害関係もあると思いますけれども、そういったところをきっちりと調整をし続けて、そして、夢のある、これからの末広がりの日本を、決して少子化なんという寂しい言葉じゃなくて、末広がりな日本社会をぜひともつくっていただきたいと思います。私どももそういった議論をぜひともさせていただきたいと考えております。
ありがとうございました。
○山本委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。